鈴木敏夫のジブリ汗まみれを文字起こしするブログ

ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」の文字起こしをやっています。https://twitter.com/hatake4633

舞台『千と千尋の神隠し』の初日記者会見&磯部澄葉さんの感想(前編)

2022年3月13日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

https://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol727.mp3

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

今週は、3月3日に東京帝国劇場で行われた舞台「千と千尋の神隠し」の初日記者会見の模様と金城学院大学准教授・磯部澄葉さんをお迎えして、舞台を観た感想を鈴木さんと語ります。

 

記者会見は、千尋役の橋本環奈さんと上白石萌音さん、湯婆婆・銭婆役の夏木マリさんと朴璐美さんが登壇し、MCを青蛙役のおばたのお兄さんがつとめました。

 

(この文字起こしでは、記者会見部分は割愛し、その後の鈴木さんと磯部さんの対談から始まっています)

 

注:「桜井」というのは、桜井玲奈さん。スタジオジブリのプロデューサー室で鈴木さんのアシスタントをされている方で、「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」担当もされています。

鈴木

まあ彼女、大学でいま「ぴあ」の、、、

 

磯部

「ぴあ」の音楽全般ですね。音楽劇とか。

 

鈴木

大学で学生たちに教えるのは?

 

磯部

ピアノの技術とか弾き歌いとか、あと音楽劇をゼミで製作してやってます。

 

鈴木

音楽劇って言ったでしょ?それで言うとね、色んなコンサートもさることながら、劇とかそういうのを色々。で、色々話しているうちに、『千と千尋』をやるってことを彼女も知ってて、「観たい」っておっしゃったから。

 

磯部

千と千尋』を舞台化するのって、すごく難しそうだなっていうのがあって。で、それを舞台化するって時に、ぜひ観たいなって。で、恐縮ながら2回もお願いしちゃったんですけど(笑)

 

すごく舞台の使い方が上手いです。舞台上の中でどういう風に距離感を出すんだろうって思った時に、すごく考えられてて、演出の勉強になりました。

 

鈴木

演出とかそういうのもやってるんのよ。

 

桜井

視点が違いそうですよね。舞台を観る。

 

鈴木

同じシナリオで配役も主役と釜じい除くと、ほとんど同じなのよ。だけど全く印象が違う。じゃあ何が違うか。

 

僕は前回ゲネプロで思ったのは、ハクと千尋のラブストーリー。これがゲネプロの印象に残ったテーマなのよ。これちょっと映画と違ってたんだよね。やりようによってはこうなるんだなっていうのか、宮崎駿は本来それを考えてたからね。

 

ところが今日、全然違うのよ!2人のラブストーリーじゃないのよ。

 

桜井

え!(笑)

 

鈴木

千尋カオナシの話になってたのよ。

 

桜井

えーー。

 

鈴木

これは俺の感想なの。ゲネプロの時はカオナシの印象が薄い。それがシナリオが同じで配役もほとんど変わらないのに、こんなことが起きたんだろうって。

 

本当のことを言っちゃうとね、やっぱり環奈ちゃんと萌音ちゃんの違いなのよ。

 

磯部

そうですよね。千尋ずーっと舞台にいますもんね。

 

鈴木

そうなの。要するに、出ずっぱりじゃん。そうすると、その人がリードしてるのよ。で、環奈ちゃんと萌音ちゃんの芝居が違うわけ。前回、慌ただしかったのよ。3時間の中に全部納めなきゃいけない。すごいシーンごとに慌ててる感じ。それが全然違って見えたんだよね、それが。慣れたっていうこともあるかもしれないけれど、リード役の違いなのよ。主役が違うと、こんなに違っちゃうんだなって。

 

それで内容もさ、なんでハクと千尋のラブストーリーが、カオナシの方へ移っちゃったんだろうって。

 

磯部

私は前回2階席で観て、今回は1階席で観させていただいて。上だと1階だと見えないものが見えたりもするんですけど、その見え方も全然違うんだなって思ったし。あとは、お客さんたちの反応が来るのが、出演者の方と客席が一体となる感じが感じましたね。

 

鈴木

上から見下ろした時と今回と、今日のが激しいんだ?

 

磯部

ありましたね。巻き込まれたというか、臨場感が凄かったです。萌音さんの間合いの取り方っていうのが上手で。再現が凄いですよね。細かいところまで映画を再現されてるんですけど、ここで落ちるな、とか、転ぶな、っていうところも本当に初めて観たかのように演じられてるっていうのがこっちもドキッとする感じが。

 

鈴木

ゲネプロの時の橋本環奈ちゃん、それから今日観た上白石萌音さん、千尋を同じように演じたけれど、2人が違う人物なんだよね。違うって言えば当たり前なんだけど。

 

参考までに言うとね、環奈ちゃんは一生懸命だったのよ。頑張ってた。でも萌音ちゃんはね、演技力なのよ。この違いは面白かったね。だから全体の印象が変わるわけ。ね?

 

磯部

橋本環奈さんって、初めての舞台ですもんね?

なので、親近感というのが感じられて面白かったですし、今日は萌音さんの世界に入り込んでいくっていう感じが全く違って。面白かったですね(笑)

 

今日は2回目ではあるんですけど、感動しましたね。ウルってきました。

 

桜井

橋本環奈さんの演技を観たときに、一生懸命さとかも千尋に見えてきちゃって、仕草とかも全部真似てたじゃないですか。環奈さん。

 

鈴木

どっちが千尋かって言ったら、環奈ちゃんなの。

 

桜井

本当にそこで「えっ!?」って思って。環奈さんの魅力って、色んな魅力があるんだなと思って、もう1回観たいなって思いました。

 

磯部

私がテレビとかで見たことのある橋本環奈さんとはまた違う、ナチュラル感のある感じで。本当に映画のそのままだなーって印象がゲネプロの時はあって。今日はそこに応用が入ってるというのは感じて。

 

鈴木

自分の工夫だよね。

 

磯部

そうですね。

 

(了)