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ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」「未来授業」の文字起こしをやっています。「未来授業」は2020年4月分からです。文字起こししてほしいものがあれば、ツイッターのDMに連絡下さい→https://twitter.com/hatake4633

<鈴木敏夫のジブリ汗まみれ>叶井俊太郎・倉田真由美夫妻がれんが屋へ!【前編】

2009年9月24日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol103.mp3

 

倉田:あ、どうもこんにちは。今日はよろしくお願いします。

 

鈴木:よろしくお願いします。鈴木と申します。  

 

倉田:倉田です。よろしくお願いします。

 

叶井:どうもこんにちは。

 

鈴木:ああ、叶井さん!(笑)さん付けしたりして。どうぞどうぞ。適当に。

 

倉田:はい。

 

鈴木:お腹膨らんでるんですね。

 

倉田:はい。

 

鈴木:これ、叶井の子なんですか?

 

倉田:はい。

 

鈴木:本物ですか?

 

倉田:そうです(笑)

 

ーナレーションー

めっきり秋の気配が深まったれんが屋に今夜は、温かい声が響いています。

 

あの話題のカップルが、鈴木さんを訪ねてきたからです。

 

鈴木:以前からちょっと色々知り合いだったものですから。

 

倉田:ああ、なんか伺ってます。

 

鈴木:4回目。

 

叶井バツ3なんですけど。まあ4回目の、、

 

鈴木:倉田さんの方は?

 

倉田:私はバツ1です。

 

鈴木:2回目?

 

倉田:はい。

 

鈴木:2つ足して6ですね(笑)

 

叶井・倉田:(笑)

 

叶井:まあそうなりますね(笑)

 

倉田:妊娠しなかったら、まだそういうことは伏せてたかもしれないです。結婚もいつになったかわからないですよね?

 

鈴木:妊娠しようと思ったんですか?

 

倉田:していいと思いました。

 

鈴木:彼の子を?

 

倉田:そんなビックリした顔をされなくても(笑)

 

叶井:(笑)

 

鈴木:いや、それ理由はなんなんだろうと思って。

 

倉田:いややっぱりこの人を良いなと思ったからじゃないですかね。

 

叶井:普通な回答。

 

鈴木:いつ知り合ったんですか?

 

倉田:知り合ったのはだいぶ前なんですよ。5、6年前。

 

鈴木:そんな昔なんだ。

 

倉田:ただ、そこからブランクがあって全然会ってない。一回顔を合わせただけで。ただその時印象に残ってましたね。

 

叶井:映画のパーティがあって。夕張映画祭ってあるじゃないですか?

 

鈴木:はいはい。夕張で?

 

叶井:東京で夕張映画祭の出品作品の関係者が集まるパーティがあって、そこで偶然お会いして。

 

倉田:でも、その時一回だけですよね?

 

叶井:それ一回きりですね。

 

鈴木:何が印象に残ったんですか?

 

倉田:何となく良い印象が残ってたんです。

 

叶井:良い印象。印象は良いみたいですね。第一印象。

 

鈴木:君に訊いてないから(笑)

 

倉田:(笑)

 

ーナレーションー

ネットやワイドショーでこの夏話題を集めた2人。映画配給会社トルネードフィルムの、というより、600人斬りの野獣・叶井俊太郎さんと、『だめんず・うぉ〜か〜』で知られる知性派の漫画家であり、コラムニストの「くらたま」こと倉田真由美さんです。

 

鈴木:叶井はでもね、魅力がある。

 

叶井:あ、そうなんですか。

 

鈴木:うん。僕男だけど認めますよ。

 

叶井:ありがたいです。

 

倉田:それ、どういう意味ですか?

 

鈴木:あのね、僕なんかは最初会った時、一緒に仕事したいなと思った。

 

倉田:あ、そうですか。

 

鈴木:そう。でもね、僕が珍しいらしいんですけどね(笑)

 

倉田:(笑)

 

叶井:そんなことないですよ!そんなことないです!

 

鈴木:だから何年前か忘れちゃったけれど、5、6年前?もっと前か。

 

叶井:6、7年前、、

 

鈴木:『ダーク・ブルー』という映画をね。

 

叶井:2003年とか。

 

鈴木:初めて会った時にね、図々しいでしょ?

 

倉田:ああ、そうですね。

 

鈴木:それで言ってることは全部仕事に関しては本当だから。そういう人って、なんか魅力があるんですよ。

 

倉田:ああ、なるほどね。

 

鈴木:それで一緒にやっても余計なこと考えないで済む。上手くいくかどうかわからないけど、やってみようかなって。彼が『アメリ』やったとか何にも知らなくて。でもそういうのやってみるのも良いかなって。人で選んだ仕事だったんですよ。

 

倉田:ああ、そうだったんですか。

 

鈴木:そうなんです。だからもっも色んな人に推薦してるんですよ。「叶井と一緒にやったら?」って。

 

叶井:(笑)

 

鈴木:何しろこういう不景気な時代でしょ?そうしたら、叶井1人入るだけで、そのチームの雰囲気がガラッと変わる。だから絶対一緒にやるべきだよって。でも中々みんな首を縦に振ってくれない。

 

倉田:(笑)

 

叶井:振ってくれないですね。

 

鈴木:何でなんですかね?会社大丈夫なの?

 

叶井:何とかやってます。

 

倉田:でも危ないんですよね?

 

叶井:ギリギリですね。

 

鈴木:トルネード?

 

叶井:トルネードフィルムですね。

 

鈴木:その前の会社、何て言うんだっけ?

 

叶井:その前はファントム。

 

鈴木:ファントムか。あれ半年でクビになったもんね?

 

叶井:1年ぐらいですかね。

 

鈴木:あれ1年やってたんだっけ?

 

叶井:クビっていうわけではないんですけど。

 

鈴木:社長だったんだけれど、共同経営者からはクビになってるんです。

 

倉田:ああ、そうか。

 

鈴木:僕知ってるんです。それでウロウロしていた時、バッタリね恵比寿で会ったんです。不動産屋で。

 

叶井:会いましたね。

 

倉田:そうなんですか!

 

鈴木:それで「どうしたの?」っていったら「追い出されちゃって。社員に」「だって社長でしょ?」っていったら「そうなんですよ」。

 

叶井:(笑)

 

鈴木:方針を巡ってみんなに反対されて、追い出されたって。

 

叶井:偶然、一緒の不動産屋でね。

 

鈴木:そうそう。

 

叶井:僕も次の会社の物件探してた時にバッタリ会って。

 

鈴木:たまにね、変な所で会うんですよ。お正月にね、大鳥神社とかね。

 

倉田:ああ、あの辺りで。

 

鈴木:僕のお袋が86になるんだけど、一緒にお参りに行ったら、叶井がいたんですよ。

 

叶井:そうです。

 

倉田:1人で?なんで!?

