鈴木敏夫のジブリ汗まみれを文字起こしするブログ

ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」の文字起こしをやっています。https://twitter.com/hatake4633

<鈴木敏夫のジブリ汗まみれ>れんが屋にお雛様あらわる!! ゲスト:阿川佐和子さん

2008年3月3日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol22.mp3

 

阿川:もう始まってるんですか?これ。

 

鈴木:そうなんですよ。 

 

阿川:ええ!ちょっと信じられない。

 

鈴木:なんで?(笑)

 

阿川:なんかみんな静かだなと思った。

 

鈴木:考えたら、お久しぶりなんですよね。

 

阿川:ものすごくお久しぶりというか。宮崎さんにインタビューに行った時に伺った時にお会いしたんでしたっけ?

 

鈴木:いつですか?

 

阿川:相当前です。「僕はこの作品で辞める」っておっしゃって、嘘ばっかりって思ったらやっぱり嘘だったっていう。あれは何だっけね?

 

鈴木:僕、弁護します。その時はそういうつもりなんですよ。

 

阿川:「君のことを本当に愛してる!」って言って、「その時はそうなんだよ!」っていう詐欺な男と同じような発言しないで下さい。

 

鈴木:そういう男ですね。宮崎駿は。

 

阿川:「その時はそうだったんだよ。君だったんだよ」っていう。

 

鈴木:いつもその時には真面目。誠実。

 

阿川:目の前のことには誠実なのね?

 

鈴木:そう。

 

阿川:でも前後関係が出来てない。

 

鈴木:だから日本人じゃないですかね。

 

阿川アメリカは男だけど、日本は女ってよく思ってたんです。外交政策なんか見たりすると、長期的な展望が出来ない。その場での空気で判断したり。

 

鈴木:はいはい。わかります。

 

阿川:物事の進め方がそうだなって思って。女だなって思うのは、女って場当たり的ですから。目の前の細かいことについては気が利く。

 

鈴木:でもしぶとさがありますよ。

 

阿川:そうなんですよ。私その場しのぎで生きてるもんですから(笑)

 

鈴木:どっちなんですか!(笑)

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

この番組は、ウォルト・ディズニー・ホームエンターテインメント、読売新聞、"Dream Skyward"JALの提供でお送りします。

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<鈴木敏夫のジブリ汗まみれ>二人の猛獣使いはラーメンを喰う

2008年2月25日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol21.mp3

 

鈴木:今日はラーメンが来てるからね。

 

依田:ここではよく鈴木さんは料理を作られるんですが。

 

鈴木:俺作んないよ、そんなに!(笑)

 

中村:作るんですか?

 

依田:色んな人に作られせて失敗して、結局自分で作る羽目になるんですけど。永福町のあるラーメン屋さんのラーメンがあって、これがすごい美味しいんです。あれがあんまり美味しかったので、今日会社抜け出して買ってきたんですよ。

 

鈴木:あとで食べましょう。

 

中村:やっぱり鈴木さん、僕みたいな方ですね。

 

鈴木:え?

 

中村:自分で何でもやっちゃうって。

 

依田:あとで言おうと思ったんですけど、似てると思うんですよ。お二人。

 

中村:似てるっていうのは大変失礼なんですけど。

 

鈴木:血液型は何ですか?

 

中村:僕はAなんですけど。

 

鈴木:あ、僕もAなんです!(笑)

 

中村:あ、そうなんですか!

 

依田:で、言っていいですか?まず、全部やっちゃうでしょ?

 

中村:そう。全部自分でやっちゃう。

 

依田:それから怒るときは大きな声で怒るでしょ?

 

中村:そうです。で、人前で怒るでしょ。あと途轍もなく我儘なアーティストを抱えてるでしょ?

 

鈴木:(笑)ちょっとラーメン作ってよ。

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

この番組は、ウォルト・ディズニー・ホームエンターテインメント、読売新聞、"Dream Skyward" JALの提供でお送りします。

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<鈴木敏夫のジブリ汗まみれ>もののけ民俗!?作家の中沢新一さん登場!

2008年2月18日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol20.mp3

 

鈴木:あ、どうも。わざわざありがとうございます。

 

中沢:いえいえ。

 

鈴木:こんな遠い所まで。

 

中沢:遠くもないですよ。

 

鈴木:そうですか?

 

中沢:ここはどういう場所なんですか?

