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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

未来授業:黒川伊保子 第四回「AI時代の生存戦略」

2020年1月2日配信の「未来授業」です。

AI時代の生存戦略 | 未来授業 | これからの時代を生き抜くヒントを学ぶ特別授業

 

ーナレーションー

今週の講師は、人工知能研究者の黒川伊保子さん。

 

人工知能を研究すること、それはつまり「人間を理解する」ということです。

 

2014年にアメリカのオクスフォード大学が発表した論文は、世界中で話題になりました。「AIが発達すれば、人間の仕事はいずれなくなってしまう」というものです。

 

これまでよりもっと、ロボットが身近な存在になる2020年代、私たちの働き方はどう変わっていくのでしょうか。

 

人間の脳を知り尽くした人工知能は、人間を超えてしまうのでしょうか。

 

未来授業四時間目、テーマは「AI時代の生存戦略」。

 

 

黒川:まずですね、人工知能は人間を超えるか超えないかって言ったら、これは超えないと意味がないです。

 

あらゆる道具が超えないと意味がない。だってゲンコツよりも石斧の方が破壊力があったから、使ってるわけでしょ。ブルドーザーは人間よりも力持ちだし、バイクは人間よりも速く走る。当たり前のことです。

 

同じように人間よりも素晴らしいことを人工知能はやるけど、それも当たり前。

 

ただしですよ。人工知能はおそらく一流の芸術家並みの作品を作ったり、一流シェフ並みの創作料理を作るようになるんですが、人工知能はその作品を美しいと思うことも出来なければ、美味しいと思うことも出来ません。

 

つまり、アウトプットに関しては、あらゆることが出来るように見えるけれど、感情は持てないんですよ。なぜならば、痛みがなく、命がなく、心臓の鼓動もなければ、脈動もない。この人工知能には判断することは出来ないんですよ。人工知能にとっては、自分の回路を通して答えを出しただけですから。これが美しいのか、超一流なのかわかるのは人間だけですから。

 

結局のところ、その判断をして、それを享受していくのが人間の仕事ですね。なので私は人間らしさがお金になる時代がきっと来るな、と思うんです。

 

なぜならば、美しいものを美しいと思える人と共に暮らした人工知能を人が欲しいと思うでしょ?

 

もう亡くなった方だから今からは無理だけど、例えば、魯山人と一緒に暮らした人工知能と生活したい人は、欲しいわけじゃないですか?つまり、私たち人間は美しいものを美しいと感じ、美味しいものを美味しいと感じる。逆に胸が痛いことを胸が痛いと思えるってことが、最後の仕事です。

 

だから、人工知能がどんなに超一流になろうと、なんら人間は恐ることはないです。ただの超一流の道具に過ぎないので。

 

ーナレーションー

 

人工知能がどれだけ発達しても、人間はなんら恐れる必要はない。黒川伊保子さんはそう話します。

 

一方で、AI時代には教育も変わらなければならない、と話します。

 

黒川:私は感じることの教育だと思うんですけど、感じることはどう教育するかというと、私はマニアになること、マニアになる時間を子供に与えて下さいって思ってるんですよ。

 

ここからはエリート力でなく、マニア力。

 

エリートは誰もが納得する理想の答えを、誰よりも速く見つけてくるってことでしょ?でもそれは人工知能がやるので。要はその答えが素晴らしいと感じれるかどうかじゃないですか。

 

例えば、アメリカでは既にスポーツ記事とか経済記事の4割から6割を、人工知能に書かせているという時代に入りました。英語は省略することが少ないし、日本語のように膠着語といって、無責任に言葉を重ねていかないので、人工知能に代替しやすいんですよ。

 

じゃあ代替したからといって、新聞社ごとにそのモデルは違うはずでしょ?例えば、読売新聞と中日スポーツでは、巨人×中日戦の書き方が違う。その新聞社ごとに書きぶりがあって、その書きぶりを人工知能に教えなきゃいけないんですよ。

 

じゃあウチの新聞社らしい書きぶりを決めるのは誰?って話ですよ。そこに全てが集約してくるわけ。スポーツ新聞記事のマニアがいたら、その人が決めれるでしょ?中日戦のちょっと良いタイトルがあったら、泣けるようなマニアですよ。そういうマニアがいたら、その人たちは人工知能のプロデューサーとして、大活躍していく。ここから先はマニアを育てなければ。

 

でもマニアっていうのは、最初に自分の好奇心の赴くままに何かのマニアになればいいんですよ。そうすると、仕事でマニアになることが出来るようになります。脳の中にマニアモデルが出来るから。

 

なので、私は大学生とかに人工知能の時代に活躍するときにどうしたらいいですか?僕たちは何を学べばいいですか?って訊かれたときに答えるのが、何かを泣くほど好きになれ!って。

 

コンビニプリンでもいいよ。でも全てのコンビニプリンを全ての季節で全部網羅して、こう来たか!っていうプリンに出会ったときには泣けよって言うんです。それぐらいのプリンマニアになれたら、仕事になれるほどのマニアになれるからって。まずはマニアのモデルを脳に作れっていいます。

 

まずそのためには、若い人たちに暇がなければいけないのよ。時間がなければいけないので、大人はもっと時間を与えてほしいです。若い方たちに。