鈴木敏夫のジブリ汗まみれを文字起こしするブログ

ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」の文字起こしをやっています。https://twitter.com/hatake4633

「戯作者銘々伝」アフタートークショー 司会:井上麻矢さん

2015年7月27日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol377.mp3

 

井上:皆様お待たせしました。戦後七十年特別アフタートークショー、今回はスタジオジブリの取締役であり、プロデューサーであられます鈴木敏夫さんをお招きして、色々お話聞いて参りたいと思います。私こまつ座の井上と申します。どうぞよろしくお願い致します。

 

ではたくさん訊きたいことも個人的にありますので、鈴木プロデューサーをお迎えしたいと思いますので、拍手でお迎え下さればと思います。どうぞ。

 

(会場、拍手)

 

井上:どうぞ、お座り下さいませ。今ちょっと眩しいんです。

 

鈴木:全く顔が見えないんですよね。顔が見えないんですよ、こちらから。

 

井上:いま鈴木さんがお出になられたときに笑いがあったのは、この作務衣のせいでしょうか?

 

ーナレーションー

 

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

今週は、14日までこまつ座で上演された井上ひさし原案、東憲司の新作書き下ろし『戯作者銘々伝』のアフタートークショーの模様をお送りします。

 

司会進行は、井上ひさしさんの三女でこまつ座代表取締役社長の井上麻矢さん。テーマは「戦争を2度と起こさないということ」。まずはこんなお話から。

 

 

井上こまつ座では毎回観にいらしていただきありがとうございます。

 

鈴木:もう25年間来てるんですよ。

 

井上:ありがとうございます。まず今日新作だったんですけど、感想をお願い出来ますでしょうか?

 

鈴木:観てて最後ですよね、2つ気になったんですけど、1つはね、何故戯作が生まれたのかという問題と、それから自由の問題。

 

これ観ながら最後に思ったんですよね。江戸時代と現代とどっちが自由なんだろって(笑)もしかしたら、今の方が大変なのかなってふと思ったことと、それと僕は映画のプロデューサーっていう仕事をしてるんでね、蔦屋さんに興味がいきますよね(笑)

 

井上:蔦屋さん目線で。

 

鈴木:あのTSUTAYAさんじゃないですよ?(笑)今日の蔦屋さんに興味がいきました。はい。

 

井上:西岡さん演じる蔦屋重三郎さんに感情移入して、鈴木さんはご覧になった。

 

鈴木:あんまり感情移入はしないんですけどね。作家っていうのか作り手、最初に蔦屋さんがおっしゃってたように大体ろくでもない人が多いんですよ。

 

井上:(笑)

 

鈴木:本当に。僕の経験ですよ?誰とは言いません、誰とは言いませんけど、くだらない人が多いんですよ。そのくだらないっていうのがある種人間的だったりして頑張るんでしょうけど。

 

そうすると、そういう人のそばにいる人って思うんだけど、本当に蔦屋さんみたいな人だったのかなってちょっと思ったんですよね。というのは、自分と重ねるじゃないですか?僕たぶんね、人間的に立派な人だったんじゃないかなっていう(笑)これ願望かもしれません!はい(笑)

 

井上:それはなんか理解できるような気が致します。鈴木プロデューサーは元々徳間書店にお入りになられて。スタジオジブリは確か1985年に立ち上げたんでしたっけ?

 

鈴木:まぁその辺でしょうね。

 

井上:ウチもちょうど86年でしたでしょうか。こまつ座を立ち上げて。長くやっていると変化とかあるかと思うんですけど、長くやっていて良く変わったことと悪く変わったことっていうのが何となくジブリさんの中でもあるのかな、と思うんですけど、その辺りはどうなんでしょうか?

 

鈴木:もう考えないことにしてるんですよね。

 

井上:考えない?

 

鈴木:最新作でいうと"マーニー"ってことになるんですけど、30年間走り抜けたんですけど、それでいうと、そろそろ振り返らなきゃいけないのかなって思うと同時に、そんなことしてもしょうがないんじゃないかなって気もしてて。

 

ジブリがどうだったのかっていうのは、色んな方の意見も聞きたいですよね。それだったら。それが僕がどう思うかってことだと思います。

 

僕もそうなんだけど宮崎駿も、今しか見てこなかった人生。宮崎駿はご承知のように長編から引退しましたけど、実はもう始まってるんですけど短い作品を作ろうってことでスタートしてるんですよ。

 

井上:そうですか!