 

鈴木:何か考える時は、大概ここでみんなで打ち合わせですね。

 

中沢:良い場所だなー。

 

鈴木:そうですか?ありがとうございます(笑)あ、そうだ。『ゲド』を読むときに参考させていただいて。ちょっと人数も多いですけれど。

 

中沢ジブリって何人いるんですか?

 

鈴木:スタジオも美術館両方合わせて320人ですね。

 

中沢:結構いるんですね。

 

鈴木:そうなんですよ。スタジオは大体170人くらいかな。だから向こうが150人くらいですかね。いっぱいいるんで困ってるんですけどね(笑)

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

この番組は、ウォルト・ディズニー・スタジオ・ホームエンターテインメント、読売新聞、Dream skyward JALの提供でお送りします。

 

ーナレーションー

たくさん人が東京の街を走り抜けた日、レンガ屋に自転車で乗りつけたのは、作家で民俗学者中沢新一さんです。

 

ラソンはスタートからゴールまで何万人もの人が決まった道を走りますが、レンガ屋で走り出す2人の会話は、どこへ行くのか行方知れず。夜のしじまへ羽ばたいて行ってしまいます。

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<鈴木敏夫のジブリ汗まみれ>鈴木敏夫の謎の記憶!トトロとアスペルガー症候群

2008年2月12日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol19.mp3

 

鈴木:僕ね、自分の小学校時代ですけど、いじめってあったんですかね?

 

石川:今とは違いますけどね。ギャラリーがいないですね。その頃は。

 

鈴木:ギャラリーがいない?

 

石川:ええ。一対一に近いのが多かったような感じですね。

 

鈴木:どういういじめがあったんですかね?

 

石川:個人攻撃みたいな。個人が個人を攻撃するような。

 

鈴木:ありました?

 

石川:ええ。

 

鈴木:僕、全然覚えてないですけど。

 

石川:似たような子が争うんですよ。で、どっちかが強くなったり弱くなったりして。ひょっとしたらいじめてたのかなって。

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

この番組は、ウォルト・ディズニー・ホームエンターテインメント、読売新聞、"Dream Skyward"JALの提供でお送りいたします。

 

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

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<鈴木敏夫のジブリ汗まみれ>映画『ドライブ・マイ・カー』について語る(後編)

2021年9月26日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

https://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol703.mp3

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

今週は先週に引き続き、オンライン「鈴木Pファミリー」のメンバーと鈴木さんの娘の麻美子さん、小松季弘さん、鈴木さんと映画『ドライブ・マイ・カー』について語る映画談義の模様をお送りします。

 

村上春樹の短編小説集『女のいない男たち』に収録された短編『ドライブ・マイ・カー』を濱口竜介監督・脚本により映画化。第74回カンヌ国際映画祭で日本映画としては、史上初の脚本賞を受賞。加えて、他4冠獲得の偉業を果たしました。

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<鈴木敏夫のジブリ汗まみれ>春を告げる花咲くスタジオジブリに新社長誕生!!

2008年2月4日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol18.mp3

 

西岡:皆さんおはようございます。本日は星野康二・スタジオジブリ社長就任記者会見へお集まりいただき、誠にありがとうございます。私、本日の司会を務めさせていただきます、スタジオジブリ広報部の西岡と申します。どうぞよろしくお願い致します。

 

(会場、拍手)

 

ーナレーションー

2月1日金曜日の朝、暖かい日差しが差し込むスタジオジブリのカフェに、たくさんのプレス関係者が集まっていました。

 

この日、世間を、そして世界を驚かせる発表が行われようとしていたんです。

 

西岡:さて、先日1月29日にスタジオジブリの臨時株主総会が招集されまして、2005年4月より約2年間社長を務めて参りました鈴木敏夫に代わりまして、本日2月1日をもって、星野康二を新しくスタジオジブリ代表取締役社長に就任されることが承認されました。

 

今日はその事実を皆様へのご報告とご挨拶の場として、報道関係の皆様にお集まりいただいた次第です。

 

ーナレーションー

鈴木敏夫から星野康二新社長へ。

 

スタジオジブリの社長交代。

 

社長を辞めた鈴木さんは、一体どうなるんでしょう。

 

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

この番組は、ウォルトディズニースタジオホームエンターテインメント、読売新聞、ドリームスカイワード、JALの提供でお送りします。

 

