はたけ のブログ

「高城未来ラジオ」と「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」のラジオ文字起こしをやっています。

鈴木敏夫のジブリ汗まみれ:青春ってなんだ。

ラジオ音源です

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol261.mp3

 

2003年4月8日放送「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」にて、映画「桐島、部活やめるってよ」の魅力について、映画関係者を交えて語られています。その中での「青春とはなにか」というトークを抜粋して紹介したいと思います。出演は監督の吉田大八さん、原作者の朝井リョウさん、プロデューサーの佐藤貴博さん、日本テレビの吉川圭三さんです。

(なお、声で個人の特定が出来なかった方がいたため、名前と話されている内容に間違いがある可能性があります。ご了承ください。)

鈴木敏夫:僕受け売りで話しちゃうと、青春って言葉いつ生まれたのか?

朝井リョウ:いつ生まれたのか。

鈴木敏夫:ものの本によるとね、あれ翻訳語なんですよね。青年とか青春とか全部明治になってからなんですよ。そうすると江戸時代にはやっぱりないんですよ。江戸時代にあったのは、子供と大人だけっていうのか。青春が大事だなんて考えかたもない(笑)

朝井リョウ:概念としてなかったってことですよね。

鈴木敏夫:概念としてないのよ。

吉田大八:子供の歌しかないってことですもんね。

鈴木敏夫:そうなんですよ。要するに青春っていうのをちゃんと捉えて色んな悩みがある。そういうことをちゃんとやった人が誰かっていったら、ドストエフスキーだって書いてる人がいたんですよ。一方で若者が世界を変える、これ誰かっていったらマルクス。そうするとこの2人のおかげで本当にみんな酷い目にあったっていう本なんですよ(笑)

全員:(笑)

吉田大八:そういう考え方が出来ちゃったから。

鈴木敏夫:だってね、若い者が世界を変えるとか若い者の悩みは尊いとかね、それまでそんな価値観ないんだもん。

朝井リョウ:そうかー。作られたものなんだ。

鈴木敏夫:youthって言葉の翻訳なんですよ。そうすると別に若者が偉いとか若者が素晴らしいなんて考え方は本当に新しい考え方で、しかも内実は怪しい。

朝井リョウ:怪しいですね。

鈴木敏夫:そうすると、ドストエフスキーマルクスなんて僕もちゃんと読んだか怪しいんですけど、この2人はすごいですよね。世界中に流行らせたわけでしょ?

朝井リョウ:概念を新しく作っちゃったっていう。

鈴木敏夫:ね?そんな価値観を与えて、世界の若者たちを悩ませ迷わせたわけでしょ?

朝井リョウ:奮い立たせ。

吉田大八:落語に青春ってあまり馴染まない感じですよね?

鈴木敏夫:ないですよ。全くないんですよ。

吉田大八:未熟ってことはあっても。

鈴木敏夫:こんなことを流行らせて、それによって色んなことが起きたわけで。そろそろ終わりにしてもらって(笑)

朝井リョウ:(笑)

吉川圭三:僕らは言ってはいないんですけど、桐島が青春映画に終止符を打ったっていう評論家はいるはいるんですよね。

鈴木敏夫:それわかりますよね。僕なんかだとやるんだったら、最後の青春映画とかね。

吉川圭三:それはあったかもしれないですね。

鈴木敏夫:例えばそういうのをやれば、気になるおじさんたちがいるわけよ!(笑)

朝井リョウ:すごい!そっかー。そのキャッチコピーは思い浮かばないですね。

鈴木敏夫:いやいや(笑)

佐藤貴博:青春はドストエフスキーマルクスによって発明されて。僕恋愛も発明されたって聞いてたんですけど、この前調べたら近代恋愛は明治以降流行ったけど、恋愛は前からあったと。それこそ老若男女あったと。

鈴木敏夫:僕それウソだと思うんです。

佐藤貴博:そうですか?

鈴木敏夫:僕はウソだと思う(笑)

佐藤貴博:そうですか。恋愛は発明されたんですか?

鈴木敏夫:僕いい加減なこと言いますよ。ヨーロッパに決まってますよ。騎士とお姫様ですよ。遊びですよ、そんなもん。と僕は思いますよ。それが大衆化したんですよ。それでみんな恋愛できるようになったんだもん。この間ユーミンさんとお話ししたときに、ベストが出たじゃないですか?「日本の恋とユーミンと」。いいタイトルですねっていいながらね、これにもう1個付け加えるとしたら青春でしょ?って。そういう話をさせてもらったんですよ。でも僕こういったんです。あなたのおかげでみんな酷い目にあったんだと(笑)

全員:(笑)

鈴木敏夫:何でかというとね、みんな恋愛しなきゃいけなくなったんだからって(笑)それまで恋愛なんてする必要ないんだもん。

吉田大八:しかもカッコいい恋愛をしなきゃいけない。

鈴木敏夫:あれストレスだもん。これ読もうと思ってずっと置いてある本でフーコーっていう人がいて「性の歴史」。いわゆるセックスは本能じゃない。文化である。人間の作り出したもの中で何が凄かったのかっていったら、1つは神様でしょ?もう1つは愛じゃないかと思うんですよ。じゃないかなって思ってるんですよ。そこら辺が題材になってますけどね。映画だとかこういう文化的な作品含めて。

吉川圭三:じゃあ、脳というハードに愛というソフトを埋め込んじゃったんですよね?

鈴木敏夫スターウォーズのプロデューサーがね、日本の映画を作ろうとしたことがあってその人の話をちょっと聞いたことがあって。スターウォーズ作るときに何を一番考えたか。今までのハリウッドの否定をしなきゃいけない。今までのハリウッドは西部劇だろうがギャングものだろうが、最後はテーマは「愛」。何しろハリウッドってシステマティックだから、これから愛じゃ商売にならないって(笑)その人が言ったのはこれからはフィロソフィー。哲学だって。これがスターウォーズだったらしいんですよ。だからダースベイダーがお父さんとかね、ややこしい事やんなきゃいけないのよ。でも、あそこからですよね?みんなそういうもんが出てきたでしょ?そういうこと考える人いるんですよ。これからは愛じゃない。哲学だと。エンターテイメントにおいても。

朝井リョウ:じゃあどこかで誰かがこれからは青春だってなったし、これからは青春じゃないっていうことになるってことですよね?

鈴木敏夫:朝井さんの話聞いてて面白いなーって思ったのが、この間まで都知事だった石原慎太郎が「青春とは何だ」って小説書いたんですよ(笑)それを日本テレビでテレビドラマ化。青春シリーズって60年から70年にかけて大ヒット。でもそれをある時に夜中に毎日やってたことあるんですよ。時たま観てたんですよ。何やってたんだろうって思って。観てたら面白いんですよね。何が面白いか。高校生たちがラグビーやってたんだけど、地方都市なんですよね。地方都市で大人たちで悪いのいっぱいいるでしょ?その大人たちがやってる悪いことに高校生たちが参加していくんですよ。学校飛び出て。それを解決する。そうすると街ぐるみの大きな話になるんですよ。これが第1作なんですよ。ところが段々先行くでしょ?段々子供たちが学校へ閉じ込められていく歴史なんですよ。それで最初は街で市民と一緒に高校生が活躍してたのに、最後は学校の中の問題。それでさっき伺っててへぇーって思ったのが、それが終わった後の再生、それがこの「桐島」なのかなーとかね。だって高級になってるんだもん。