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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<未来授業>谷尻誠さん 第1回「世の中に無い、新しい価値観の見つけ方」

 2020年4月20日配信の「未来授業」です。

www.tfm.co.jp

 

ーナレーション

今週の講師は、建築家で「SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.Ltd」代表の谷尻誠さん。

 

最近では、渋谷のランドマークのひとつでもある「ホテルコエトーキョー」のクリエイティブディレクションや設計、インテリアデザインも担当されました。

 

今週は建築家、そして起業家として活躍する谷尻さんに、新社会人に向けた働き方のヒントをいただきます。

 

建築だけでなく、インテリアデザイン、さらには都市設計など人が暮らすさまざまな空間のデザインを行っている谷尻さん。出発点となるのは、ただ快適に仕上げるのではなく、そこがどんな場所なのか、徹底的に考え、話し合うことだといいます。

 

そのことを象徴しているのが、自ら代表をつとめる「サポーズ・デザイン・オフィス」の事務所内に作られたその名も「社食堂」。社員だけでなく、広く一般の人も利用できるレストランとしてオープンしました。オフィスと食堂、お互いに見通せる空間とは、どんな場所なのでしょうか。

 

未来授業1時間目、テーマは「世の中に無い、新たな価値観の見つけ方」

 

谷尻:僕いつも事務所で言ってるんですけど、「スーパー素人が1番いいよね」って言っていて。僕も1人のカスタマーとしてその場所に行きたいか、とか、その場所に行くと楽しいか、とか、すごく素朴なことなんですけど、いつも考えて、それを設計者として設計してるだけと言えばそれだけなんですよね。

 

社食堂の場合は、僕らみたいなクリエーター職って世の中に沢山あると思うんですけど、結構みんな忙しいんですよね。そうすると、時間が空いた時にコンビニに走ってコンビニ弁当買ってきて、だらしなくご飯を食べながらマウスをクリックしている姿って、どこのオフィスにもある風景だと思うんですけど、それはすごく嫌だなと思って。

 

ウチの妻が料理家ということもあって、「体の細胞の原料は食料だ」っていつも言うんですけど、そこを根本から直すためには、事務所に食堂を作って、みんなが健康の食事を毎日摂れるっていうのが1番の目的で。

 

で、どうせなら、周りの地域の方とか来て下さる方の健康も司ることが出来るといいな、という思いでパブリックにしてやることにしたんです。

 

ーナレーションー

社食堂があるのは、東京・代々木上原。多忙なワーカーたちの健康、より良い働き方、地域との繋がりなどを考え、新しいオフィスのあり方を目指して作られました。

 

構想から完成まで、乗り越えるべきハードルは沢山ありましたが、谷尻さんは「だからこそ新たな価値観を見つけることが出来た」と言います。

 

谷尻:やっぱり僕らみたいな仕事って、何やってるかよくわからない仕事だと思うんですよ。だから食堂とオフィスに仕切りを設けない作り方にしているので、ご飯を食べに来た方が模型を作っている姿を見たりだとか、何かコンピュータグラフィックのCGを見たりだとか、設計事務所の活動が少し滲み出るような形で、あとライブラリーには建築とかデザインとかアートの本を置いてるので、何気にとった本が素敵であれば、その方がいつか家建てる時に、別に僕らじゃなくても建築家にデザインを依頼する人が1人でも2人でも増えれば、きっと街の景色も綺麗になると思うので、そういう草の根活動というか、パブリックな外の人にデザインのことを伝えていきながら、時々イベントをして、設計事務所の活動に触れてもらうだとか、そんなことを考えながらやってますね。

 

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谷尻:本当はオープンする前に、こういったものをやりたい、という企画を出した時に「駅からも遠い」「周辺は住宅しかない」「人が沢山来てうるさくて仕事にならなかったらどうしようか」とか「守秘義務どうするんだ」とか「沢山の人がやるのはまずいんじゃないのか」っていう風に沢山意見が出たんですよね。

 

その時思ったのは、これだけネガティブなコメントが出るってことは、まだこの価値観は世の中に無い価値観だ、ってことがわかったので、絶対にやるべきだっていう風に決めて。出てきた問題に対して、一つ一つどう解決していくのかっていうことを話し合いながらオープンして、スタッフも「いろんな人が来るからどうなのか」って言ってたんですけど。

 

そもそも人間って慣れる生き物なので、数週間ですぐ慣れて。音があったり人が話してることが、むしろ生活音となって、集中出来る環境になってると思うんですよね。

 

実際、みんなスタバなんかに行って仕事するのって、静かな場所を選んで仕事をすればいいのに、わざわざ雑踏の中に身を投げ込むっていう相反すること、世の中はすでに選んでるので。本当は音があることの静かさっていうものもあるので、それをみんな好むんじゃないかなと思うんですよね。

 

どんな場所でもパソコン開いて仕事し始めると、家でも車の中でも電車の中でもオフィスになるわけで。行為自体が場所を定義するので、あまり僕らはオフィスだ、とか、食堂だ、っていう感覚はないですね。

 

だから設計と言っても、建物とか空間の形を作るというよりも、その場所のあり方みたいなものを一生懸命話し合うっていうのが、1番自分たちの大切にしてるところかもしれないです。