ーナレーションー

会見の前、集まった報道陣に一枚のプリントが配られました。鈴木さんに代わって新しくジブリの社長に就任する星野康二さんの華麗なる経歴です。

 

1956年札幌生まれの51歳。81年ニューヨーク州立大学MBAを取得。アメリカ・アームストロング社などを経て、90年にウォルト・ディズニー・ジャパンに入社。93年ホームビデオ部門の代表、2000年44歳でウォルト・ディズニー・ジャパン代表取締役社長およびエグゼクティブバイスプレジデントに就任。

 

うーん、なんか素敵。

 

でも、なぜこんな素敵な方が汗まみれなジブリにやってくることになったんでしょう。

 

新しい社長誕生の裏には、どんなドラマがあったんでしょう。

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<鈴木敏夫のジブリ汗まみれ>ジブリの鈴木さん、押井守監督を語る!!

2007年11月19日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol07.mp3

 

石井:10時間とか平気で喋るんですよね。最長記録17時間っていうのがあって。

 

鈴木:喋りだしたら止まらない。

 

石井:ええ。この間作ったラジオドラマもね、これは傑作ですよ。

 

鈴木:本当に!?

 

石井:うん。超大作。でもラジオドラマの話を持っていったら、たぶん押井守は監督しますよ。それぐらいラジオをやりたがってるんで。

 

鈴木:つまんない番組やってるんですよ。押井守の?

 

石井:シネマシネマでしたっけ。

 

鈴木:僕、それ変えろって言ったんですよ。タイトル。『押井守の喋りだしたらとまらない』。

 

石井:今回聞いた時も「どこでやってるの?」って言ったんですよね。「なんか全国ネットらしいですよ」って言ったら、「どこ?」って言うから、「TOKYO FMです」って言ったら「え、TOKYO FMで全国ネットなんてないよ!」って。

 

鈴木:(笑)

 

石井:「それは敏ちゃん、勘違いしてるんだよ!」って。

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

(映画のナレーションの声)

 

ーナレーションー

全国で映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」が華々しく封切られた次の週末。渋谷の単館シネクイントでひっそりと始まった一本の映画があります。押井守監督の実写映画「真・女立喰師列伝」です。

 

前作「立喰師列伝」に続き、今回も役者として参加。渾身の演技を見せる鈴木さんですが、この「真・女立喰師列伝」では、なんとナレーションも担当しているんです。

 

石井:「出たがるから出してやったんだ」って言ってましたね。

 

鈴木:頭下げて頼んできてさ(笑)

 

石井:(笑)複雑な仲なんですよね。

 

鈴木:なんで複雑なの?

 

石井:一番お互い喋りたいんだけど、中々素直に喋らない。お互いがお互いのラジオだったり映画だったりを使って、会話をしようとしているんじゃないんですか?

 

(全員、笑い)

 

石井:いや本当に。

 

ーナレーションー

なんて貴重な情報を伝えてくれているのは、押井監督の次回作『スカイ・クロラ』のプロデューサーを務める石井朋彦さんです。

 

今夜は、押井・鈴木二人の汗まみれな伝説が色々聞けそうです。

 

(映画のナレーション)

 

石井:この間、前作で殺されたんですよね?

 

鈴木:押井作品三本目だよね?俺。

 

石井:『KILLERS』が一本目ですよね?

 

鈴木:それから『立喰師列伝』もあるじゃん。

 

石井:あ、そうだそうだ。それで三本目だ。

 

鈴木:大変だったんですよ。『立喰師列伝』でしょ。頭どうかしてる(笑)

 

あの時はね、僕感心したんですよ。というのは、普段髭伸ばしてるじゃないですか。紙は白いでしょ?条件が「髭を剃れ」って。それでもう一つが撮影のために「髪を黒くしろ」って言われて。

 

僕、髪を黒くするとかそういうことしたことなかったんで、「そんなの嫌だ」って言ったら、「昔の鈴木敏夫に会いたい」って。それで協力したんですよね。大変でした。でも自分でもびっくりしました。あれは感心した。

 

石井:そうですよね。昔の鈴木さんを蘇らせてて、で素っ裸ですよね?

