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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<未来授業>谷尻誠さん 第2回「かんたんに取れるパスは投げない」

2020年4月21日配信の「未来授業」です。

www.tfm.co.jp

 

ーナレーションー

今週の講師は、建築家で「SUPPOSE DESIGN OFFICE Co.Ltd」代表の谷尻誠さんです。今週は、新社会人に向けた働き方のヒントをうかがっています。

 

渋谷の新たなランドマークのひとつ、ホテルコエトーキョー、設計事務所に同居する、誰でも遊びに来れるレストラン「社食堂」。本棚にベッドが埋め込まれた泊まれる本屋さん「BOOK AND BED TOKYO」など、これまでの価値観にとらわれないスペースを生み出している谷尻さん。その原動力となるのが、まず、アイディアについて話し合うことです。

 

ネガティブな意見がきかれれば、新たな価値観を生み出すチャンスとみなして、前に進む。一方、まだ早いと思ったら、アイディア実現のチャンスを狙い続ける。予想外の出来事が続く今だからこそ、「決して諦めない」ことの大切さについてききました。

 

未来授業2時間目、テーマは「かんたんに取れるパスは投げない」

 

谷尻:自分がそれが出来るか出来ないかわからないとしても、やり続けていると周りがみんな諦めるわけですよね。もし残っていたら、その人には価値が生まれるわけですよね。自然と。だから簡単にやめないっていうのは、その時点で力があることだと思いますし、ずっとやってると、色んな情報とか社会の変化の影響も作用して、必ず解決するんですよね。すぐに効果が出るから諦めないっていうものではない、と思ってるので、僕は執着というか呪いと最近言ってますけど。それぐらい思い入れがあるから出来るようになってくるし、応援する人が出てくるんじゃないかと思うので。

 

最近は余談ですけど、初めて本を出した時に『1000%の建築』っていう本を出して。僕糸井重里さんが大好きだったので、対談を申し込んだんですよ。で、申し込むために企画書もデザインして、文字の書き方も全部デザインして、封筒もデザインして切手の貼り方も住所の書き方も全て考え尽くして出したのに、返事来なかったんですよ。

 

けれど本の中に、対談申し込んだけれど返事来なかったっていうページを残してあるまま出版したら、1ヶ月後には糸井さんに会えたんですね。普通に考えたら、企画がダメになったら本から削除するはずなんですよ。けれど、それをどうしても残すべきだって考えたから、渡りに渡って本が糸井さんの元に届いて、会えるチャンスが生まれたように、そういうのって諦めてたら、会うチャンスを自分では作れなかったと思うんですよね。

 

いま現に糸井さんと会って対談して、また本が世の中に出版されるタイミングで。でもそういうことって、短期的なものでは実現出来なくて、呪いをかけながら「絶対これを実現するんだ」っていう執着が、それを呼び寄せているんじゃないかって思うので、そう簡単に諦めるわけにはいかないんですよね。

 

ーナレーション

谷尻さんは、高校までバスケットボールを続けていました。そこでよりよりプレーヤーになるために学んだことを仕事にも応用しています。

 

ただ執着するだけでなく、より前に進むためにはどんなことが求められるのでしょうか。

 

谷尻:監督が味方がとりやすいパスを出してると「お前何やってるんだ!」ってすごい怒られてたんですよね。「ゲームを作る人間が、相手の力量に合わせたパス出してどうするんだ?」って怒られたことがあって。「お前が理想とするプレーを日々日常から毎日人がいようがいまいが、ここにいて欲しいんだっていうところにパスを出して、全体のゲームメイクをしないと、本当の試合の時に点数が獲れるチームにならないよ」って言われたんですよね。だから練習中は、僕が理想とするプレースタイルで、ここに人がいてくれると良いんだよってところにポールをどんどん投げておけば、アイツはあそこにボールを投げるんだって周りがそこに走り始めるっていう話をされた時に、それが凄く記憶に残っていて。

 

仕事も同じようにクライアントの方から言われたことだけを聞いていると、それはただの及び聞きになってしまうわけですし。頼むからには、お金以上の価値を提案することが僕らの仕事なので、もっと見えなかったところにパスを出すことが能力を1番評価してもらえるところでもあるので。

 

バスケの時って、相手に合わせるんじゃなく自分が絶対良いと思えるプレースタイルだったよなっていうことを仕事に置き換えて、言われたことだけっていうことよりは、もう少し未来にパスが出せるような仕事の仕方をやるっていうのが自分に1番しっくりきている感じなんですよね。

 

「社食堂」も会社に食堂があるんだよって、ごくごく普通のことですけど、来ていただければ「これ、すごい面白いオフィスだな」ってなるわけですよね。みんなが知ってる知らないことって、まだまだあって。新しいってことはみんなが知らないってことじゃなくって、「あ、そういう方法があるよね」っていうことがまだまだ世の中にはあると思っているので。

 

少しだけ未来にパスを出すような感覚で。宇宙の方にパス出すと、誰もとれないんですけど、ちょっと2、3歩前にパスを出すっていうのは1番みんなが欲しがってることなんじゃないかなって思うんですよね。

 

僕自身もそういうものを好んでいるので、それをそのままどちらの気持ちにもなりながらやってる感じですけどね。