 

鈴木:美術館で上映するショートフィルムなんですけどね。何なんですかねー。

 

井上:何かを作らざるを得ない、それこそ戯作者じゃないですけど、書かざるを得ないとか書ききらなきゃならないような性があるってことですかね?

 

鈴木:煩悩とか業とか大体ろくでもないことですよね(笑)

 

井上:プロデューサーという方をはそういう方を上手くやらせなきゃならないんですもんね?

 

鈴木:彼と付き合ってかなり長いんですけど、78年に出会いましたけど、おそらく死ぬまでああなんだろうなって(笑)でも他の色んなことをやるより、どうせやるなら作品作ってもらってた方がいいですよね。どんな形であれ。そんな風に思ってます。

 

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井上:今回ですね、平和のトークショーということで鈴木プロデューサーの方から頂いたお題が「戦争を2度と起こさないこと」というのを頂いたんですけど、これは鈴木プロデューサーのどういう願いの元からこういった題名を頂いたのかなーということを。

 

鈴木:これ年齢の問題がすごい大きいと思うんですよ。どういうことかといったら、物心ついたとき、僕ら教えられてたんですよ。「戦争は2度と起こしちゃいけない」って。これね、自分で考えたとかそういうことじゃないんですね。トラウマのようにそれが体に染み込んでましたね。これが大きかったですよね。

 

だから色んな意見があってそうなったんじゃなくて、先の大戦で日本とアメリカが戦ったと。負けて色んなことがあったんですけど、要するに2度と戦争は繰り返しちゃいけない、っていうことを誰かに教えられたんですね。

 

僕ね2つ話そうと思うんですけど、1つはその考え方に揺らぎがくる、そういう時代が来るなんて思いもしなかったんですよ。みんなずっとそうやって生きていくんだろうと。そうじゃないっていう考え方が出てくるとは思ってなかったですよね。

 

井上:しかも今ですよね、まさに。

 

鈴木原発ってあるじゃないですか?僕らが若い頃、広瀬さんっていうのが特にそういうことをおっしゃっていたんだけど、「原発は怖いんだ。危険なんだ」と。すると、それが刷り込まれちゃったんですよ。そうすると、その後僕の中では20代でそれ聞いてますから、「原発は危険」って当たり前だったんですよ。

 

ところが、知らない間に原発安全神話というのが生まれてたんでしょ?僕それ知らなくてね。え!?って思ったくらいで。

 

井上:あ、そうなんだ!っていう。

 

鈴木:同じように戦争だってもう1回起こしたい人がいる、なんてことは想像すらしなかった。

 

井上:確かにそうですね。

 

鈴木:そうなんですよ。僕は改めて皆さんにご紹介しなきゃいけないのは、昭和23年の生まれなんですよ。つまり団塊の世代なんですけど、戦争が終わって3年。子供の頃、本当にみんな貧しかったんですよ。洋服なんかも継ぎ接ぎだらけでしたよね。

 

その後日本は、高度経済成長・経済発展を遂げるんだけど、僕らの世代ってたぶん子供の時にそれ知ってるでしょ?そうすると、その後に起きたことはみんな夢物語。なんか嘘っていう感じなんですよ。

 

井上:なんですね。

 

鈴木:何か起きた時にはあのときに戻るんだよな、っていうのがどこかに残ってる。

 

井上:ご自分の原風景に戻るということですよね?

 

鈴木:そうそう。僕よく話すんですけどね、ウチが商売をやっていて、愛知県でまわり近所がみんな繊維をやっていたんで。物心ついて少し大きくなった頃、たぶん5年生だったと思うんですけれど、商売やってたから必要があって車があった。ウチに運転士さんがいて5年生のときに運転を教えていただくんですよ。

 

井上:5年生のときにですか?

