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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<未来授業>高嶋哲夫さん 第2回「国境の壁、心の壁」

2020年5月5日配信の「未来授業」です。

www.tfm.co.jp

 

ーナレーションー

今週の講師は、作家・高嶋哲夫さんです。

 

高嶋さんの小説『首都感染』は、新型コロナウイルスの世界的な感染を予言する本として、いま大きな注目を浴びています。

 

高嶋さんの作品の特徴は、サイエンスとエンターテイメントの融合。

 

綿密なリサーチと科学的な知識に基づいて、実際の災害や危機を予言するかのような作品を数多く手掛けてきました。

 

そんな高嶋さんの最新刊が『紅い砂』。物語の舞台は、難民流出が絶えない中米の小国「コルドバ」です。

 

未来授業2時間目、テーマは「国境の壁、心の壁」

 

高嶋:3年ほど前に、トランプさんが壁を作ってですね不法移民を止めようっていうことがあって、ちょうどその頃中米からですね、何千人もの人がアメリカを目指して押し寄せてきたっていうことがあったんですね。そのためにトランプさんは壁を作って、それを阻止しようっていうことだったんですけど。

 

それが非常に頭に残ってるということとですね、それと大学を出て、就職する前に僕アメリカ一周したんですよ。その時にエル・パソっていう西部劇によく出てくる街があるんですけど、そこをリオランデ川が流れてるんですね。それがちょうどメキシコとの国境にある川で。川のアメリカ側からメキシコ側を見るとですね、暇そうなっていうか元気そうなメキシコの人たちがずっとアメリカを見てるんですよ。

 

で、アメリカの友達に「あれは何してるの?」って訊いたら、「不法移民としてアメリカに入るチャンスを狙っているんだ」っていう。これがもう何十年も前の話なんですよね。それがすごい心に残っていて。

 

ここ数年間、コロナが始まる前なんですけど、EUに難民がシリアとかアフリカから、要するに豊かな国を目指して押し寄せてきて。で、不幸にして非常に多くの方が亡くなっているっていう。子供も含めてですね。だから、そういう難民問題、あるいは不法移民問題というものをずっと調べてきたんで、これは書いておかないとダメだっていううので書いたのが『紅い砂』っていう小説なんです。

 

難民っていうことを考えるとですね、要するに自分の国を捨てて、他所の国に行くっていうことですよね。これが本当に彼らが望んでいるのかと。

 

日本でも震災が起こると、「ふるさと」っていう言葉が出て、「ふるさとに帰りたい」っていうことをよく聞きますよね。それ以上に難民の方たちというのは、自分の祖国を捨てて、家族を連れてまるっきり知らない、かつ嫌がられている国に行かなきゃダメだっていう。それこそ非常に大きな不幸ではないかっていう風に思うんですね。

 

だから、それを何とか阻止するためには、難民自体がある程度自分の祖国というものにもう少し住みやすい国にしていく。そして他の国はそれを助けていく。そういう努力というのがあってもいいんじゃないのかな。そういう考えでこの『紅い砂』というのを書きました。

 

ーナレーションー

高嶋さんの最新刊『紅い砂』では、アメリカに不法入国する難民の虐殺から物語が始まります。

 

小説はあくまでフィクションですが、難民問題は世界的な課題。7000万人を超える難民、その一人ひとり命が今も危険に晒されています。

 

一方でいま世界では、新型コロナウイルスの感染拡大防止をするため、人や物の行き来を封鎖する措置がとられています。

 

高嶋:コロナということで国を封鎖するという、これはハッキリ言って仕方がないことだと思いますね。ただ、コロナの件でグローバル社会というのがある意味崩れたんだけど、今後は一国だけでは収拾がつかないことがあるっていうことですね。

 

例えばコロナにしても、中国から入ってきて、WHOの対応が僕はすごくまずかったと思うんですけども、やはり一国だけがどうこうしようとしてもしょうがない。情報とかそういうのを国家レベルでちゃんと共有しあって、それも正直に迅速にということですね。ですから、もっと早く今回の感染の対応もしていたらですね、去年のうちにやれたはずなんですね。全然状況が違ってきてると思います。

 

ですから、昔と違って数時間のうちに国家間を移動出来て、それも大量の人が行き来するっていう。我々を含め、日本人を含めてですね、世界中の人がもっと心の壁を取り除くっていう。今度の『紅い砂』のキャッチフレーズにしてるんですけども。壁を作るよりは心の壁を取り除いて、みんなで豊かになりましょうっていう、そういう考えで書いたものですね。