 

鈴木:いや、前の奥さんと一緒だよね?

 

叶井:ええと、あの時、母親ですね。僕の母親と一緒に行って。

 

倉田:神社に!?

 

叶井:うん。

 

倉田:初詣!?

 

叶井:初詣でバッタリお会いしましたよ。

 

倉田:どういう風の吹き回し、、

 

叶井:一応、年に一回は、、

 

倉田:お母様連れで。いや、あんまりない風景だと思う(笑)

 

叶井:そうですね。

 

倉田:へぇーーー。

 

鈴木:なにそれ(笑)

 

倉田:嘘でしょ!?

 

鈴木:(笑)

 

ーナレーションー

でも一体なぜ、この二人が。

 

いつもはワイドショー的な騒動には無関心な鈴木さんですが、今回はスタッフに「叶井を呼ぼう」ってメールを回したりして、何だかお二人のお話を聞いてみたかったみたいです。

 

鈴木:僕は何にも今日知らなくて。世間では何が騒がれてるんですか?僕は少しだけ知ってるのは、倉田さんが今度できちゃった婚である人と結婚するんだけど、その人はこういう人だって紹介したのがキッカケですよね。

 

倉田:まぁキッカケはそうですよね。要はこの人のことを私が面白おかしく描いてしまったので。それがメディアで面白いおかしく更に取り上げられたっていう。バツ3とか色々あるじゃないですか?派手な女性関係とかを面白く描いてしまったので。

 

叶井:そうなんですよ。

 

鈴木:600人でしたっけ?

 

叶井:そうですね。とか漫画とか、SPA!の『だめんず・うぉ〜か〜』とか、週刊朝日とかの連載で。

 

倉田:そうね。そういうのって普通表に出ないじゃないですか。でも相方の私が出してしまったので。

 

鈴木:何で出したんですか?

 

倉田:この人を語る上では避けて通れない話題だなと思って。

 

鈴木:一人ひとりに説明してるより、一度にみんなにわかってもらったほうが楽だなと?

 

倉田:そうですね。また私自身もそういうことを知らないで付き合ってるのかと600人の女たちに思われのも嫌だから。だから、わかってますよっていうことも含めですよ。

 

鈴木:なるほど〜

 

叶井:ほら、妊娠してたんで。

 

鈴木:妊娠してたって、妊娠させたんでしょ?(笑)

 

叶井:そうですね。段々お腹が大きくなるんで、こちらの方はテレビに出ることが多いんで、気づかれるじゃないですか。そういうタイミングもあって。ということだよね?

 

倉田:私大概忘れちゃうんですけど、そんな一回出会ったきりの人なんてね。でもこの人のことは覚えてて。なんだろう。なんとなく波長が合う感じがあったんじゃないですかね。

 

鈴木:相性?

 

倉田:はい。相性ですね。

 

鈴木:でもすぐ会おうとは思わなかったんですね?

 

倉田:いや、会おうとしたんですよ。実は。

 

鈴木:そうなんだ。

 

倉田:でも、それが上手くいかなかったんです。というのも、そうはいっても恋に落ちたとかじゃないから。デートに行きませんか?とか、食事に行きませんか?とかっていうのはちょっと違ったんですよね。だから自然に会いたいなと思って。もう一回叶井俊太郎にどっかで自然に会いたいなと。

 

そういう時に、私たまたま雑誌で対談の企画を持ってたんですよ。で、叶井さんだったらギリギリ対談相手としてセーフくらいの知名度なので、「ちょっとこういう人を呼びたいんだけど」という風に言ったんですけど、でもそれが通らなかったんですよね。

 

鈴木:反対されたんですか?

 

倉田:何故かわからないんです。全部通ってるんですよ。今まで。私がリクエストした人。

 

鈴木:担当者の方は女性なんですか?

 

倉田:男性です。だから私その話を彼にした時に、この雑誌の編集部で何かしたんだろうってずっと思ってたんで、何か心当たりはないかって5、6回訊いてるんですけど、心当たりないっていう。

 

叶井:その雑誌では、僕もしばらく連載持ってたりしたんで。

 

鈴木:そうなんだ。

 

叶井:はい。小さいコラムですけど。だから結構仲良く。今でも仲良いんですけど。

 

倉田:何でダメだったのかな?

 

叶井:それはわかんないね。

 

倉田:あなただけだよ?通らなかったの。

 

叶井:あ、そう。何故なんだろうね。

 

倉田:全然わからないんですよね。

 

鈴木:隠し事はしないんですか?

 

倉田:隠し事、、いやでも隠し事は習慣化してるんですよ。

 

鈴木:好きでしょ?隠し事。

 

倉田:あの、意識してるのか無意識でしてるのかわからないけど、隠し事が、、

 

鈴木:習い性になってるんだ?

 

倉田:そうそう。

 

叶井:習慣化してるね。

 

倉田:今までずっと例えば嫁がいる時に、色んな隠し事をせざるを得ない状況がたくさんあったわけですよ。その時に隠さなくてもいいことまで隠す。

 

鈴木:学習したんですね。

 

倉田:そうですね。隠さなくてもいいことまで隠すから、私と仲良くなってから「なんでそれ隠してたの!?なんでその場で言わなかったの!?」っていうことが時々ありますよね。

 

鈴木:でも嘘つかないでしょ?

 

倉田:私にはついてないかな。

 

叶井:嘘はつかないですね。

 

倉田:でも嘘はすんなりつきますよね。つく時もありますよね?状況によってはね。

 

鈴木:嘘つくの?

 

叶井:嘘とはこっちは、、

 

倉田:いや、嘘でしょ!?

 

鈴木:(笑)

 

倉田:だって例えば、部屋の中に女性といる時に他の女性が来た時、両方に相手の女の人のことを「妹だ」っていうわけですよ。

 

鈴木:(爆笑)

 

倉田:それは嘘でしょ!?

 

叶井:それは嘘です。

 

鈴木:それは嘘だね!

 

叶井:それは嘘ですわ。嘘です。

 

鈴木:妹だって言うんだ。

 

叶井:そうです。

 

倉田:妹って何回も使ってますよね?

 

叶井:結構使ってますね。結構鉢合わせするタイミングが多くて。結構困った時があって。

 

鈴木:なんで妹だって言うの?

