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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<未来授業>片田敏孝 第三回「3つの避難」

2020年1月25日配信の「未来授業」です。

3つの避難 | 未来授業 | これからの時代を生き抜くヒントを学ぶ特別授業

 

ーナレーションー

 

今週の講師は、防災・減災のスペシャリスト、東京大学特任教授、片田敏孝さんです。

 

今週は、2019年の台風15号・19号という2つの大災害から、防災・減災のヒントを探っています。

 

台風19号では20万人を超える人が避難しました。避難先として挙げられるのが、学校の体育館などの「避難所」。今日はそんな「避難」と「避難所」について考えます。

 

未来授業三時間目、テーマは「3つの避難」。

 

 

片田:相変わらずですね、避難所が多くの人で埋め尽くされて雑魚寝状態で、最近ダンボールベッドなども入るようになったりもして、多少の改善は図られてはいますけれども、基本は昭和の初期も平成も、そして、令和に入ってもずっと体育館雑魚寝状態っていうのは、同じなんですよね。

 

これだけ多くの人の中で毛布に包まって、みたいな、この状態の避難所の環境、避難そのものを躊躇するという問題。つまり、避難率に直接影響するという問題。

 

そしてもう一つは、その避難所の環境の中で寒冷地が増えているということ。命に直結する問題がこの避難所の問題だと思うんですよね。

 

そこでじゃあどうしたらいいのか、ということなんです。

 

少し避難の仕方を整理する必要があるように思うんですね。避難って英語ですと単語が三つに分かれるんですね。

 

一つは「Evacuation」といいまして、ニュアンス的どういうことかというと、命からがら避難、というイメージなんですね。つまり、津波が来ました。電信柱に駆け上がってでも命を守る、という命を守り抜くという意味において、この「Evacuation」という避難があるんですね。これは命を守ることにおいて、重要な避難ですよね。

 

二つ目の避難はですね、「Sheltering」といいます。シェルターに行きましょう、という退避的な避難なんですよね。もっと現実に即していうならば、体育館避難みたいなイメージなんですよね。避難勧告や避難指示というような行政からの情報が出るときには、この「Sheltering」を意味してるんですよね。

 

蛇足ながら三つ目を言うならばですね、東日本大震災の方々は、八年経った今も避難をしておりますっていうこの避難。これは「Refugee」と言いまして、「Refugee Camp」っていうと難民キャンプのことなんですね。つまり、仮説住宅の避難というのは、難民状態であるということなんです。ですから、命辛々避難、体育館避難、仮説住宅避難、こんなイメージで避難というのは、概念的には分かれていきます。

 

そのときにですね、避難の全ては相変わらず基礎自治体が対応している。つまり市町村が対応しているわけです。私はこの緊急対応をしなきゃいけない、災害の対応をしなきゃいけない、そして何よりも住民のの命を守らなきゃいけない、避難所を開設しなきゃいけない、この全てがですね混乱の最中、市町村に委ねられてることの問題があるように思うんです。

 

私は基礎自治体、つまり市町村の一義的な責任は、やはり命を守り抜くことに置かれるべきだと思うんです。命辛々避難です。そこには快適性も何もないです。とにかく命が守られればいいんだっていう、そのレベルの避難は基礎自治体がしっかり対応する。

 

しかし、ある程度そこに滞在をし、そこに生活という側面が出てくるわけですので、これは基礎自治体ではなくて、例えば、県だとかもう少し広い単位で対応すべきことなんだろうと思うんです。

 

ーナレーションー

 

命辛々逃げる避難と、一時的に生活を送る避難を分けて考えるべきだという片田さん。海外の避難所の事例も示してくれました。

 

片田:例えばですね、イタリアの避難所というのはどうなっているかといいますと、1ファミリー六人くらい入れるテントが設営されて、仮説ベッドが入れられて、仮設トイレも作られる。

 

そして、NGOと連動してまして、そこはキッチンカーなどを持ってまして、仮設のレストランみたいなものを開いて、調理人がいて、ちゃんとした食事を提供する。

 

避難所の環境で良く言われることが、ベッド・食事・トイレ、この三つなんですよね。災害の最中、基礎自治体が限られた人数の中でやっていくということ、そしてそれを常に市町村が常備しているっていうのは不可能ですよね。

 

ですから、避難の概念の中の「命辛々」の部分は、快適さとかそんな問題ではなく、命が守れますか?ということだけが問われて、これは市町村がしっかり対応していく。

 

一方、避難所運営だとか避難所というシェルタリングの問題は、基礎自治体から切り離すべきだと僕は思います。そして県だとか関東中部といった広域的な対応をしていかなければいけないんじゃないかなと思います。

 

これもずっと言われ続けています。もういい加減なんとかしましょうよ、ということは、今回の19号台風を踏まえた会議では言っていきたいなと思ってるんですね。

 

ーナレーションー

 

台風19号でも長引く避難生活によって、災害関連死で亡くなる方が出ました。

 

せっかく助かった命が、避難所生活で失われることのないように対策が急がれます。