 

鈴木:そう。それで揉めるんですよ。僕が死んだ後、解剖のシーンがあって。パンツを脱ぐ脱がないで色々揉めましてね。僕は脱いでもいいよって言ったんだけど、なんか向こうのプロデューサーがそれ止めてね。大事件だったね。

 

石井:鈴木さんはね、亡くなった方が寝る台で寝ちゃったんですよ。

 

鈴木:そうそう。撮影中に寝ちゃったんですよ。よくあるんですけどね(笑)

 

石井:終わった後に「このまま敏ちゃんが死んじゃったらと思うとね、ちょっと寂しかったよ」って。

 

鈴木:起こすんですよ。「敏ちゃん。寝てないで」って言われてね。あれ、よくわかるんですね。僕が寝てるのわかるの、押井さんと白木さんだね。

 

男性:今回ナレーションも、、

 

鈴木:なんで言い出したの?あれ。

 

石井:他にいなかった。お金がなかった(笑)毎回テーマがあるんですよね。一作目は、スタジオジブリと思しき巨大アニメスタジオの悪徳プロデューサーが、製作費を横領して上に隠れてるんですよね。それをスナイパーが撃ち殺すのがストーリーなんですよ。ともかくジブリは巨大になって、その頂点に君臨して、いま彼は死にたいはずだと。俺が映画の中で殺してやる

 

鈴木:その願望を満たしてやるって。ここにピストルの弾を当てられて、頭吹っ飛ぶんですよ。

 

石井:CGでね。

 

鈴木:そう。二作目は、立喰師の一人でね。たぬきうどんかなにか好きだったんでしょ?

 

石井:そうそう。

 

鈴木:僕はきつねうどんにしてくれって言ったんですけどね(笑)それでこれも取り調べ室で壁に頭ぶつけられて死んじゃうんですけどね。

 

石井:今回は殺さなかったですよね。

 

鈴木:確かにそうなんだよね。彼ね、自己顕示欲とその逆があるとしたら滅却力。その二つがあるんですよ。やっぱりアニメーションの方では観客層が限られるとはいえ、多くのお客さんを相手にしたものを作りたいんですよ。本来ね。ところが実写になると、人が本当に限られた人しか観ない。そういうのを作ってみたい。その二つのバランスで生きていこうとしてるんですよね。というのか、そうやってやってきたんですよ。

 

それをここへ来て突然、アニメーションの方もさることながら、実写の方でも一般受けのするものを久々に同時進行で作ったんですね。

 

石井:ここに来て、その両方で多くの人に観てもらいたい、という欲求が出てきたのは間違いないですね。

 

鈴木:『スカイ・クロラ』まだ観てないけど、それと今回の映画の一番共通してるのは、「情緒」っていうことだと思うんです。この間一貫して、情緒は切り捨ててきましたからね。そんなものに頼って映画は作るべきじゃないって。それが何故かあるんですよ。

 

男性:いつ以来?

 

鈴木:僕の知ってるのでいうと、僕が出会った頃、彼が作ってた『うる星やつら』のテレビシリーズ、これは所々で情緒のあるもの作ってるんですよ。そういうものをお客さんが好きだっていうことを知ってて、あえてそれに背を向けるという作り方をしてきたんですよね。どうしたんですかね。

 

この間、対談でもそういう話したんだけど、僕は押井さんに言ったのはね、「あなたは監督に向いてない」って言ったんですよ。何に向いてるかっていったら、プロデューサーだって。そうしたら認めたんだよね。そうしたら逆襲してきたんですよ。僕に対して、「お前はプロデューサーに向いてない」って言ったんですよ(笑)

 

石井:鈴木さんがプロデューサーの最左翼で、押井さんが監督の最左翼だから近いって言ってましたね。鈴木さんはもう60ですか?

 

鈴木:僕は59。

 

石井:59。押井さんは56。

 

鈴木:押井さん、仕事してるの?

 

石井:仕事してます。

 

鈴木:よく喋るよね。

 

石井:そうですよね。

 

鈴木:俺の前だと少なくなるんだよね。

 

石井:なんていったらいいのかなー。毎回終わった後にため息つくんですよね。昔はもっと話が出来たんだけど、中々そうならないんですよね。鈴木さんはたぶん否定すると思うんだろうけど、噛み合わなくなってることにイライラしてる感じはありますよね。

 

鈴木:そんなこと言ってる?

 

石井:言ってる言ってる。

 

鈴木:なんて?