 

叶井:いやなんか咄嗟に出ちゃうんですよね。

 

倉田:本当に妹がいるから。

 

叶井:本当に妹がいるんですけど、「いま妹が来た。ちょっと待ってくれる?」と。で、外にいる女性には「いま妹がいるから、ちょっと入らないから」って。んなわけないでしょ?って突っ込まれるんですけど。両方から。「本当に妹だから!」って。

 

倉田:言い張りますよね?

 

叶井:言い張りました。

 

鈴木:それは何で嘘つくの?

 

叶井:やっぱり鉢合わせになったら修羅場になるじゃないですか。

 

鈴木:それは良くないと思ってるんだ?

 

叶井:それはお互いに良くないと思いますよね。マズい状況になっちゃうんで。

 

鈴木:それはやっぱり平和を愛するの?

 

叶井:そうですね。やっぱり平穏が。争い事は好まないですからね。

 

鈴木:そういうことを含めて好きなんですか?

 

倉田:いや、そこは全然好きじゃないですけど(笑)

 

鈴木:(笑)

 

倉田:でもそういう話自体は面白いですけどね。

 

鈴木:そのある種の魅力に関しては、僕も理解できる。

 

倉田:なるほど。でも今鈴木さんがおっしゃった「嘘つかないでしょ?」っていう部分で、確かに妹だとかそういう嘘はあるけど、自分を粉飾する嘘はあまりつかないですね。仕事に関してもそうだし。

 

鈴木:そうそう。

 

倉田:私も『アメリ』の話とか全然聞いてなかったですし。割と男の人って「こういうことしたんだよ」というようなことを言いたがりな人多いんだけど、むしろ失敗話の方がこの人は多いですからね。

 

鈴木:自分を飾って何者かに見せようとかね。カケラもない。

 

倉田:ないですね。

 

鈴木:それはね、最初にパッとわかっちゃったですね。

 

倉田:ああ、そうですか。

 

鈴木:だから、ちょっと一緒に一回やってみようかなって。それでちょうどその時にもう一つ、僕らの目論見もあったんでね。この人とやってみるのはいいかもしれない。『キリク』っていう映画なんですけどね。

 

倉田:その話は初めて聞きました。

 

叶井:フランスのアニメ。『キリクと魔女』っていう日本語タイトル。

 

鈴木:それを高畑勲っていう人がね、良いアニメーション映画だと。でも世界中でどこでも公開したのに、日本だけがやってない。これは恥ずかしいことですよと。というのは、内容が良い映画だから。

 

ところが日本では、内容が日本向きでないということで配給会社がやめてた作品なんですよ。それで持ちかけてみたらね、すぐやるって言うし。

 

倉田:へーー。

 

鈴木:何となく予感があったんですよ。やるっていうなって。

 

倉田:ああ、そうですか。

 

鈴木:それは何となくわかったんですよ。『ダークブルー』っていうのは、なんか違う名前のタイトルだったんですけど。なんだっけ?

 

叶井:この空に君を思う、ですかね。

 

鈴木:ああ、そうそう。

 

叶井:もうそのタイトルでポスターも全部作っちゃってたんだけど、その後にたまたま鈴木さんの方に、宮崎駿監督の映画のコメントをもらいたいっていうオファーを出したら、本当にくれることになったっていう。まさかこっちはくれると思わないじゃない?

 

倉田:あ、そうなんだ?

 

叶井:宮崎監督がそういうコメントとか出したの見たことないから。

 

倉田:ああ、確かにね。

 

鈴木:映画は見たいと思ったんですよ。協力するかは見てみないとわからない。でも、顔を見てね、やろうかなっていう気分になったんですよ(笑)

 

倉田:そういうこともあるんだ。

 

鈴木:ありますよ。どっちかと言ったら、そっちが先。

 

倉田:そうですか。

 

鈴木:だって、見て良い映画って中々ないじゃないですか。残念ですけど。

 

叶井:そうですよね。

 

鈴木:でもこの場合は、映画も良かったしね。まあたぶん難しいかなって思ったけれど。ヒットするかどうかはね。次いでに出資もすることになっちゃって。ね?

 

叶井:有り難いです。ビックリしました。

 

鈴木:それが出会いなんですよ。

 

倉田:じゃあほんと『アメリ』の前後くらい?

 

叶井:後だね。すぐ。『アメリ』の2年後くらい。2003年くらいです。お世話になりました。あの時は。

 

倉田:人には割と恵まれてるというかね。あなたは。人の印象に残りやすい人だなと。

 

鈴木:何で残るんですか?

 

倉田:わからないんですけどね。何だろうな。関係あるかわからないんですけど、私の前の夫との子供がいるんですけど。9歳の。その息子とか凄い好きなんですよね。彼のこと。子供に好かれるよね。

 

鈴木:なんとなくわかる。

 

倉田:めちゃくちゃ好かれますね。私の妹の子供たちっていうのも近くに住んでるんですけど、大好きだし。この人のことが。お父さんより好きぐらい好きだよね?

 

鈴木:人間じゃないんじゃないかな。人間じゃない。動物じゃない?

 

倉田:なんだろうなー。

 

鈴木:動物っぽいのよ。

 

叶井:そうなんですよね。子供はすごい来ますね。

 

倉田:昔からそうなんでしょ?

 

叶井:近所の子供もいつも寄ってくるし。それは昔からそうですね。

 

鈴木:なんなんだろう。

 

叶井:わからないです。

 

鈴木:好きなの?子供。

 

叶井:好きです。好きですよ。一緒に遊んでるの結構楽しいですよ。土日はなるべく遊ぶようにしてるし。

 

鈴木:子供なのかな。

 

倉田:なんですかねー。ちょっとわからないですけどね。こういう人ほんと珍しいと思って。

 

叶井:こちらの子供もほんと素直な子でね。一緒に住むことになって。初日、自分のことをなんて呼ぶか。どうするのかなって思うじゃないですか。

 

鈴木:はい。

 

叶井:そうしたら、向こうから初日に僕のところに来て「今日からお父さんって呼んでいいですか?」と。

 

倉田:何にも言ってなかったんですよ。なんて呼ばせようかなって。追々お父さん的な存在になってくれたらと思ってたけど。あまりそういうことって私の立場から強制するのは変な話だし。

 

鈴木:出来た子ですね。

 

倉田:でも意外だったなそれは。

 

叶井:いきなりだったんで。

 

鈴木:本能で感じたんでしょ?その子立派になりますよ。

 

叶井:凄いですよね。

 

鈴木:親がダメだと、良くなる(笑)

 

叶井・倉田:(笑)

 

叶井:いやほんとね、逆に本当にいいのかっていう感じ。

 

倉田:即日お父さんだからね。

 

叶井:いきなりですか?!みたいな感じだったんで。ちょっと驚いたね。あの時。

 

倉田:そう。俊ちゃんとかそのぐらいが適当かなーくらい。

 

叶井:おじさんかなーみたいな感じだったんだけど。

 

鈴木:子供って意外な能力持ってるからなー。

 

叶井:そうですね。ちょっとビックリしましたね。あの福岡から出てきたんですけど。

 

鈴木:あ、なんかあれですよね。福岡在住だったんですよね?

