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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<未来授業>ブレイディみかこ 第4回「EU離脱と英国の未来」

 

ーナレーションー

今週の講師は、福岡出身、英国在住のコラムニスト・ブレイディみかこさんです。

 

英国社会を一市民の立場から見つめるエッセイ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』はベストセラーになっています。

 

英国は先日、EUから正式に離脱しました。そもそものきっかけは、他のヨーロッパ諸国から大量の移民が流入してきたことです。

 

EU離脱で移民の排斥や差別が進む」という見方もありますが、ブレイディさんの考えは少し違うようです。

 

未来授業4時間目、テーマは「EU離脱と英国の未来」。

 

ブレイディEU離脱EU離脱って3年半くらい言われてきて、議会で否決されて、また決まりそうなんだけど、また議会で否決されて、首相が辞めて、とか、麻痺するんですよね。流石に。

 

EU離脱疲れとかしている人たちも結構いるって英国では言われますけど、最初のEU離脱国民投票が2016年にあったときには、すごい排外主義の盛り上がりがあったし、そういうケースが多くなったっていう統計も出てるし、もちろんそうなんですけど。

 

EU離脱したけど、これからどうなるんだろう。あんまり実は変わらないんじゃない?みたいな(笑)結構そういうことを言っている人も多いので、離脱はしましたけど、実際の交渉とかはこれから今年いっぱいにやっていく話になっているから、これからどうなっていくのかしっかり見ていかないといけないし、私なんか移民の立場で生きてますけど、EU離脱によって前よりめちゃくちゃ差別されるようになったかっていうと、別に前から差別されてたんで、そこはそんなに。

 

人種のことをすごく言われますけど、分断が進んだのは世代間闘争みたいなのもあって、若い人たちは残留に入れていて、上の年配の人は離脱派が多かった。この2つの憎しみ合いみたいのもあって。テレビのディベート番組を見ていても、若い世代が年長の世代に「あなたたちが自分たちの未来を奪った」みたいなことをハッキリ言ったりとかして、上は上の世代で「いや、君たちはまだ若いからまだ何もわかってない」みたいな、ほぼほぼ喧嘩みたいになっているような、離脱と残留で大揉めして、議会でも大揉めして、何もかも茶番みたいになっている。

 

これを見ている、例えばウチの息子の世代もいま13歳ですけど、育ってますよね。ああいう状況を見ていると、大人げないと思ってると思うんですよ。

 

ウチの息子たちの世代が、冷静な落ち着いた世代になるのかもしれなくって、ティーンの世代がこれからどんな世の中を作っていくのかなって思った時に、私はそこには希望があるような気がしますよ。

 

彼らはきっと違う大人になるだろうっていう気がしてますよ。非常に冷めた目で見ている子とかいますもんね。また冷めた目で見せるような醜態を晒してると思いますよ、大人は。

 

ーナレーションー

人種や出身地、宗教や国籍、私たちのアイデンティティは1つではありません。互いの多様なアイデンティティを認める感性を、ブレイディさんは息子から学んだと言います。

 

ブレイディ:もう考え方が全然違いますよね。私の連れ合いはアイルランド人ですし、私は日本人で、息子はその間にブリティッシュとして生まれ、ブリティッシュっていうのは、最近は移民の人たちも英国で生まれたらブリティッシュだって言いますからね。

 

そういう意味ではウチの息子もブリティッシュなのかもしれないし。彼は自分のアイデンティティが1つに選べないって言ってる人なので、ウチは3人3様で考え方が全然違うんですよね。家庭の中に多様性がある、みたいな感じですよね。

 

でもこれってウチだけじゃなくて、ウチみたいな家庭って英国たくさんあるじゃないですか。だからこういう子供たちが大人になる時っていうのは、全然いまと考え方が違うはずだし、いま言うことも違いますよね。

 

だから私たちが思い込んでることが、もしかしたらもう違うのかもしれないなっていうことを日々の言動から感じることがあるので、これはどっちが正しい、とか言う前に、もう私はそこに希望を感じますね。

 

あんまり将来のことは悲観していないというか、ウチの息子の世代の子たちを見ていると、結構楽天的ですよね。世の中が良くなるんじゃないのかなって。

 

勝手に大人って「トランプ大統領が出てきた。EU離脱があった。ああもう世の中終わりだ。終わるんじゃないか」って、勝手に終わらせるなって。いま育ってる世代がいるからって。その世代を見てると、絶対悪くならないって確信してますね。

 

日本に帰ってくる度にすごく思うんですけど、楽観性がなくなってる感じがするんですよ。

 

日本はデフレで経済がどんどん縮んできたじゃないですか。それと共に人間の心も萎んできたのかあれですけど、こういう時代の空気だと、いまはこれがしたいけど、そういう場合じゃないから、とりあえず就職しないといけない。入ったら嫌なこととかあって、他にやりたいことがあったとしても、「いや、もうこれでいかないと」っていう守りの態勢ばっかりに入ってると、それがどんどんどんどん生きづらさの原因になってくると思うんですよ。

 

こういう時代こそ、ちょっと外れてみるっていうか、既成概念とかこうしなければいけない、というものから、ちょっと外れてみて、外に出てみる。世界は広いから、生きづらいんだったら海外出りゃいいしっていう。私は自分が出た人間だからそう思うんですけど。

 

世界はここだけじゃないっていうことをいつも思って、新しい世界に飛び出していった方がきっと楽になれるし、そういう人がどんどん増えていくことを願ってますね。