 

石井:「自分の周りで手に入れた情報で敏ちゃんは喋ってる。俺は本なり人と会い勉強してるんだ。それの差だ」って言ってますね。

 

鈴木:何言ってるんだろ(笑)

 

石井:鈴木さんがラジオ番組を持ったっていう話をしたら、押井さんは警鐘を発してるわけですよ。

 

鈴木:警鐘を発してる?!(笑)

 

石井:元々編集者だったじゃないですか。で、映画の世界に入って、映画というスピーカーを通して自分の好きなことを叫んでいたと。『熱風』っていうオピニオン紙があるんですけど、あれも一つのオピニオンを手に入れたと。今回は直接語りかけるメディアを手に入れたと。これはファシズムとか(笑)

 

鈴木:(笑)何を言ってるんだろう。もう。

 

石井:非常に危険だっていうんです。

 

鈴木:じゃあ自分は何のためにラジオやってるの。

 

石井:押井さん、昔ラジオのディレクターだったんですよ。

 

鈴木:それが出発なんですよ。

 

石井:実はこの間ラジオドラマを、20何話壮大な作品を作り上げて。

 

鈴木:大学出て、すぐ入ったのがラジオを作るそういうプロダクションだったんですよ。そこで鬱々とラジオ番組を作って、それである時アニメーションやってみようかなって。それでタツノコっていう門を叩いて、アニメーションの世界に行くんですよ。かれこれ26、7年?

 

石井:そうですね。

 

鈴木:若い時に毎晩喋ってたんですよ。毎晩夜の10時だか11時に会ってね、朝まで。毎晩ですよね。

 

男性:押井さんは何をやってたんですか?

 

鈴木:何やってたのかな。テレビシリーズが終わって、一緒に映画やろうか、みたいなこと言ってた時なんですかね。

 

男性:『攻殻機動隊』の前ですか?

 

石井:前ですね。ずっと前ですね。

 

鈴木:彼が代々木かなんかに住んでてね、僕ジブリの帰りに寄って、早いと10時11時。遅いと午前1時くらいに行って、毎日元気だったから朝まで喋ってたんですよ。毎晩でしたね。それぐらい仲が良かったんですね。今じゃこんなに仲悪くなりましたけれど(笑)

 

石井:毎晩、みかんの皮の山を作って帰っていくんですよ。

 

鈴木:みかん大好きだったんですよ。大体一回買うとね、みかん30個くらい食べるんですよ。止まらないんですよ。

 

男性:一晩で?

 

鈴木:そう。子供の頃からみかん大好きでね。学生時代お金ないでしょ?みかん一箱ツケで買うんですよ(笑)でも3、4日で食べちゃうんですよね。その八百屋の親父が「またミカンか」とか言ってね。いつも手が真っ黄色でしたね。最近30個って食べられなくなった。

 

男性:押井さんとはどんな話をしていたんですか?

 

鈴木:ありとあらゆる話だけど、やっぱり映画の話多かったですよね。一緒に映画に行ったり。過ごした時代が同じだから、気が合うというのか。宮崎駿高畑勲とは仕事の上では共同事業者だけれど、厳密にいうと、友達なのは押井守かなと。色んな意味で。僕が一番気楽に話せる相手ですよね。

 

石井:そうですよね。押井さんもそうですよね。

 

鈴木:そういうのが一人いるっていうのは、良いですよね。僕は友達が色々いるんですけど、押井守は友達がいないんですよ(笑)

 

男性:ワンちゃん。

 

鈴木:そう。ワンちゃん以外は僕だけが友達で。

 

石井:押井さん逆のこと言ってますよね。「俺がいなくなったら、一人も友達がいなくなるはずだ」って。

 

鈴木:アニメーションが面白かったんですよね。色んなことが出来る。『ビューティフルドリーマー』なんて、それを作った頃、宮崎駿は『ナウシカ』を作る。そうしたらその息子の宮崎吾朗っていうのがいるんですけど、『ナウシカ』よりも『ビューティフルドリーマー』が好きなんですよ。親父としては複雑な気持ちになって。で、ついね親父も『ビューティフルドリーマー』観たりして。

 

石井:(笑)

 

鈴木:「何がいいんだ、これが!」とか言っちゃってね。大変だったんですよ。

 

石井:『ゲド戦記』を観てね、おそらく一番最初に高く評価したのは、押井さんですよね。これは面白いですよね。

 

男性:押井さんはなんておっしゃったんですか?