 

倉田:そうです。

 

鈴木:ね。ご家族と一緒に。ご両親と。

 

倉田:はい。

 

鈴木:ちょっとこの間聞いたんですよね。

 

叶井:で、東京の学校に行くことになり、結婚することになるんで、名前を倉田姓から叶井に。まだ籍は入れてないんですけど、そういうことになって。

 

鈴木:でも心配はないんですか?また離婚するっていう。

 

倉田:あーそれはあんま思ってないですね。よく言われるんですけど(笑)

 

叶井:みんな言うね。

 

倉田:みんな思ってるし、下手したらもう新しい人いるでしょ?みたいに言われてるよね?あなた。

 

叶井:いま言われてるね。

 

鈴木:いるの?

 

叶井:いませんよ!(笑)

 

倉田:今までの人ももしかしたらそうだったのかもしれないけど、、

 

鈴木:指輪とかさブレスレットってさ、三度目の奥さんが作ったやつ?

 

叶井:これは違うんです。

 

鈴木:あ、違うの?前よくやってたよね?

 

叶井:そうですね。そういうアクセサリー作ってた人、、

 

倉田:あ、よくご存じですね。

 

鈴木:そうなんですよ。何だか知らないけど、少しは(笑)

 

倉田:そうなんだ。

 

鈴木:中目(黒)に暮らしてたもんね?

 

叶井:それ二番目ですね。

 

鈴木:あ、あれ二番目のとき!?

 

叶井:あれ二番目ですね。

 

鈴木:二番目。送ってったことあるもん。

 

叶井:あ、そうですね。それ二番目ですね。

 

鈴木:あの時、そうなんだ。

 

叶井:はい。

 

倉田:二番目の奥さんとはお会いして、、

 

鈴木:いや会ってないんですけど、家の前まで送ってって。

 

叶井:それ二番目ですね。三番目は、えー、世田谷の方ですね。

 

鈴木:三回目終わってから、倉田さんと会ったの?

 

叶井:ちょっと被って、、はい。ですから結構、結婚、離婚を繰り返すのが大変でしたね。こうやって振り返ると。

 

倉田:そう?軽々としているように思えるけど。

 

鈴木:軽くは考えてないの?

 

叶井:考えてないですよ。

 

鈴木:真剣なの?

 

叶井:真剣ですよ。やっぱり男としてケジメそれでつけてますから。結婚と離婚。結婚と離婚。

 

鈴木:ケジメって何なの?離婚して次の人と付き合うってこと?

 

叶井:離婚をちゃんとする。

 

鈴木:が、ケジメなの?

 

叶井:というケジメですかね。離婚に至るまで結構揉めるんじゃないんですか?

 

倉田:でももうちょっと考えてするよね?結婚を。

 

叶井:そうだね、離婚する前にね。

 

倉田:うん。そもそも私離婚よりも結婚の方に問題があったと思いますよ。そんな軽々と。

 

叶井:そうですね。

 

倉田:三回も判を押して、三回も役所に出す。

 

叶井:そうね。そこは反省しなきゃいけないところですね。結構、流されて結婚しちゃうケースが多かったですね。振り返ると。一緒に住んでるから、もうこのまま籍入れちゃおうか、とか。もっと考えればよかったですね。

 

鈴木:倫理観がない人なんですか?

 

倉田:男女関係の?

 

鈴木:そう。

 

倉田:どうですかねー。倫理観。まぁある部分はものすごく欠落してると思いますけど、でもじゃあ本当に底無しにだらしないかというか、そうでもない部分もあって。ただそこはわかりづらい、、かな?

 

叶井:(笑)

 

倉田:だから周りの人には、この人は「五回目の結婚はいつするの?」とか、、

 

鈴木:普通は言いたくなるよね。

 

倉田:そうですよね。浮気だって絶対するでしょう、みたいなことも言われるんですけど。

 

鈴木:浮気はするの?

 

叶井:これからはもうないですよ。

 

鈴木:なんで?保証できるの?

 

叶井:もうないと。

 

鈴木:なんで?

 

叶井:倉田さんと出会ったので。

 

倉田:(笑)

 

鈴木:でもその前の奥さんにもそう言ってきたんでしょ?

 

叶井:その前はそんなことは言ってないかもしれないですね。

 

倉田:嘘でしょ!?

 

鈴木:(笑)

 

叶井:あんま説得力がないんですよ。だから何を言っても信用されないんで、今までの流れを見てると。

 

鈴木:よく言うじゃない?世の中ってさ、愛や恋は短い人で三ヶ月、長くても三年だって。

 

倉田:よく言いますね。

 

鈴木:その後が、どうやるかだって。

 

倉田:私ハッキリ言って、この人が自分の彼じゃなくて他の誰かの彼だとして、そうしたら絶対薦めないですよ。

 

鈴木:やっぱり、色々人によって違うだろうけど、この人はちゃんと養ってくれるだろうかっていうのは相変わらずあるんでしょ?

 

倉田:それはありますよ。大概。

 

鈴木:あるんでしょ?

 

倉田:大概あります。

 

鈴木:倉田さんの場合、無いからでしょ?それが。

 

倉田:頼りにしてるとか、そういう下心は持ってないんですけど、持てないし。だから逆にいうと、そうでもない限り、結婚までする理由がないですよね。つまり、経済的に自立していて、私なんかも子供もいるしね、別に自由に暮らせるわけですよ。

 

鈴木:結婚する必要ないよね。

 

倉田:そうなんですよ。でも、結婚したいって思うってことは、、

 

鈴木:たまに会うだけじゃダメなんですか?

 

倉田:うーん、一緒に暮らしたいかな。女の人にとって全然良い男じゃないと思うんだけど、でもわたしにはすごく合ってるって、私自身が確信出来るんですよね。

 

鈴木:それは何なの?