 

鈴木:そう。それで気がついたら、その車で街を乗り回してましたね。

 

井上:(笑)

 

鈴木:これね冗談じゃないんですよ!ほとんど車がないから、そういうことをやってもデパートの屋上にあるゴーカートとか、ああいうものの続きみたいなもんで。出会う中にはいい大人っていっぱいいるわけで。警察官もいたんですよね。すると警察官の方がね「気をつけろよー」って(笑)

 

井上:(笑)

 

鈴木:何が言いたいかというと、そのぐらい日本は貧しかったし、のんき。のんびりしてた。

 

井上:なんか余裕がある感じがしますね。

 

鈴木:親父も特に僕を咎めなかったし、もう1つよく覚えてるエピソードがね、小学校4年生のとき、クラスに高橋くんっていうのがいましてね、そいつが授業と授業の間に休みがあるじゃないですか?なんとなく廊下へ出てそこら辺にいたら、高橋くんが寄ってきて「鈴木、徴兵制がしかれることになった」って。これね小学校4年生ですよ?徴兵制って言葉を理解出来たんですよね。みんな軍隊行かなきゃいけない。

 

2度と戦争を繰り返しちゃいけないって言ってるときに、その高橋くんが「これからは徴兵制だ。俺らはみんな戦争に行かなきゃいけない」って。これ衝撃でしたよね。

 

井上:どうしてそういうことになったんでしょう?

 

鈴木:たぶんそういうことに興味あったんでしょうね。僕はそちらの方はよくわかってなかったんだけれど、自衛隊とかそういうことに興味があって、僕ら子供文化というのがちょうど日本がアメリカの占領下にあって独立するじゃないですか?そうすると、いわゆる子供文化に戦争のときの色んなものが復活するんですよね。

 

僕でいうと、少年マガジンとかそういうのを読んでると、いま振り返ると、架空戦記ものって言うんでしょうけど。

 

井上:戦いの?

 

鈴木:いや、「こうすれば日本は勝っていた」っていう話ばっかりだったんですよ(笑)

 

井上:そういうものを描いている大人たちは、いわゆる戦後の世代の人たちだから、戦争を体験して負けた経験があるからってことですかね?

 

鈴木:戦争に負けて悔しかったんでしょうね。ああすれば、こうすれば、日本は本当は勝ってたかもしれない。僕らはそれを叩き込まれるんですよ。ああ、そうかと。ちゃんとやれば勝ってたのかっていうね(笑)たぶん学校で教えられたと思うんですよ。戦争は2度とやっちゃいけない。

 

子供の俗悪文化で日本はちゃんとやっていれば勝ってたかもしれない。という中で悩んでたときに、一方でもう1つ覚えてるのが歌なんですけど、ちょうど僕らテレビ始まった世代だから。その歌の中でおじさん・おばさんが歌謡曲を歌ってたんですけど、僕らが小学校の高学年になると、若い人たちが今の若い人に言ってもピンと来ないかもしれないけれど、ちょっとハイカラな歌をいっぱい歌い始めるんですよね。旧来の歌謡曲とハイカラな歌の二つがあって、後にそれを知るんですよ。実はその若い人たちが歌ってた歌って僕は大好きなんだけれど、この歌が全部は元はアメリカ製。日本語で歌ってたんですけど、その日本語は日本語訳詞だったんですよね(笑)

 

井上:そういうことですよね。

 

鈴木:それを全然知らなくて、日本人が歌ってたそのアメリカの歌、中学くらいになると、元を聴くようになるんですよね。

 

井上:本家本元をお聴きになる。

 

鈴木:そう。それがすごい好きになっちゃったりしてね。挙げ句の果て、その手前のところでいうと、戦争は2度とやっちゃいけない。たぶん学校でも教えられたんでしょう。しかし同時に少年マガジンその他で「こうすれば日本は勝ってた」。

 

ところがテレビでもう1個、夜のゴールデンタイムっていうと、アメリカのホームドラマっていうのがやってるんですよ。ビーバーちゃんがどうしたとかね、パパは大好き!とかね、そこで描かれるおうちは玄関開けると、いきなりすごいデカい居間があるんですよ。ちょっと奥へ行くと、すんごいデカい冷蔵庫。みんな各家庭に車があるでしょ?あまりにもその目線から自分たちの現実を見ると、なんか侘しくなってくる(笑)

 

井上:侘しいというか分裂するというか。

 

鈴木:ほんと分裂なんですよ。僕は正直いうとアメリカに憧れてましたよね。アメリカってすごいんだって。こんな幸せなのかって。歌もアメリカ製なのも知って、こんな歌が海の向こうで歌われてるのかと。

 

と言っている一方で、少年マガジンが「こうすれば日本は勝ってた」でしょ?そうすると大分裂なんですよ!

