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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<未来授業>西村カリン 第一回「学校で重んじられる"議論"というコミュニケーション」

 

ーナレーションー

今週の講師は、ジャーナリストの西村カリンさん。

 

フランス・ブルゴーニュに生まれ、フランスのテレビ局で技術部長を経験したのち、1997年に来日。現在は通信社の記者、そしてジャーナリストとして、今の日本の姿をフランスに伝えています。

 

昨年出版された夫である日本人漫画家のじゃんぽ〜る西さんの作品『私はカレン、日本に恋したフランス人』では、カリンさんに来るまでのいきさつやフランスとは異なる日本の生活習慣に戸惑い、溶け込んでいく姿が描かれています。

 

今週は、そんな西村カリンさんによる日常の様々な風景に見る、日本とフランスの比較文化論、そして西村カリンさんがそれでも日本に住む理由、というテーマでお送りしていきます。

 

未来授業一時間目、テーマは「学校で重んじられる"議論"というコミュニケーション」

 

 西村:フランス人は自分が考えていることを言っちゃうんです。それは大人の態度と言われています。教育も大人になるために自分が考えていること、自分の意見をちゃんと伝えないといけない。

 

日本ではほぼ逆です。自分の意見をパーっと言っちゃう人は、子供っぽいって言われちゃうかもしれない。ただそれは逆ですので、私日本に来たときにすぐにその違いがわかって、自分の基本ソフトを変えないと、この社会に暮らせないと思ったんです。だから基本ソフトを変えたんです。完全に。

 

パリに行くときにまた、フランス人のソフトに入れ換えてフランスの社会でも暮らせる。例えば、パリに行くときに喫茶店で座って待つと、絶対に店員さんは来ない。来ても怒ってしまう。「ちょっと長かった」って言ったら、「いやー今忙しいからしょうがない!」って言ってすぐ喧嘩になっちゃうんです。ただ戦わないと、その社会で生き残れないんです。フランスの社会。だから私フランスに行くとき、戦いモードにします。何か欲しい場合は、戦わないといかないことをわかってるんです。

 

日本ではサービスは完璧なので、お客さんは本当に王様です、ここは。だから、戦いモードは必要ない。

 

ーナレーションー

日本とフランスを行き来するカリンさん。「戦いモード」と表現するフランスの生活に必要なことは、幼い頃から学校で学ぶことになります。

 

西村:フランスの学校と日本の学校の違いを指摘したいんです。それは例えば、ニュースで大きいことが起きた場合、例えばコロナウイルスとかテロとか事故とか地震とか起きた場合は、フランスの学校だと普通の授業をやめて、ニュースについて議論する。

 

というのは、今起きたことはおそらく全ての子供は気になっているから、今こそ議論しないといけない。授業は算数とか国語とか、明日でも明後日でも2ヶ月後でも出来る、変わらないのでそれは。ただ、今起きたことは全ての子供が気になっているからこそ議論しないといけない。

 

例えば、選挙。フランスでは大統領の選挙があって、選挙のときに国が変わるかもしれない。政策が変わるかもしれない。その子供にも良い影響と悪影響与える可能性もありますので、その選挙について議論する。それはタブーではない。政治のことはタブーではない。むしろ、日常生活に重要なことなので、国語・算数はもちろん重要ですが、選挙も重要です。

 

特に選挙について議論すると、先生は例えば何かの政策について、これは正しいこれは正しくない、って言えないんです。目的は自分の意見をちゃんと言うことです。それで他人の意見も聞くこと。自分が強く思ってたことで他人の意見を聞くと、間違ってる可能性もありますし、先生が言ってることが正しいことと思わないように先生が議論しています。

 

というのは、先生が大人だから正しいっていうことじゃなくて、先生が言ってることも嘘であるかもしれないし、正しくないことであるかもしれないし、間違ってる判断であるかもしれないし、それは言ってもいいんです。

 

だから、我々フランス人はカルテジアンっていいます。デカルトの哲学。大事なのは聞くこと、見たことは正しくないかもしれない。疑いを持つのが大事であることです。