 

倉田:それはさっきから何でなの?って言われると、中々こう明確に言葉にするのは難しいんですよね。

 

叶井:根拠がないからね。

 

倉田:やっぱり私ももう38だし、これまで色々男性と付き合ったりとかあった中で、だからこそ、わかるような。この人によって初めて歓喜された感情とか感覚ってあるんですよ。一緒にいる時間、過ごしてる時間からやっぱりそうなってくるっていうか。

 

これは言葉では表現しづらいんですけど、何ていうのかな、今までで初めてだなって思ったことの一つに、この人に健康で長生きして欲しいって心から思うんですよ。

 

鈴木:気持ちが?

 

倉田:はい。

 

ーナレーションー

そういえば、れんが屋の対談でも、いや、ジブリでの映画でも、これまで恋愛っていう大問題は正面から取り上げられてこなかった気がします。何故なんでしょう?

 

そして今、鈴木さんが美女と野獣の恋愛話に耳をすますのは、何故なんでしょうか?

 

倉田:健康で長生きして欲しいっていうのは、、

 

鈴木:そういう感情が湧いたんですね。

 

倉田:そうですね。愛情の感覚として、、

 

鈴木:それは恋愛感情とは少し違うんだ?

 

倉田:恋愛感情ももちろんあるんですけど、、

 

鈴木:だってどうせまた浮気するんですよ?

 

倉田:いや、しないと思う!

 

叶井:しないんで。

 

鈴木:え?

 

叶井:先程も言った通り、、

 

鈴木:だって、それは口から出まかせだもん。

 

叶井・倉田:(笑)

 

鈴木:去年の暮れ、彼女に出会ってから浮気はしてないですか?

 

叶井:してないですね。

 

鈴木:ほんとに?

 

叶井:はい、してないです。

 

鈴木:吐け。

 

倉田:(笑)

 

叶井:本当してないんで。今もう浮気って言葉なんですか?って感じですよ。

 

鈴木:そこまで言う?(笑)

 

倉田:それを言われると、嘘っぽいですよね?嘘でしょ!?

 

鈴木:(笑)

<未来授業>高嶋哲夫さん 第4回「災害への備えと道州制」

2020年5月7日配信の「未来授業」です。

www.tfm.co.jp

 

ーナレーションー

今週の講師は、作家・高嶋哲夫さんです。

 

高嶋そんの作品の特徴は、サイエンスとエンターテインメントの融合。綿密なリサーチと科学的な知識に基づいて、実際の災害や危機を予言するかのような作品を数多く手掛けてきました。

 

そんな高嶋さんが必ず起こると話すのが、「首都直下型地震の大地震」です。

 

2014年の作品『首都崩壊』では、首都直下型地震をモチーフに、東京一極集中型の日本の構造に警鐘を鳴らしています。

 

未来授業4時間目、テーマは「災害への備えと道州制

 

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<未来授業>高嶋哲夫さん 第3回「世界に発信する」

2020年5月6日配信の「未来授業」です。

www.tfm.co.jp

 

ーナレーションー

今週の講師は、作家・高嶋哲夫さんです。

 

高嶋さんの小説『首都感染』は、新型コロナウイルスの世界的な感染を予言する本として、いま大きな注目を浴びています。

 

そんな高嶋さんの最新刊が小説『紅い砂』です。物語の舞台は、政府の圧政が続く中米の小国「コルドバ」。難民問題を世界に問うスケールの大きな作品で、高嶋さんはこの作品のハリウッド映画化を目指しています。

 

未来授業3時間目、テーマは「世界に発信する」

 

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<未来授業>高嶋哲夫さん 第2回「国境の壁、心の壁」

2020年5月5日配信の「未来授業」です。

www.tfm.co.jp

 

ーナレーションー

今週の講師は、作家・高嶋哲夫さんです。

 

高嶋さんの小説『首都感染』は、新型コロナウイルスの世界的な感染を予言する本として、いま大きな注目を浴びています。

 

高嶋さんの作品の特徴は、サイエンスとエンターテイメントの融合。

 

綿密なリサーチと科学的な知識に基づいて、実際の災害や危機を予言するかのような作品を数多く手掛けてきました。

 

そんな高嶋さんの最新刊が『紅い砂』。物語の舞台は、難民流出が絶えない中米の小国「コルドバ」です。

 

未来授業2時間目、テーマは「国境の壁、心の壁」

 

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<未来授業>高嶋哲夫さん 第1回「啓蒙と学習、アウトリーチ小説」

 2020年5月4日配信の「未来授業」です。

www.tfm.co.jp

 

ーナレーションー

今週の講師は、作家・高嶋哲夫さん。

 

高嶋さんが2010年に書き下ろした小説『首都感染』が、いま大きな注目を浴びています。

 

中国で生まれた新型のウイルスが海を渡って世界に拡散。日本でも感染が広がりら首都東京を封鎖する事態に...まさに現実を予言するかのような内容に驚きの声が上がっています。

 

高嶋さんは他にも、巨大地震原発事故ら大洪水など、数多くの災害サスペンス小説を手掛けてきました。

 

災害や危機に私たちはどう向き合えばいいのか。未来を見据える目を養うためには。今週は、高嶋哲夫さんと一緒に考えていきます。

 

未来授業1時間目、テーマは「啓蒙と学習、アウトリーチ小説」

 

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<鈴木敏夫のジブリ汗まみれ>岩波書店企画 鈴木さんトークショー

2015年4月4日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol361.mp3

 

ーナレーションー

今回は去年10月に岩波書店の企画として、たまプラーザテラスで行われた鈴木さんのトークショーの模様をお送りします。

 

司会進行は、鈴木さんの『仕事道楽 新版』やジブリ作品の著書などを多く編集されている井上一夫さんです。

 

井上:『仕事道楽 新版』決定版と思っていいかなと思います。ジブリのこれまで宮崎・高畑・鈴木の3人で引っ張ってこられた形が、一旦形を変えるということがありますので。そこまで全て書かれておりますから、ぜひ前の版を買った方も今回お読みいただきたいと思います。

 

どうしても皆さん、昨年の宮崎さんの引退というところが一番興味あるかなと思いますので、いかにも宮崎さんらしいエピソードとか。ご自分で引退会見をやるぞ、と言いながら、直前には「鈴木さん、やらなきゃいけないの?」と聞いたこともありましたので、その辺りからいかがでしょう?