 

井上:大分裂ですね。

 

鈴木:で、中学になると大体ラジオなんか自分で聞き出したりして、気がついたら中学高校6年間、歌は日本の歌聴いたことないんですよ。

 

井上:はぁーー。

 

鈴木:これ僕だけじゃないんですよ。学校中そうでした!(笑)

 

井上:同級生がみんなそうだったと。

 

鈴木:みんなアメリカの歌聴いてたんですよ。アメリカだけじゃない。イタリアもあったしフランスもあったし。で、僕が高校生くらいだったんですかね。東宝映画っていうところで8.15シリーズっていうのが始まるんですよ。

 

井上:8.15シリーズ。

 

鈴木:これ何かというとね、夏に戦争映画やるんですよ。

 

井上:ああ、その8.15だ。

 

鈴木:これたぶん少年マガジンその他で特集してたんでしょうね。再び復活なんですよ。

 

井上:そのシリーズっていうのは映画なんですか?

 

鈴木:そう。毎年1本やってくんですよ。1本だけじゃなかったかもしれないけれど。山本五十六がどうしたとか、色々出てくるんですけど。何か知らないけど観に行っちゃった。たぶんきっかけは少年マガジンなんです。

 

これ高校だけじゃないんです。大学入っても実をいうと観てたんですよ。そうしたらよく観ていくと、共通項があるんです。さっきの少年マガジンは「こうすれば日本は勝ってた」でしょ?ところが僕らが中学くらいになると、主人公がみんな一つのタイプになるんですね。全員が軍人でありながら戦争に反対。

 

井上:そうですね。山本五十六もそうですし。

 

鈴木:全ての主人公が反対。しかしやらざるを得なくなる。で、やってみるとこれが戦争が上手なんですよ。というのが主人公になるんです。

 

井上:さらに分裂ですね。

 

鈴木:そう。僕らの世代って若い人ピンとこないかもしれないけど、団塊の世代っていわゆる学生運動世代で、大学でそれぞれテーマが掲げられて、学生がストライキしたり色々起こるんですけど、ここでのテーマっていうのがあるんですよ。それは何かというと「反米」。そうするとアメリカが好きなのに、アメリカに対して文句を言わなきゃいけない。これに揺れまくった子供時代・青年時代。

 

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鈴木:実をいうと、僕ら『風立ちぬ』っていう映画やるときに結局テーマそれなんですよ。宮崎駿っていう人も、僕と同じく戦争には大反対。しかしですね、零戦とか大好きだったわけですよ(笑)

 

そうすると、この自分の矛盾。デモにも参加して戦争反対を叫ぶ。でもイタズラ描きすると、気がつくと戦闘機描いてる人なんですよ(笑)これは一体どうしたらいいんだろうっていう。大きくいえば僕にもそれがあった。だけれど根底のところに反対するものが、、

 

井上:反骨精神じゃなくて、、

 

鈴木:どこでそれ植え付けられたんですかね?もしかしたら小学校かもしれない。

 

井上:そこがもしかしたら今お話お訊きすると、ジブリさんのものづくりの原点になってるのかもしれないなと。分裂を繰り返して、何だろうっていうところの問題提起をし続けているから、普遍的なんでしょうね。

 

鈴木宮崎駿って74歳なんですけど、感覚が若いところがあって会ったときから団塊の世代の感覚に似てる人だったんですよね。そういうことでいうと、ジブリの根幹って団塊の世代の体験したこと、考えてきたことと関係があるんじゃないかなって。そんな気がしてるんですよね。

 

井上団塊の世代の子供だったり、そのまた子供だったりっていう。分裂する少年期・青年期が惹きつけられるんですね。

 

鈴木:戦争反対だけは揺らいでないんですよ。これは面白いですよね。教えてくれた人は誰なのかわからないけれど、僕は心の中で手を合わせたいですよね。

 

井上:そっか。刷り込みとしてすでに戦争はしてはいけないこと、ということがあったっていうことですよね?

