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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<未来授業>古田大輔さん 第2回「ニュースメディアの危機とニュース黄金時代の到来」

2020年4月7日配信の「未来授業」です。
www.tfm.co.jp

 

ーナレーションー

今週の講師は、ジャーナリストの古田大輔さん。

 

新聞記者を目指したきっかけは、大学1年生のとき。世界を旅する中でインドにあるマザーテレサの「死を待つひとの家」でボランティアをしたことだと言います。

 

生まれた場所によって苦しい一生を送らなければならない人がいて、それを何とかしようと努力している人たちがいる。その両方を世の中に伝えれば、少しでも世の中が良くなるのではないか、という思いからだったそうです。

 

ジャーナリストとしてのスタートは、朝日新聞社の事件記者。アメリカ発のオンラインメディア、バズフィードジャパンの編集長を経て、当時の取材の在り方やニュースメディアの未来を今の古田さんは、どう捉えているのでしょうか。

 

未来授業2時間目、テーマは「ニュースメディアの危機とニュース黄金時代の到来」

 

古田:事件記者たちが当時、僕も含めてどういう特ダネを争っていたかというとですね、何か事件が発生すると捜査が始まる。で、容疑者の逮捕をいち早く、他社より早く書く、っていうのがすごく重視されてたんですよね。

 

でもいち早く書くって言っても、逮捕しちゃったら警察は発表するわけですよ。警察が発表するよりほんのちょっとでも早く記事を書くっていうのが戦いだったんですよね。

 

例えば、全国的にも話題になった鳥インフルエンザ事件というのがありました、当時。京都のニワトリの農場から鳥インフルエンザが拡散するんですよね。

 

でも最初にそれが発生したときに、どうも隠していたのではないかと。その責任者が。というので、京都府警が捜査をする、強制捜査をするという事件があったんですけど。それの強制捜査の開始をいち早く、僕と先輩の2人で特ダネにしたんですよね。

 

それ以外にも、木津町長が公職選挙法違反で町長が逮捕されるって、当時大きな事件があったんですけど、それも他社に先駆けて京都府警が身柄を確保したっていう風な記事を書いたんですけれども。

 

これ新聞記者としては特ダネなんですよ。でも1年2年経ってから自分で考えた時に、ではあの特ダネを書いたのは、世の中にとって何かプラスだったんだろうかって考えたんですよ。僕らはその記事を夕刊で書いたんです。夕刊と朝刊で書いた。でもその6時間後には警察は発表するわけですよ。6時間早く僕らは書くために全く休まず、朝6時から夜中の2時まで働いてそういう記事を書いてたんですけど。

 

僕が当時考えたのは、もっと僕がやるべきだったのは木津町長はなぜ町長の立場にありながら、公職選挙法違反を犯してしまったのか、というのをもっと町の成り立ちぐらいから掘り起こしてきちんと書くことの方がもっと重要だったんじゃないのかな、という風に思いました。

 

ーナレーションー

夜討ち朝駆けで日々事件を追っていた古田さんは、オンラインメディア「バズフィードジャパン」を経て、今ニュースメディアにおける新たな問題を提示しています。

 

古田:みんなが日々当たり前のように読んでいるニュースというのは、それを発信する人たちがいるからこそ成り立つものであって、それって今日本でニュースを日々取材して出しているのって、1番力になっているのは間違いなく新聞業界なんですよ。

 

日本の新聞社の編集局って、今19000人いるわけですよ。この人たちが日々取材して発信しているから、それを元にしてテレビ番組が作られたり、ラジオ番組が作られたりしているんですよね。インターネットメディアもそうです。独自にやっているものって、すごく数が少ないんですよね。

 

じゃあ、それどうしますかと。このままだと明らかに新聞紙のビジネスモデルって崩壊しているから、新聞社は潰れていきますと。じゃあまずやらないといけないのは、新聞社は潰れないようにビジネスモデルを変えないといけないし、同時に新聞社の人員がこれからカットされたとしても、同じように情報が発信されるようにインターネットメディアが力をつけていかないといけない。

 

まさにそれをやっているのが、アメリカでいうと老舗の新聞社。100年以上の歴史を誇るニューヨークタイムズ。今彼らは自分たちのことをなんていうかというと、「我々は素晴らしい新聞紙も発行するデジタルメディアだ」ってニューヨークタイムズの人は言ってるんですね。そういう風に脱皮したわけですよ。

 

ただ難しいのはですね、「新聞のデジタル化やりゃあいいじゃん。当たり前じゃん」って聴いてる方思うと思うんですけど、日本の新聞社ってとても大きいんですよね。全国紙だと売り上げ年間数千億円。地方紙でも実は100億円以上の売り上げがあるところがたくさんあります。

 

それがなぜ可能だったかというと、新聞紙って寡占業界だったからです。新聞社って少ないですよね。でもインターネットの世界って、インターネットメディアって、数え切れない程あるし、個人でもやってる人たちがいると。そうすると、購読先もいっぱいあるし、広告の出し先も山ほどあると。当然、パイの奪い合いになるんですよね。

 

そうすると、紙でやってた時代のような収益性を見込むことは不可能になったと。その中で今数千億円の売り上げが毎年数%ずつ落ちていく。つまり数十億円からのお金が毎年減っていく。今日本で1番頑張ってるインターネットメディアでも、年間数十億円ギリギリ儲けられるかどうかぐらいのレベルなんですよ。じゃあそれを1年で作ってみてって、出来ないんですよね。

 

だから投資することに躊躇してしまうし、躊躇している間にどんどん足腰が弱まわっていくっていう矛盾の中で今日本の新聞社の方々は苦しんでいる。

 

だけど、新聞社がデジタル化したり、新しいデジタルメディアが生まれたりして、全体で見るとニュースの黄金時代を作っていくっていうのが、今のあるべき姿なんだろうなって思います。