 

鈴木宮崎駿っていう人はね、皆さんご興味あると思うんですけど、引退の二文字というのは本当若い頃からずっと言う人だったんですよね。というのか、誤解される人なんですけど、要するに次があると思ってやってはいけない。目の前のことに集中するんだと。頑張るんだと。だからこの作品が出来たら、自分の監督生命が終わってもいい。ということでね、ずっとやってきたんですよね。

 

若い時、テレビの『未来少年コナン』とか色んなものを作ってきたんですけれど、そのデビュー作から「これが終わったら、監督を辞める」なんてことをずっと言ってきた人で。そういうことでいえば、僕が忘れもしないのはやっぱり『風の谷のナウシカ』。これをやった時に、なんていうんだろ、ちょっとその前を説明しなきゃいけないんですけれどね。

 

未来少年コナン』というのをやって、映画で『ルパン三世 カリオストロの城』というのを作ったんですよ。皆さんよくご存知だと思います。カリオストロの城っていうのは。ところが、今でこそ色んな方に愛されている作品だと思うんですけど、映画の公開時、これ実写映画と二本立てでやったんですよ。ところが、やってみたのはいいけれど、全くお客さんに来てもらえなかったんですよ。

 

映画監督というのはそういうことがあるんですけれどね、やってみてお客さん来ないと、監督生命って終わっちゃうんですよ。そういうことで言うとですね、ちょっと正確なことは忘れちゃいましたけれど、カリオストロの城っていうのは、当時配給収入っていうのがあって。数字のことを言うのはなんなんですけど、1.5億円くらい。ところが、かけたお金は3億円くらいだったんですよ。

 

烙印を押されるんですね。そういう時に。「アイツ結構面白いもの作ったけれど、お客さん来ないから、もうダメ」って。もう二度と映画は作る機会がないっていうところに追い込まれるんですよ。

 

僕は実はその時ずっとそばにいたくせにね、正直に告白すればですね、彼がそういう心境でいるっていうこと、本当にわかってたかというと怪しかったんですよね。毎日付き合ってたんで、彼と喋ると楽しいもんだから、つい忘れてたんですけれど。

 

というのはある日、「自分はアニメーションを辞める」なんてことを言い出してね。僕なんか本当気楽でね。「何でだろう?」って思ってたら、そういう事情。僕はそこら辺出版界の人間だったこともあって疎かったんですよね。一度くらいの興行が上手くいかなかったからといって、それで終わりになるっていうのは考えられなかったんですよ。

 

ところが、彼自身はそういう気持ちでいた。ちょうど彼が暇になったことをいいことに、アニメージュっていう雑誌で僕はそれをやってたんですけど、「漫画を描いてみないか」と。彼にとったらね、渡りに船。というのは、このまま自分が何をやろうか、ちょうど考えてた時期だったんですよね。後で聞いてみると、彼は子供のものも好きでしたから、絵本作家になってみようかとか。漫画を描こうとかですね、色んなことを考えてた時期だったらしいんですね。そんな時に僕が「漫画やりませんか?」と。渡りに船だったんですね。で、漫画を描き始めるんだけど、それが運良く色々あって、映画になることになった。

 

僕はその間も彼にずっと付き合ってきて。あるお金を用意して、ある期間でこの中で作って欲しいと。僕としては潤沢なお金と期間を用意したつもりが、彼が日常付き合ってる時と全く違う人になっちゃったんですよ。

 

僕も彼と初めて映画を作るわけで。そうしたら、出社が朝の9時。9時から会社に来ましてね、見てたらですね、午前4時くらいまで働くんですよ(笑)計算するとわかります?19時間。それだけ働くんですよ。僕たまげましてね。何て働く男なんだろうと思って。

 

それで挙げ句の果て、日曜日一切ないんですよ。土曜日もない。旗日もないんですよ、やり始めたら。

 

それである時、自分で様子を見てたんでしょうね。スタッフを集めてね、そのことを宣言。この短い期間で映画を一本作らなきゃいけない。だからこれは非常体制であると。だから皆さんそれに付き合ってほしいと。僕は誰よりも早くここへ来て、みんなが帰るまで仕事します。だから皆さんよろしくお願いしますって。それで僕最初のうちは付き合ってますから。で、付き合ってるうちにクタクタになってくるんですけど。

 

もう一つ驚いたのは、ご飯でしたね。とにかくご飯を食べる時間も勿体ないんですよ。勿体ないが故に奥さんが作られたお弁当、それをアルミの箱にギュウギュウ詰めになってるんですけど、それを箸で真っ二つに分けて、右側がお昼で左側が夜。そういうご飯を食べるのに5分ですよね。

 

それ以外、ずーっと机の前なんですよ。しかも、それまで楽しく色んな話もしてきたんですけど、このナウシカの制作に入った途端、一言も喋らない。本当に喋らなかったんですよ。それで朝の9時から夜中の午前4時まで。それで午前4時になるとウチに帰るわけでしょ。それでまた9時には会社に来てる。

 

僕も途中まで付き合ってて、これは完全には付き合うのは無理だなと思って、途中で諦めて。というのは、その映画の仕事もしつつ、雑誌も作らなきゃいけなくて(笑)二股かけてたものですから。二足の草鞋っていうのか。

 

それでやっていったら、彼が一日だけ休みたいって言い出したんですよ。珍しいこと言うなって思ったらね、何のことはないお正月なんですよね(笑)1月1日だけは休みたい。

 

まあ、しょうがないですよね。ナウシカの時は今でも覚えてるんですけど、除夜の鐘も二人で一緒に聞いたし。それで1日は本当に休んで。でも2日からは来るんですよね。それで全く同じ生活。

 

そこまでやってもね、ナウシカっていう作品は、彼がどうしてもそこへ込めたもの、それを実現するための作業量、そういうことで考えていくと、時間が足りない。公開の直前になって、本当に間に合わない。

 

間に合わないっていうんで宮さんが主要なスタッフを集めて「相談がある」って言い出したんですよ。本当に申し訳ないんだけれど、このままではこの映画完成しないと。僕もその場に居て。誰か何か喋らないといけない。

 

で、宮崎駿がこのナウシカに関してはプロデューサーを、『かぐや姫の物語』を作った高畑勲っていう人がやってまして、促すわけですよ。まず、プロデューサーの高畑さんに意見を聞きたいと。どう状況突破するのかと。

 

で、高畑さんっていう人はね、井上さんなんかもちょっと知ってるんですけど、中々口が重い方で。喋り出したら止まらないんですけど、促されてもある間が空く人で。そこに集まったたぶん10人くらいですかね。息を飲んで見守ったんですけれど。高畑さんが何を言うのかって。僕もその日のことはよーく覚えてます。高畑さん、なんて言うんだろうって。

