ラジオ音源です
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2014年3月6日の「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」。ゲストは音楽プロデューサーの中田ヤスタカさんと、映画「かぐや姫の物語」のプロデューサーの西村義明さんです。
・選択肢が多いことの弊害とは?
鈴木敏夫:すぐ確認出来るっていう問題。いまコンピューターのおかげもあって、作ったものをすぐに再生して聴いたり見たりすることが出来る。色んなもの作っておいて、その中から選ぶっていうのが現代では当たり前でしょ?
中田ヤスタカ:そうですね。
鈴木敏夫:ボディペインティングって知ってますか?身体中に絵の具を塗りたくって、デッカいキャンバスに身体をぶつけにいく。これね、色んな絵が出来るわけでしょ?色を変えたりぶつかり方を変えれば。で、あるテーマの場合、その中から選ぶんだよね。作者がこれかいいって。それって何かって問題なのよ。昔の人は完成品じゃないけど、頭の中で描いて「これしかない!」って思って頑張って作るわけでしょ?それは1個なんですよ。
中田ヤスタカ:作るものは決まっていて、決まってるものを作っていくという。
鈴木敏夫:そう。それを頭の中でシミュレーションして、それで作る。そこには強い意欲か湧いて、1個作ったらお終い。ところが今は色々作っておいて、その中から選べる。例えばポスター作るときに、デザインする人が色んなレイアウトを作ってその中から選んで下さいって言うわけ。あれ頭に来るんだよね。
西村義明:鈴木さん、そうですね。
鈴木敏夫:1個にしろって言いたいわけ。だって当たり前だって僕は言いたい。1個を一生懸命作るのと最初から5個作る、後者で良いもの出来るわけないのよ。
中田ヤスタカ:はいはい。
鈴木敏夫:みんなが評論家になる。創作意欲って何かって問題なのよ。
中田ヤスタカ:同じようなことを体験しましたよ。きゃりーぱみゅぱみゅのアルバムタイトルを考えてたんですよ。考えてて3つくらい良いのあるんだけどって本人に見せたら、「もうちょっと考えましょう」って感じになって(笑)それで2週間ぐらいずっとタイトル浮かばなくて、その時きゃりーのニューヨークでライブがあった時に、飛行機の中でも考えてて、ライブ観た時ときに「あっ」て閃いて、それを言ったら1発で決まるんですよ。
鈴木敏夫:これを言いたかったんですよ。僕は。本来そうやってあるべきなんだもん。3つも出しちゃダメ。
中田ヤスタカ:どっちにしようかなーってなってないときの強さって凄いですよね?
鈴木敏夫:その時の方が凄いものが出来るんじゃないかなーって気がどこかにあるんですよ。
西村義明:関わる人数が増えてるっていうのもあるんじゃないですか?
鈴木敏夫:そうよ。多すぎるんだよね。
西村義明:鈴木さん、ポスターも速いですからね。ジブリのポスターだから色んな人が関わってるって思われそうですけど。
鈴木敏夫:決めることは速くしといて、あとちゃんとやる方に時間かけたらいいよね。みんな決めることに時間かけるんだもん。くだらないよね。
西村義明:高畑さんに言って下さいよ(笑)高畑さんもバリエーション派ですから。
鈴木敏夫:信じられないよ、もう。
西村義明:出来上がったものから選ぶっていう。コンピューターのせいですよね。バリエーションをすぐに作れるから。
鈴木敏夫:78のくせに詳しいんですよ。コンピューター(笑)
西村義明:きゃりーぱみゅぱみゅだって、抵抗感ないですよ、高畑さん。ちょうど「わらべ歌」作曲するときだったんですけど、「これ何ですか?」って訊かれて「きゃりーぱみゅぱみゅです」って言ったら「きゃりーぱみゅぱみゅですか。わらべ歌はこういうシンプルな旋律がいい」って(笑)
鈴木敏夫:(笑)それ衝撃だね!
西村義明:きゃりーぱみゅぱみゅって、一見複雑じゃないですか?高畑さんスゲーなって思って。
鈴木敏夫:じゃあ「わらべ歌」根っこには、、
西村義明:きゃりーぱみゅぱみゅが(笑)