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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<未来授業>片田敏孝 第一回「広域災害と広域避難」

2020年1月13日配信の「未来授業」です。

広域災害と広域避難 | 未来授業 | これからの時代を生き抜くヒントを学ぶ特別授業

 

ーナレーションー

 

今週の講師は、防災・減災のスペシャリスト、東京大学特任教授、片田敏孝さんです。

 

昨年日本を襲った台風15号と19号。強風で屋根を飛ばされたり、河川が氾濫したりと多くの地域が甚大な被害に見舞われました。

 

そこで今週のテーマは"巨大台風の教訓を活かす"。片田さんが2つの大災害を検証し、防災・減災のヒントを探ります。

 

「雨の降り方が変わり、これまでの防災の常識が当てはまらなくなってきた」と片田さんは言います。

 

未来授業一時間目、テーマは「広域災害と広域避難」。

 

 

片田:今回の19号台風の特徴をですね端的に言うならば、広域災害っていうことなんだろうと思うんですね。とにかく広い範囲に膨大な雨が降る、という状況になってくるんですね。そうすると、災害の起こり方が少し変わってきてるんですよ。

 

まず、河川の上流部、山あいのところ、小さな河川のところは降った雨が即座に川の水位を上げますから、即座に災害という形で表に出てくるわけですね。

 

そこの被災に注目していると、その雨が流れ下ってきて今度は中流域の川が危なくなってきて、堤防が危ない、切れるかもしれないと大騒ぎをしていると、今度はいずれ下流部、流域全体がやられるという状況の中で対応に苦慮するという状況になってきました。

 

従来の防災はですね、その地に降った雨とその地の河川の水位を見て対応をする、いわゆる「地先の対応」ということだったんですけども、流域全体で降った雨、上流域の川の水位、そういったものを全部読み解いて、いずれ中流域、下流域にどういう状態をもたらすのか、というのを読み解かなきゃいけないという非常に高度な技術を要するということになってきたんですね。

 

でも日本の防災はですね、市町村単位でやるということが基本になっているんですよね。でも中流域、下流域の役所の方々がですね、遙か彼方上流の雨、上流の小さな河川の氾濫、みたいなことを全部読み解いて、この先我が地はどうなるのかっていうことを読み解くことは、通常は市町村の職員には難しいことなんですよね。

 

そうなってくると、河川や雨を読み解く専門家、広域的な状況というのを下流域・中流域の自治体の防災対応に役立てるというが非常に重要になってきたな、と言えると思うんです。

 

ーナレーションー

 

市町村単位ではなく、上流域・中流域・下流域を合わせた広域で気象や河川の情報を把握することが必要。そのための仕組みづくりが急がれます。

 

 

片田:それからもう一つは、避難の問題なんですよ。例えばですね、江戸川区をはじめ東京江東五区には、250万人の方々がお住まいで、いずれも0メートル地点。

 

0メートルというと海抜0メートルの意味に聞こえますけど違うんですね。マイナスなんですよね。海面よりも5メートルも10メートルも低いところに250万人の方々がお住まいということなんですね。

 

海面があって、堤防という薄皮一枚で守られて、それよりも低いところに250万人が集まり住んでるという状況ですよね。

 

堤防というのは一ヶ所でも切れたら、堤防全体が機能しないという、最後、海の高さと同じになるまで容赦なく水が入って、そして台風が去ったとしても、その水は海の高さと同じですからひかないんですよね。これをドライにするためには、二週間も三週間もかかるんです。

 

そこに取り残されるとどうなるか。ライフラインは切れちゃいますね。エアコンは効かない、水はない、トイレは使えない、冷蔵庫のものは腐り始める、ここに膨大な数の人が残ったときに、これそのものが災害になってしまう。

 

こうなってくるとですね、その地にとどまってはいけない、すなわち、広域避難が重要になってくるわけですね。

 

仮に250万人の方々を域外に逃げていただくためにどれだけの日数がかかるのかっていうことをシミュレーションしてみたんですね。三日かかります。避難の情報で一気に人が動き始める、ということを考えるとですね、川を渡っての避難になりますよね。橋のところがボトルネックになって、ありとあらゆる道が人と車で埋め尽くされて、フリーズ状態になっちゃう。

 

身動き取れない。雨も強い、風も強い、そして堤防が危ない、なんていう状況の中で動きようのない時にもしその時を迎えたら、膨大な数の犠牲者が出てしまう。

 

だから、三日くらい前からですねその可能性があるよ、という段階から動いていただかないとどうにもならない、というこういう難しい問題なんですよね。

 

ーナレーションー

 

台風19号の際は、交通機関が計画運休を実施しました。ただし、交通機関がストップすると、広域避難をすることも出来なくなります。

 

片田さんは、広域避難はもはや1地域の問題ではなく、国が考えるべき問題、とも話しています。

 

「巨大台風の教訓を活かす」

 

今日は「広域災害と広域避難」でした。