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はたけ の日記

ゆっくり生きよう。

村田沙耶香「マウス」

 

マウス (講談社文庫)

マウス (講談社文庫)

 

 

 

マウス (講談社文庫)

マウス (講談社文庫)

 

 田中律と塚本瀬里奈という女性のやりとりが基本のおはなし。

 

律は、控え目で目立たないように生きているどこにでもいそうな子。

瀬里奈は、はじめは何かあるとすぐに泣いてどこかに行っちゃう女の子だったけれど、律が瀬里奈に「くるみ割り人形」を読み聞かせてあげることで、性格が激変してしまう。話をきいてからというもの「くるみ割り人形」に出てくるマリーになりきらないといけない自分を保っていられなくなってしまった瀬里奈。その二人を中心に話が進んでいく。

 

小5と大学1年と2つのシーンがあるんだけれど、二人が疎遠になってから大学1年の時期に街でバッタリ遭遇し、再び普段から会うようなってからのあるシーンが印象的だった。

 

「....やっぱり、マリーにならないと、どうやって暮らせばいいのかよくわからないの。外が怖いっていうわけじゃないんだけど....」

 瀬里奈は首をかしげて、おびえているというよりは困っていた。塚本瀬里奈のまま過ごすというのがどういうことなのだか、さっぱり忘れてしまったと言いたげだった。

「別に、特別どうするってこともないんだよ。そのままで、行きたいところへ行って、したいことをすれば」

「私、そういう欲望って、小さいころからあんまりなかった気がする」

瀬里奈は首をかしげたまま、

「私の矢印って、外に向かってないの....身体の内側に向かってるの、常に」

と言った。

 僕は「何かを成し遂げたい」とか「明確な目標」というものを持てずに、いままで生きてきたので、瀬里奈のこの気持ちはよくわかる。

 

目標が持てない自分はダメなんじゃないか、と、ふと思うことがあるんだけれど、でも、むかしは不作でこのままだと村の人がみんな死んでしまう、みたいな時代があって、そんな時代では「目標」とか「将来なりたいもの」なんか考える暇もなかったはず。その日生きていくことで精一杯だったんだと思う。

 

それが食べることに困らなくなってから、国家の経済発展のため、とか、企業の繁栄のためという理由で「目標をもて」という価値観が出来たんじゃないか、と思う。あと「将来の夢をもて」とか。

 

僕に関していうと「将来の夢」は、いままで持ったことがない。持とうと思ったんだけれど、どうしても出来なくて、とりあえず何とか現在まで生きてきた、という感じ。

 

みんながハイテンションで「頑張ろうぜ!」っていう雰囲気のところだと、息苦しいし、疲れてしまうので、すぐその場から離れようとしてしまう。10分が限界。

 

でも、それで良いんじゃないか、と思っている。

元々「目標をもて」なんて考え方は、太古にはなかった考え方で、あとづけの価値観なんだから、それに当てはまらない人が出てきても当たり前。どんな方法でもどこでいいから、とりあえず人間生き延びていればそれで良いのではないか、と思っている。

 

この物語とは関係ないんだけれど、

話を読んで、そんなことを考えていた喫茶店で考えていた。

 

んで、いまはこれを読んでる最中。

 

ギンイロノウタ (新潮文庫)

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