 

そうしたら、高畑さんが体が動いたんですよ。体が動いて、目が光って何言うかなって思ったら、これは忘れませんね。「間に合わないものは仕方がない」って言ったんですよ。あれびっくりしましたね、僕。続けて何言うのか。気になりますよね?何にも言わないんですよ。

 

みんなそれこそ手に汗握ってじっと見守るわけですよ。そうしたらまた間が空いて、結局その会議を開いて喋ったのは、冒頭の宮さんの間に合わないってことと、高畑さんが間に合わないのは仕方がない。たぶん時間にすると15分とか20分だったかもしれません。とにかくみんな黙るっていう会議をやったんですよ。

 

黙るっていう会議をやって、やっと宮さんが重い口を開きました。それを受けて。で、宮さん何言うかなと思ったら、「プロデューサーがそういう言うんじゃ仕方がありません。この会議は解散しましょう」って(笑)

 

いま井上さんに言われちゃったけど、突然思い出したんですよね。それで宮さん何やったかというと、ナウシカっていうのはね、最後出来てる絵コンテがありました。ラストの絵コンテ、全部書き直し始めたんですよ。

 

これは『仕事道楽』の中に入ってたから忘れちゃったんですけれど。

 

井上:ラストシーンですか?

 

鈴木:うん。実はですね、巨神兵王蟲が戦うっていうシーンがあったんですよ。これね、そのシーンを成立させるっていうのはね、結構大変なんですよ。乱闘シーンっていうのは。宮さんがラストのちょっと手前で迷ってる時、そこで高畑勲がプロデューサーとして、こう意見を言う。「宮さん、王蟲を殺せ」って。

 

宮さんがあの映画の中で、王蟲が殺されて巨神兵が生き残る、そういうことをやった上で話の結末をつける、そういうやつだったんですよね。

 

ところがそのシーンをやってたら、映画の公開に間に合うどころか、もっと時間がかかっちゃうんですよ。それで全部書き直しで現在のものになるんですけどね。

 

何が言いたいかというと、サボっててそうなったわけじゃなくて、こんなに一生懸命にやってるのに間に合わない。

 

それでなんとか、本当にギリギリ。映画が完成したのは映画の公開一週間前。そこから当時はフイルムをプリントして、しかも日本全国、北は北海道から南は九州まで送らないといけないんで。そういうことでいうと、本当ギリギリだったんですけど、何とか間に合う。そんなことがあったんですけど。

 

出来上がってしばらく経った頃、宮さんがね言ったことをよく覚えてるんですよ。何かと言うと、「二度と作らない」。「もう嫌だ」って言い出したんですよ。企画をしたのは83年の6月でして、映画が完成したのは3月の頭。つまり9ヶ月間ずっと彼を見てきましたからね。というのは、僕もしょうがないじゃないですか。夜は雑誌作ってたんで会社に戻りましたけど、とにかく朝から夕方ないしは夜まで、彼に全部付き合ってきたんですよ。付き合うってどういうことかというと、休みは正月の一日しかなかったんですよね(笑)なんか一緒にいることが大事だと思ったんですよね。彼と。それで僕も休みの日は朝の4時まで付き合いましたし。僕は何するわけじゃないんですよ。何するわけじゃないんだけど、そばにいることが大事。言葉にしちゃうと簡単なんだけど、それが彼の支えになるのかなって。

 

で、やり終わったじゃないですか。それで映画が公開された。で、おかげさまで評判良かったんですよ。と同時にお客さんも来てくれた。ところが宮さんが「二度と作りたくない」って言い出した時に、僕ね受け入れたんですよ。何で受け入れたかと言ったら、この9ヶ月間の彼を見てたからですよ。こんなことをね毎回毎回やっていったら、一体どうなっちゃうんだろうっていうやつです。

 

亡くなっちゃった方なんだけれどね、彼を支えなきゃいけない、ある有力なスタッフがいて、その人は絵の方の中心をやってた人なんですけどね。宮崎駿が人のこと怒鳴ったのは、その日だけなんですけれど、その彼も宮崎駿に付き合って、朝の9時から午前4時まで働いて。その方が何かあったんでしょう。そんなことが毎日やってましたからね、ある日たまさかなんですけど、お昼に会社やってきたんですよ。たぶん疲れてたんだと思います。ところが宮崎駿は、ずーっと何も喋らないで本当邁進してた彼がいきなり「やる気がないのか」って怒ったんですよね。「やる気がないなら、辞めてもらっで構わない」って。

 

これは何が言いたいかというとね、辞めるって言った時、僕も気持ちはわかってたんで受け入れよう。ところが、僕はそれ以上訊くつもりなかったんですよ。辞める理由。何となく肌で伝わってきたから。以心伝心その他で。

 

そうしたら、「友人を失いたくない」って言ったんですね。要するに、映画監督とは何かっていったら、スタッフに嫌なことを言わないといけない。一つの作品を作るためにはやっぱりニコニコしているわけにはいかない。違うものは違う、ダメなものはダメって、そういうこと言わないといけない。

 

残念ながら人間というのは、才能というのはそれぞれ持ち物は違いますよね、才能がないということを相手に突きつけなきゃいけない仕事なんですよ。

 

そうすると宮崎駿は、そういうことを言うことによって人間関係はダメになるけれど、作品は良くなっていくわけですよ。そういうことをやってたんで、もうこれ以上失いたくない。僕もその時思ってました。もうこれで無いって。

 

おかげさまでナウシカ、評判は良かった。彼の次回作も無い。そういうことでいえば、彼は好きな絵本とかそういうものをやっていきたい。集団でやるってことはそういうことが起こるでしょ。ところが、一人だったらもう少し気持ちを安らかにして、仕事が出来るんじゃないかって、たぶんそんな意味だったんですよ。

 

だから僕がその時思ったのは、一本作って、それで引退。それも良いかなと本当に思ったんですよ。本当に。それで何も言いませんでした。それ以上のこと。要するに、次を作ってくれって。

 

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鈴木:僕は高畑さんのこと尊敬してます。ありとあらゆることを教えてもらったんですよ。本当に。

 

その中の一番、一番というのはたぶんね、自分の考えていることを言葉にするってことですかね。これはね、高畑さんから学びました。アニメーション映画をどうやって作るのか。もちろん内容の問題もあるけど、お金の問題もある。全て高畑さんが教えてくれましたね。内容とお金のことっていうのは当然それがプロデュースっていうことになるんでしょうけどね。本当に色んなこと教えてくれましたね。

 

でも一番最大なのは、やっぱり言葉かなー。何でも言葉に出来る人でしたからね。人間的には問題あるんですけどね(笑)面白い人ですよ。本当に。いま79になったんですよ。まだ作りたいんですよね。だからお金を出してくれる人がいたら、そして人がいたら、彼はやるでしょうね。

 

井上:最後に触れた宮崎さんの最初の本でしたっけ?『出発点』。その解説が高畑勲さんなんですよね。その高畑さんの宮崎評に宮崎監督がとても喜んだっていう話ありましたよね?