 

鈴木:はい。

 

井上:今こうやって戦争が突然身近になったような世の中でですね、鈴木さんはずはり今1番何に興味がありますでしょうか?今時点で。やっぱりプロデューサーというのがどういうことに興味を持つのかって聞いてみたいなと思って。

 

鈴木:ものすごい素朴ですよ。映画観たりとか。いまちょうどウディ・アレンという人に凝ってるんですけどね(笑)それをずっと観てると面白くて。

 

ウディ・アレンって生涯残した作品が50本。観ていくと色んなテーマがあるんだけど、世の中って退屈でつまらない。けど、たまにはいいことあるよ、みたいな映画とかね、色々作ってきてるんですよ。観ていくと本当に面白くて。

 

ちょっとだけ説明しちゃうと、ウディ・アレンっていう人が映画監督になったとき、世界中のあらゆる映画、作り終わった時期なんですよね。そういうときに監督になった自分は何をやったらいいのか、っていうんで彼がやった手段やテーマはともかくとして、色んな映画監督の作り方を引用して。あるときはチャップリン風。あるときはベルイマン風。あるときはフェリーニ風っていうんで、色んな映画作ってるんですよ。

 

井上:それはパロディとは違うんですかね?

 

鈴木:パロディしきらないんですよ。何でかというと、テーマが現代性を持ってるから。そのことによって、この人の映画って腑に落ちるんですよね。だっていま新しいものなんて出来ないんだもん。そうしたらそういうやり方があるんだっていうこと。いま50観ながら、これ1本1本を自分の感想でまとめたら面白いのかなって、個人的にはそんなことに興味持ってます(笑)

 

井上:ありがとうございます。それすごく私的にとても面白いご回答でした。

 

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井上こまつ座もですね、井上ひさしという座付き作家が残した戯曲が70本くらいあるんですけど、これをこれから新しく世に出すっていうか、普遍的なことが入ってるからこれは長く愛されるって言って死んだもんですから、やり続けていこうと思っているんですけど、こまつ座の魅力って鈴木プロデューサーが考える魅力って何でしょうか?

 

鈴木井上ひさしさんですよね、やっぱり。何が面白かったかというと、色々あるんですよ?色々あるんだけれど、特に古い日本を扱ったときにちゃんとお調べになって。

 

最大の特徴って、全て擬似的というか架空に作りあげたドキュメンタリーが多かったんですよね。

 

僕は戦争を扱おうが、明治時代を扱おうが、その架空のドキュメンタリー、徹底的に調べた。それにある味付けをしていくっていう。そこに1番面白さを感じてたんですよ。

 

当然、資料が足りなかったりとかあったと思うんですよ?しかしそういう芝居は好きだったんで。今の話になぞらえて言うと、100年経って200年経ったって残る作品にすべく古典にして欲しいですよね。

 

井上:ありがとうございます。

 

鈴木:だって同じ作品何回観たって面白いんだもん。僕はちなみに『きらめく星座』っていうのが1番好きなんですけど、何回観たんですかね?僕。

 

井上:鈴木プロデューサーが来てくださったときは、ちょっとトラブルがあって休演してたんですよね。そういうこともありました。あれは何回も上演してますね。

 

鈴木:そうなんですよ。そう思います。

 

井上:ありがとうございます。今回は東憲司さんという新しい書き手の方が本当に井上ひさしに対するオマージュで作って下さった作品たまに、こういうのも挟みながらこまつ座も頑張っていきたいなと。

 

鈴木:もっと井上さんっぽく書いたらいいですよね。たぶん井上さんだったら蔦屋さんに焦点あてますよね。変なやつ。なんていう気もします。

 

井上:なるほど。じゃあ東さんにもお伝えしておきたいと思います。どうもありがとうございました。本当に短い間でしたけど、素敵なお話をどうもありがとうございました。鈴木プロデューサーを拍手でお見送り下さいませ。

 

(会場、拍手)