はたけ のブログ

ラジオの文字起こしをしてます。現在は「高城未来ラジオ」と「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」をやっています。文字起こし専門のブログにしました。

鈴木敏夫のジブリ汗まみれ:星野社長がジブリ社長に就任するまでの経緯。

ラジオ音源です

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol18.mp3

 

2008年2月3日放送「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」の中で、それまで取締役社長だった鈴木敏夫さんに代わり、もとディズニージャパンの社長だった星野康二さんがスタジオジブリの社長になった経緯が話されています。日本テレビ奥田誠治さんも交えてのトークです。

  • 最初は社長のオファーを断る気でいた

 鈴木敏夫:僕がね声かけて、ジブリとすぐ食事しようと。なんでかって言ったら星野さんどうもねディズニーを辞めるらしいと。

星野康二:5月に遡るんですけど昨年の。そこで公になってディズニーの社長を退任して会長になる。イコール時間限定で辞めていくっていうのは自分の中ではっきり決まっていたこと。

鈴木敏夫:アメリカの方針の中で、アメリカ人でやっていこうっていうのが決まったんですね。

星野康二:ですからトップが代わる、これは私も賛成したシナリオだったんで、18年勤めて一旦これで星野は卒業なんだ、というのは自分の中でもスッキリしたことだったんですよね。

鈴木敏夫:それを聞きつけたんでね、僕としてはチャンスだと思ってね、僕はとにかくずっと社長を探してましたんで、星野さんいいなと思ったんですよ。で、僕その前からねそんなこと起こる前から「星野さん、いつかジブリ来るよね?」ってよく話してたんですよ。「その時は色々やってよー」って言って「またーー」何て言ってね。よくやってたんですよ。

星野康二:でも僕冗談だと思ってたし。

鈴木敏夫:僕あんまり冗談で物言わないですよ。それで星野さん、聞いたと。あまり深く考えないでジブリに来てほしいと。そしたらニコニコ笑ってばっかなんですよ。笑ってるだけなんです。とにかく最後には「とにかく最初に声をかけていただいて有難い。でも自分でも考えてみる」と。そこから永遠何にもないんですよ。

星野康二:3ヶ月近く、、

鈴木敏夫:ないんですよ。それはね、確かいい話がいっぱい来たんですよ(笑)

奥田誠治:確かなかったですよね?リアクションが。

星野康二:悩んでたんですよ。最初のリアクションは違うだろって(笑)僕じゃないんじゃないかなっていう。

鈴木敏夫:顔に書いてたんですよ。交渉の時から。それを見ちゃってたわけでしょ?それがひっくり返るというのを画策するのは、僕にとってはねエンターテイメントなんですよ。

奥田誠治:要するに自分が一番楽しみたいんですよね?(笑)

 

  • 大切なのは1+1が2で終わらない関係性

鈴木敏夫:だからね、僕ね自分で自分に魔法をかけるの好きなんですよ。どういうことかって言ったら、自分に色んなこと言い聞かせてたら、本当に実現しちゃうって。どういうことかって言ったら、星野さんはジブリに来るんだって。何度も言うわけですよ。言ってるうちに僕もそうなるけど、星野さんもそうなるだろうと。どっかで思ってることは確かなんです。それで自分がそうなるとその思った分くらい相手も思うだろうと、僕割とそう考える方なんですよ。

奥田誠治:いつもそうですよね、鈴木さん。

鈴木敏夫:人と人の関係もそうなんですよ。僕がこのぐらい好きだからってある分量があるわけでしょ?相手も同じくらい好きだろうと思える方なんですよ。それは楽天的なのかもしれないけれど。そういう部分はありますね。だからどっかで星野さんが僕が誘った、星野さんはたぶん最初は受けないだろうと。でもどっかで逆転があるなって。それが何なのかが僕にとって楽しみなんですよ。例えば、僕のことも星野さんのこともよく知ってるある外人がね「ホシノサン、ジブリニコナイ」とか何とか言ったんですよ。何でかって言ったら、アメリカってトップとそうじゃない人との報酬、凄い差があるでしょ?それで星野さんがジブリのことを考えたとしても「ホシノサンガジブリニクレバ、キュウリョウズイブンサガッチャウ。ダカラコナイダロウ」って、こんなこと言ってたんですよ。でも僕はねそれはそうじゃないって考える方なんですよ。人間はそれだけじゃないよって。何なのかってことでしょ?人と人とが出会って1+1が2だと思ってたら大間違いで、3になったり時には10になったりする。そうすると僕は星野さんとの関係の中でいうと、1+1が10になった。そういう関係だと思っていたから。どっちかというとそっちを信じるんですよ。

(中略)

星野康二:今の鈴木さんのお話聞いてても、予測外の展開っていう中で良い方向に良い方向にっていうのが、僕は鈴木さんと付き合ってきて凄く感じてるし、その場その場の出会いの中に自分じゃわからない未来性みたいなものが種としていっぱいあるみたいなとこってあるじゃない?

