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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

未来授業:菅付雅信 第四回「デジタル・デトックスのススメ」

2020年1月9日配信の「未来授業」です。

www.tfm.co.jp

 

ーナレーションー

 

朝起きてスマホを立ち上げ、天気予報とカレンダーをチェックする。目的地までの道順をアプリで調べ、パソコンに表示されるお勧め商品を購入し、お勧め映像を観る。中には就職先や恋人選びまでマッチングアプリに委ねる人もいます。

 

いつの間にかAIのレコメンドに従って暮らしている私たちの未来は、AIが作った「私」というフレームから逃れられなくなっているかもしれません。

 

そこに、達成感や本当の幸福はあるのでしょうか。

 

未来授業四時間目、テーマは「デジタル・デトックスのススメ」。

 

 

 

菅付:どんどんAIみたいなものが発展して、僕たちの生活とか仕事に入ってくることによって、そんなに考えなくて日々が過ごせる、そういう世の中になりつつあると思うんですね。

 

例えば、19世紀に蒸気機関が発明されて近代社会が出来て、そのときには工場で人間が機械のように働かされている、というのがあったんですけども、20世紀後半になってくると、頭脳労働の時代だということになってきて、工場は機械が働いて、人間はなるべく頭を使えばいいということになってきたんですけど、その頭を使う頭脳労働ですらもAIが入ってくるということになってくると、人間と機械との終わりなき競争状態みたいなのが起きてきて、ある領域においても機械の方が優秀だってことになりつつあるんですね。

 

ですので、機械が人間に近づき、かつ人間が動物に近づいているような状態が起きてると思うんですけど。

 

じゃあ、機械でもなく動物でもない、人間らしい自分というのはどこにあるのだろうかっていうのが追求したかったテーマなんですね。

 

人間らしさが何かっていうことを、AIというのは僕らに問いかけているわけなんですね。ルーティンワークをやってくれるAIが僕たちの社会に入ってくることにおいて、人間でしか出来ないことをちゃんと考えないといけないときに来ているなと思ってまして。

 

AIが出来ない抽象的なものを捉えて表現する力、ある種文化的な、芸術的な力ってことですよね。

 

もう一つは、AIが考えられない上位概念を考える。物事の一つ上に俯瞰的に立って、全体を見下ろして、そこから違うところにイメージを飛ばすっていうことですね。

 

僕らの脳というのは、すごく寄り道したり、時々変なところにアイディアが飛んだり。例えば、僕らの夢なんかもそうなんですけども。かなりシュールレアリズムなものを毎日頭の中で見てる。ああいったことっていうのは、AIには全く出来ないわけなんですね。

 

なので、アイディアが飛ぶ、イメージが飛ぶ、アイディアやイメージが寄り道していくようなこと、これがすごく人間らしい行為であってAIにはたぶん永遠に出来ない行為なんじゃないかなって思いますね。

 

ーナレーションー

 

ではAIに囲まれた私たちがするべきことは、なんなんでしょうか。

 

菅付:例えば、休みの日に自宅からどこかに行くときに、Googleマップを使わずに移動してみるとか。Googleマップが普及10年ですけど、10年前までは誰もGoogleマップは使わずに移動してたわけですよね。

 

カレンダーみたいなものをもう一回紙に書いてみる。少なくとも、土日のオフの予定は紙のカレンダーに書いてみるとか、AIが全部レコメンドして楽にしてくれることを一旦無にして、効率主義にしなくていい時間は、もっとオフラインなものにしていって、レコメンデーションとは違う本当に自分で考えた道筋、自分で考えた日程を探してみるっていうのも良いかもしれません。

 

今回の取材の中で、アメリカのシリコンバレーに行って面白かったのが、一番聞いた言葉が「デジタル・デトックス」っていう言葉だったんです。デジタル断ち、デジタル断食みたいなことなんですけども。それをシリコンバレーのど真ん中の人ほどやってる。

 

例えば、一ヶ月のうち三日間はデジタル・デトックスサナトリウムに行って、iPhoneとかiPadとかPCみたいなものを全部入口で預けて、一切デジタルなものに触れないみたいな生活をしている人が実際にいたりとか。

 

そういうようにデジタルな合理性、効率主義とは違う時間、違う場所、違う体験というものをどこかで持っていないと、私たちはデジタルなレコメンデーションの中のルーティンの中で生きていくことになってしまうので、それはすごく危険なことではないかと思いますね。

 

若い人とか自分の子供世代の人に言いたいのは、ルーティンなことは機械がやってくれる世界が近づいてる。それは間違いないですね。

 

そういう中でどうやってよりよく生きていけばいいかってことなんですけども、機械が苦手なことはハッキリしてるわけですから、その苦手なことを早いうちから学習し、追求していった方がいいと思うんですね。

 

自分が好きなこと、好きな趣味、学術的なことでもいいですし、スポーツでもいいですし、アートや音楽でもいいと思うんです。それを追求していく。しかもなるべくルーティンの枠から外れたような、ある種深掘りとか寄り道をしたりとか、もっと俯瞰的に見たりとかして、AIが考えつかないようなものを使っていく。そういうような創造性のある子供たち、若い子たちが育っていってほしいなと思います。