 

石井:おそらく色んなことを言われるだろうと。それは宮崎駿の息子だからって思うんだけれども。じゃあ初監督でこれだけのものを、果たして普通の人に作れるだろうかと。そこは明らかに合格点を与えていいだろうと。そういう評価をしてましたよね。

 

その上で冒頭で父親を刺さずに、助手でゲドって出てきたじゃないですか。あのゲドっていうのはおそらく鈴木さんだろうと。そうすると、本来親殺しをするだった話が、結局、鈴木敏夫に丸め込まれて、っていう話になってると。

 

そういう意味では、映画の趣旨が冒頭、後半において大きく変わってる。それも含めて面白いなと言ってましたね。だから次は本当の父殺しの映画を作るべきだっていう風に言ってますよね。

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

鈴木:でも、キーになるのはね、「押井守が変わった」ですよね。

 

石井:そうですね。

 

鈴木:明らかにそうですから。何しろ押井さんの名前で売る作品でしょ。そうすると、今までの押井守とは一味どころか二味三味違うぞ。「押井守が変わった」ですよね。

 

ーナレーションー

押井守総監督作品『真・女立喰師列伝』、渋谷シネクイントで公開中。

 

石井:なるほどー。こうやって喋りながら話してると面白いですね。

 

鈴木:人生は楽しいですよ。なんつって(笑)

 

石井:楽しそうですねー。

 

鈴木:なんで(笑)石井が僕のことよく知ってるんですよ。もう嫌になるぐらい付き合ったから。ね?

 

石井:そうですね。

 

男性:いつ以来ですか?

 

鈴木:石井はいま?

 

石井:30ですね。

 

鈴木:で、俺と出会ったのが?

 

石井:20くらいか。

 

鈴木:まぁある事情があってね。僕が預かったんですよ。

 

石井:(笑)

 

鈴木:ある事情言っていいのかな。制作だったんですよ。もう30にしてプロデューサーやってるから、当時から生意気なわけですよ。協調性がなくてね。みんなと全然上手くいかなくて。

 

ある日、高橋っていうのが僕のところへ来て、「石井辞めさせようと思うんですけど」って言いに来たんですよね。「なんで?」って言ったら「誰とも上手くいかない」と。「鈴木さん、預かります?」って言うんですよ。「鈴木さんが預かってくれるんならいいですけれど、預かってくれないならクビにします」って。

 

そうしたら、生意気だったけれど、見込みがあったんですよね。それで四六時中色んなことで付き合うようになって。21だよね?

 

石井:そうですね。9年か。

 

鈴木:それで色々やってて、『ゲド』まで一緒にやって、それで押井さんに差し出したんですよ(笑)

 

石井:差し出された(笑)

 

鈴木:まだどっかで一緒に仕事することもあるけれど、ちょうど押井さんがそういう人がいなくて困ってたから。押井さんの発言の中で「今まで映画を作ってきて、事前に色んな人と相談をするはじめての作品だ」って。

 

石井:よく知ってますね。鈴木さん。

 

鈴木:今度の『スカイ・クロラ』は、石井がいたことによって本当に相談するわけだから。

 

石井:そうですね。一からやろうと思ったんでしょうね。押井さん。

 

鈴木:これは大きいですよ。だから今までの押井作品とは一味違う。のはずなんですよ。だからちょっと楽しみなんですよ。石井と合うと思ってたんですよ。だって押井さんの前にそういう人誰もいなかったから。だから『ポニョ』をやるか、押井さんをやるかで。僕はそういう時ひどいから、押井守の所に行っちゃえって。

 

石井:今となっては本当に感謝です。

 

鈴木:(笑)

 

男性:今も時々鈴木さんが電話したりして、会おうかみたいな感じはあるんですか?

 

鈴木:今そういうことはなくなったですよね。

 

男性:そうですか。

 

鈴木:この作品、ナレーション録ったでしょ?その後、久しぶりに二人っきりで喫茶店に入って喋ったんですよ。人がいないと、昔に戻るんですよ(爆笑)

 

石井:そうでしょうね。 

 

鈴木:「ダメじゃん。風邪なんか引いて」とかなんか言って(笑)

 

(全員、笑い)

 

鈴木:突然、そういう感じになるんですよ。

 

石井:(小声)ヤバいですよね。

 

鈴木:(小声)宮さん怒ってるんだよ。

 

石井:(小声)怒ってますよね。宮崎さん聞いてるんじゃないんですか?きっと。宮崎さんは怒るでしょう。