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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<未来授業> 片田敏孝 第四回「ハザードマップと避難三原則」

2020年1月16日配信の「未来授業」です。

ハザードマップと避難三原則 | 未来授業 | これからの時代を生き抜くヒントを学ぶ特別授業

 

ーナレーションー

 

今週の講師は、防災・減災のスペシャリスト、東京大学特任教授、片田敏孝さんです。

 

今週は「巨大台風の教訓を活かす」。

 

2019年の台風15号・19号という2つの大災害から、防災・減災のヒントを探っています。

 

防災の基礎知識として抑えておきたいのが、ハザードマップです。「洪水」「土砂災害」「津波」など、市町村ごとに地域に応じた様々なハザードマップがあります。

 

あなたは自分が暮らすハザードマップをしっかりチェックしていますか?

 

未来授業四時間目、テーマは「ハザードマップと避難三原則」。

 

 片田:今回の19号台風を見ておりますと、雨の降り方がこれまでと違うものですから、とにかく現象が複雑になってくるという特徴があるんですね。

 

ですけどね、「洪水」についてはハザードマップは比較的当たりやすいんですね。と言いますのは、水っていうのは基本的に低いところに行きますから、地域の高低差を見ていれば、おおむねどの辺りが浸かりそうかっていうことは当たりやすい。

 

しかし、「土砂災害」が非常に難しい現象なんですよ。急斜面であれば崩れやすい、これは誰もがわかりますよね。ですから「土砂災害」のハザードマップというのは、傾斜の角度や斜面の高さに基づいて、警戒区域・特別警戒区域という形で示されて、ハザードマップ化されるんですね。

 

今回、千葉県でも群馬県でも警戒区域に色塗られてない所で「土砂災害」が起こったんですね。

 

あまりにも膨大に雨が降ると、水が流れ去る前に染み込むという現象が起こるわけですよ。そうすると、斜面が緩やかだからこそ染み込む量が多いという状況があって、急斜面じゃなくて半斜面、つまり緩やかな斜面のところで「土砂災害」が起こるという事態が頻発したんですよね。

 

そうしますと、ハザードマップには示されない所で災害が起こるということになりまして、群馬県でも千葉県でも起こってしまったということなんですね。

 

ハザードマップの中でも、「津波」のハザードマップと「土砂災害」のハザードマップは、当たりにくいんですね。現象があまりに複雑です。「津波」であればうんと大きくなったり、「土砂災害」であれば指定されてない所、色分けされてない所でも災害が起こるということになってきました。

 

そういう面ではですね、ハザードマップが一定の災害の目安にはなるんだけども、その通りに事が起こるわけではないということ。

 

基本、高いところにあるものは低い所にいずれ落ちてくるんですよね。ですから、万が一を考えて、ここならば大丈夫というところに退避をするという、積極的な災害に対しての向かい合う行動というのが必要なんだろうと思います。

 

ーナレーションー

 

台風だけでなく地震津波、火山の噴火など自然災害は思いもよらない被害をもたらします。

 

片田:私はですね、釜石を中心に津波避難の指導をしてきました。そして東日本大震災以降、全国で同じようなことをやっておりますし、その中でも「避難の三原則」ということを子供たちや地域の方々にはお話してきたんですね。

 

一つ目は「想定に囚われるな」。もう少し直接的に言うとですね、「ハザードマップを信じるな」って言ったんですね。

 

ハザードマップっていうのは、災害のシナリオが書かれております。でもたった一つのシナリオが書かれております。毎回災害っていうのはですね手を変え品を変えやってくるわけですので、ハザードマップ通りのことが起こるわけではありませんよね。

 

自然はいかようなことも起こりうるんだ、だからより安全な行動をさらに積極的にとっていかなきゃいけない、ということなんだと思うんです。

 

二つ目は、そうであるが故に自分に出来ることは何かというとですね、「自分にとって出来る精一杯のことをやるだけだ。最善を尽くせ」という風に伝えてきたんですね。

 

最善というのは、これ以上の行動をとれない程の行動の結果は、仕方がないということであって、問題なのはあなたにとって最善な行動をとったかどうかってことなんですね。

 

三つ目は、「率先避難者たれ」という風に伝えたんですね。

 

周りのみんなが逃げてないから、その時に自分だけ逃げることって出来ないんですよね。もしあなたが一番最初に行動をとるならば、周りの人たちもあなたの行動に釣られて行動をとるだろうから、自分一人で逃げることを決して卑怯だとか思わずにですね、周りに救うことにも繋がるんだよ、と伝えてきたんですね。

 

これは津波避難の三原則として、釜石などではお話してきたんですけども、あらゆる災害に共通だと思います。

 

自分に向かい合えてること、周りに同調するというような消極的な動きではなく、積極的な主体性を発揮するということ。これが避難三原則に示されたことなんだろうと思うんですね。

 

これは個人に言ってる避難の三原則なわけですね。社会の体制としては改善しないといけないことがいっぱいありますね。

 

行政が主体で国民が客体であるという、つまり守る存在、守られる存在、という関係構造ではなくてですね、行政も地域の方々も一緒になって、地域の災害に向かい合うような状態で行政も住民も積極的に主体性を持って行動をとってもらうこと。その中で達成出来ることが、我々にとって出来る社会にとって出来ることの全てだろうと思います。