鈴木敏夫:そういうことってあるでしょ?人と人って。たぶんね、僕はね来てくれるんじゃないかなって気がしてたんですよ。どっかで楽観論があるのね。でも人間の世界っていうのは面白いもので、必ずドラマがあるんですよ。僕らが作っている映画以上に本物のドラマがある。ようするに、僕が話したのは随分前でしょ?で、その時点で星野さんはやっぱり俺が行くことはあり得ない、理由はともかくとして決めつけてたんですよ。これが落とし穴。それで次から次へと自分に良い条件のそして面白そうな仕事が現れるわけですよ。

星野康二:(笑)

鈴木敏夫:本当なの、これは。そういう中で星野さんの中で段々絞られていくんですよ。AがいいかBがいいかCがいいかって。でもその時にはねジブリのジの字もないわけ。だけれど、何故かそれが潜在的に残ってるんですよ。人っていうのは。

星野康二:確かにそうでしたねー。

鈴木敏夫:消しゴムでいくら消しても消えない、ジブリの名前が残ってるわけ。

星野康二:全くその通り。

鈴木敏夫:人間でいうのはそういうもんなんですよ。だって宮さんだってね、ドラマで何をやるかっていったら、それ探してんだもん。宮さんねよくこういう言い方するんですよ。「脳みその蓋開けなきゃダメなんですよ」って。所詮頭で考えてるうちは、いい話は作れないって。いつも悩んでて、脳みその蓋空いたときに良いのが出てくるって。それと同じ。

奥田誠治:今の話聞いてると、恋愛脳とかね。そんな感じですよね?色んな人と出会うんだけど、やっぱ結局っていう。

星野康二:確かに鈴木さんが言ったように、他のお話があったことも事実だし最初の段階から違うって自分で割と公に言っちゃったんですよ。嫁さんにもこういう話鈴木さんから貰ったんだ。俺違うと思うんだって。女房は後から言ってくれたんだけど、凄く良い話だと思ったんだって。ところが僕があまりにも断定的に絶対違うと思うっていう風に言ったらしいんだよね。それで女房はそれ以上言えなかったっていうんですよ。だから自分の中ではお話を伺ったときに、いや俺じゃないんじゃない?っていうの凄くあったんで、自分をそう思うように仕向けてたところがあったんですよ。鈴木さんが言った通り、3ヶ月間ほったらかしにしてて、これじゃあいくら何でも失礼だから、ちゃんと断るなら断らなきゃいけないっていうね。

鈴木敏夫:僕はね一個だけ自分で守ったことがあるんですよ。最初に誘ったでしょ?それ以来一度も星野さんと喋ってないんですよ。途中でどう?って聞いちゃいけないと思ったんです。聞いたら星野さんが逃げてくと思ったの。

星野康二:僕もだから会えなかったです。行かないっていいながら、会うとか連絡することに対して躊躇があったんですよね。心の中では怖がってるような部分があって、もし会ったらば断る断るっていう風になったとしたら、それで本当に終わっちゃうじゃないですか?だからやっぱり恋愛じゃないんだけど、どこか自分の腹の中ではあったんじゃないのかなって思うんですよね。

鈴木敏夫:だってね来てくださいって頼んで、1週間経ち2週間経ち1ヶ月経ちそして2が月目。で、2が月目も終わる。何にもしなかったんですよ。

奥田誠治:鈴木さん、それで仮に来なくても絶対去る者は追わず、ですよね?それは前からそうですよね?

星野康二:そう。それで鈴木さんに連絡して、あとは電話して鈴木さんに会ってもらおうと思った段階で、もう僕はわかっていただいたと思ったんです。その時点で。

鈴木敏夫:次の日なんですよ。

星野康二:で、れんが屋でこうやって鈴木さんに会ってもらったら「星野さん、腹決まった?」って言われたら「はい。お世話になります」って。