 

宮崎さんの作画の技術の凄さ。で、特にトトロの上でメイがピョンピョン跳ねる。ああいうシーンをあそこまで描ける人はそうはいないんだって話をされてましたよね?ちょっとその辺りを最後どうですか?

 

鈴木:例えば、『となりのトトロ』って皆さんご覧になってる方多いと思うんですよ。トトロってね、メイちゃんがそうであるように、お腹を押すとへっこむじゃないですか?これね、実は描ける人いないんですよ。本当にいません。

 

となりのトトロ』というのもいわゆる絵コンテっていうのがあって、これはみんな知ってる前提で話しちゃいますけど、仮に宮さんがいなくなった後、他の人がリメイクしようとしますよね?『となりのトトロ』をセルアニメの見せ方でやろうとしたら、お腹をへっこむようにちゃんと表現出来るか。これね、僕は誤解を恐れずに言うと、高畑さんもそういうこと言ったわけですけど、宮崎駿をおいて他にいないんですよ。誰も描けません。

 

単純な線で描いてるでしょ?単純な線で。どうしてああいうことが出来るのか。例えば、『紅の豚』であろうが、色んな作品で空を飛ぶんですけど、見てて感じられると思うんですよ。本当に空を飛んでる感じ。これってね、宮崎駿っていう人がイメージしてる、頭で妄想に妄想を重ねる、たぶん空を飛ぶってこんな感じだろうって、それを体で持ってるんですよね。というのか、何回も想像したんでしょうね。

 

だからトトロの場合もお腹を押したら、こんな感じだって。それを頭の中で何回も何回もおそらくシミュレーションしたと思うんですよ。最初から描けたわけじゃないんですよ。何回も何回もシミュレーションした結果、そういうものが生まれた。たぶんそうだと思うんですけれど。

 

僕が見てきた限り、色んな人が色んな絵を描いて、そして動かしたりするんですけど、宮さんを見てて勉強になったのは、そのシミュレーションが少ない。そのシミュレーションの積み重ねが高畑さんが言う官能性を生み出したんじゃないんでしょうかね。そう思います。

<未来授業>今村文彦さん 第3回「逆流する津波」

2020年4月30日配信の未来授業です。

www.tfm.co.jp

 

ーナレーションー

今週の講師は、津波工学研究の第一人者で東北大学災害科学国際研究所の今村文彦さん。

 

東日本大震災で私達が目の当たりにしたのは、川下から川上へ遡上する津波の脅威。川の蛇行によってその動きや方向は複雑になり、まるで生き物のように予測がつきません。

 

こうした予測不可能な津波への対策には、普段、どんな訓練をしておけばよいのでしょうか。

 

未来授業3時間目、テーマは「逆流する津波」。

 

今村:9年経ちました東日本大震災なんですけど、当時の様々な映像とか色んなデータがとられまして。我々が知らない津波の姿が分かって参りました。

 

その代表が「逆流する津波」ということで、河川に沿って津波が海から内陸に移動してくる、この津波の怖さがわかってきました。

 

例えば、津波は海から時速700キロで猛スピードで来ます。その後、河口に入ってきてスピードは緩めるんですけども、それでも非常に強い流れがあり、河口から猛スピードで内陸の方に入ってきます。

 

東日本大震災の場合は、なんと河口から50キロまで入って来ました。つまり内陸まで津波が影響したわけですね。海でないから大丈夫、ということでもないんです。

 

特に河川というのは蛇行して曲がっていますので、グルグルっと周って背後から津波が来る場合もあります。実は挟み撃ちになってしまった、こういう状況も報告されています。

 

また都市部では、河川の堤防からそれを乗り越えて、排水溝から逆流してマンホールから出ている。これ実際あったんですね。そうしますと、海から少し離れているのにも関わらず、いきなり道路から溢れれてくると。東日本大震災気仙沼なんていうのも、実際の映像を見ますと、高さ5メートル以上水が噴き出ているんですね。ですからその周辺にいたとすれば、流されてしまう規模になります。

 

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今村:いま現在、日本は津波ハザードマップは整備されつつあるんですけども、実はいま紹介した「逆流する津波」に関しては、十分にその情報が入っていません。

 

ハザードマップでは、津波は最終的にどこまで浸水してくるのか、この情報と到達時間だけなんですね。今回のような「逆流する津波」がどこから侵入してくるのか、河川の堤防を乗り越えてくるのか、また街中に入って来ますと、ビルの間に集中して物凄くスピードが高くなります。そういう詳細な津波の情報は示されてないんですね。そのために、ぜひ都市部の状況では色んなルートで避難することを考えていただきたいと思います。

 

通常の指定の避難場所だけではなくて、例えばビルを使うとか、また地域によっては津波避難ビルということで指定してありますので、海から逃げるだけではなく、逆に違う方向から来たら、違うビルとか、または駐車場ですね。そういう高い所に上がっていただきたいと思います。

 

よく津波避難訓練というのをされるんですけど、大体一つのルートで終わってしまうんですね。自宅からこの小学校まで。そうではなくて、違う所も探していく。その途中の経路も河川がどこにあるのか、またもしここから逆流すれば、どういうルートがいいだろうと。水は基本的には高い所から低い所に行く。そういうものも注意して見ていただきますと、いざという時にもその情報を頭に入れていただきながら、本当に大変なんですけども、臨機応変な対応が出来るのではないのかなと思っています。

 

ーナレーションー

最後は仙台を拠点に活動する今村さんからメッセージです。

 

今村東日本大震災から9年が経ちました。当時は地震に加えて、巨大な津波、また様々な原発事故を含め広域で複合的な災害になってしまいました。

 

いま復旧から復興までにいってます。そこでの経験とか教訓というのは、地域で例えば、震災遺構だったり博物館だったり色んな学ぶ場所を提供しておりますので、ぜひ皆さん当時の経験とか教訓を東北の地方に来ていただいて、学んでいただければと思います。