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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<未来授業> 片田敏孝 第二回「高齢者の避難と命を守る主体性」

2020年1月14日配信の「未来授業」です。

高齢者の避難と、命を守る主体性 | 未来授業 | これからの時代を生き抜くヒントを学ぶ特別授業

 

ーナレーションー

 

今週の講師は、防災・減災のスペシャリスト、東京大学特任教授、片田敏孝さんです。

 

今週は「巨大台風の教訓を活かす」。

 

台風15号と19号。昨年日本を襲った2つの大災害を検証し、防災・減災のヒントを探ります。台風19号による犠牲者の7割は、60歳以上の高齢者でした。

 

未来授業二時間目、テーマは「高齢者の避難と命を守る主体性」。

 

 

片田:避難の問題はですね、今回もまた犠牲者の多くはご高齢の方々、いわゆる要配慮者の方々で占められたんですね。

 

当然、お年を召せば、そして身体の不自由な方々は避難に困難を伴うことは言わずもがなですよね。

 

そういう状況の中で、いまの日本の要配慮者対策はどうなっているのかというと、まず要配慮者の台帳を作ります。名簿を作るわけですね。そしてこれは行政では対応出来ないので、地域の問題です、と地域にお願いしている状況なんです。

 

そうしますと、その名簿というのは一般には民生委員のところに行くんですね。いざとなると、民生委員の方々が走り回って、今回もそうなんですけど民生委員の方々で亡くなる方もいらっしゃる。あまりにも多くの方々を地域に委ねる、民生委員の方々に委ねてしまっている、という構造になってしまっている。

 

でも、もう私は無理だと思います。

 

寝たきりであるとか、生命維持装置をつけてるだとか、重篤な方々ですね、そこまで全部含めて地域にお願いと言っている。これはあまりに無責任ではないか、と思うんですよ。

 

ここはしっかり行政が、出来る出来ないじゃない。ここは行政が対応すべきだ、っていう風に思うんですね。

 

具体的にはですね、地域にお願いするにはあまりにも大変な方々については、例えば、ケアマネージャーさんが要介護認定するように、避難行動に必ず対処をしなければいけない方々、という限定的な名簿を作り、行政がしっかり管理をし、その方々の避難計画は行政が責任を持つんだ、と。

 

一方で、健康加齢したお年寄りは地域の問題ですよ、と。地域の中で声を掛け合って逃げていただく、というような体制をしっかり地域にお願いしていただく。ここは明確に線引きすべきだと思うんですね。

 

健康に加齢したお年寄りの状態って、いずれ自分の行く道ですよね。年をとっても、足腰が多少弱っても、この地域にいれば大丈夫、こうやってみんなに見てもらえるからって。そして、どうにもならない重篤な状態になった場合は、行政がしっかり対処してくれるからって。メリハリある形で対応していかないと、私は日本の要配慮者から犠牲者が出る構造はなくならないように思うんですね。

 

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片田:今回の19号台風はですね、避難情報が適切だったのかということにおいては、そうじゃないケースもたくさんありました。

 

もはや災害の状況を読み解き、適時適切に適切な場所にタイミングよく情報を出せるか、というと必ずしも可能じゃないんだ、ということも我々は認識しなきゃいけない。

 

そうなりますと、「これはおかしいぞ」と思ったとき、もしくは「ひょっとしたら」と思ったときは、早め早めの自分の命を守る行動をとっていただかないといけない。それが命を守る主体性という問題だと思うんですね。

 

避難勧告が出たら逃げる。これは受け身ですよね。

 

いま本当に求められるのは、命を守ることに対する主体性という問題なんだと思うんです。

 

海外の事例を少し話しますと、一昨年、アメリカのヒューストン辺りをハリケーン「ハービー」というのを襲いました。1300ミリの雨が降りまして全米始まって以来の水没をしたんです。その一週間後にハリケーン「イルマ」というのがもうワンランク上の大きさで、フロリダ半島を直撃したんですね。スコット知事は380万人に避難命令を出したんです。逃げたのは650万人です。一週間前に水没したのを見てますから、フロリダ半島の人たちは1000キロ離れたアトランタに、キャンピングカーに家財を積んで家族を積んで、懸命に避難をされた。

 

この避難を見るときにアメリカの社会っていうのを紐解いてみますと、郊外に行きますと、広大な小麦畑にポツンポツンと家がある。もしそこに強盗が来たら、警察呼んでも間に合わないわけですね。自分の命は自分で守るっていう徹底した意識、というのがアメリカの国民にはあるんですよね。

 

今のハリケーン対応に戻りますと、政府が言うことなんか関係ないんですね。とにかく一週間前にあんなことがあっただろ?今度はもうワンランク大きいぞ、そりゃあ僕は逃げるよ、っていうこの主体性ですよね。

 

少し日本の社会が、命を守るということに対する主体性をなくしてしまっているんじゃないかって。

 

「なぜ逃げなかったの?」「だって避難勧告がなかったもん」

 

今回「ひょっとしたら」という状況のときには「外れたら良かったじゃないか」と。そのことにならなかったんだから、と。自分の命を守ることに対する最善な行動を主体的にとる、ということが日本国民一人一人にも求められてきてるんじゃないかなって思いますね。

 

ーナレーションー

 

「避難勧告が出たから逃げる」

 

これは受け身の行動。そうではなく、危険を感じたら、一人一人が自分の命を守る精一杯の行動をとってほしい、片田さんはこうおっしゃいます。

 

「巨大台風の教訓を活かす」

 

今日は「高齢者の避難と命を守る主体性」でした。