鈴木敏夫のジブリ汗まみれを文字起こしするブログ

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かつての同級生、谷山浩子さんと奥田誠治さんがれんが屋で再会! ゲスト:谷山浩子さん、奥田誠治さん

2008年9月30日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

https://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol52.mp3

 

鈴木 

でも僕タイガースが好きだったんですよ。

 

奥田 

中日じゃなくて?(笑)

 

鈴木 

いやいや(笑)ゴールデン・カップスも好きだったんだけど、タイガース好きでしたね。

 

谷山 

どんなところが好きだったんですか?

 

鈴木 

ジュリーが好きだったの。ちょうどその時18なんだけど、「あ、日本にこういうのが出てきた」っていうので嬉しくて。ただそれだけですけどね。

 

谷山

じゃあ同じくらいですね。

 

鈴木

ジュリーと同い年なんですよ(笑)

 

谷山

あ、そうなんだ!

 

奥田

今度、ジュリー祭りってあるんですよ。

 

谷山

え、いつ?

 

奥田

11月かな。あれ僕見に行きたいなって(笑)

 

鈴木

どの歌が一番好きだっだんですか。ジュリー。

 

谷山

「美しき愛の掟」です。

(ここで歌を歌う)

 

ーナレーションー

また一つ季節が巡って、いつの間にか秋も深まった9月最後の日曜日。れんが屋には懐かしい1960年代のタイガースの歌がこだましていました。

 

鈴木

奥田さんはテンプターズ

 

奥田

いや、僕スパイダース。

 

鈴木

あ、スパイダースか。

 

奥田

「あの時君は若かった」とかね。

 

(みんなで歌を歌う)

 

ーナレーションー

歌っているのはかつて同じ学校に通っていた同級生だった二人。シンガーソングライターの谷山浩子さんと、おなじみの日本テレビのプロデューサーの奥田誠治さんです。

 

鈴木 

ショーケンとかはああいうのはダメだったんですか?

 

奥田

ショーケンショーケンで好きだったですよ。

 

ーナレーションー

ちょっと肌寒くなってきて、人肌恋しい秋の夜。れんが屋はなんだか不思議な温かさに包まれています。

 

谷山

私ね、生まれて初めて買ったレコードって、三田明さんの「カリブの花」っていう。

 

奥田

ませてたんですね。ドキドキしちゃって買いに行けなかったですもん。

 

谷山

レコードを?

 

奥田

レコード屋に行って、本当は買いたかったのにタイトルが恥ずかしくて(笑)

 

鈴木

(笑)

 

谷山

男の子だからでしょ?

 

奥田

そう。初めて買ったのは、SLの絵のドーナツ版をね(笑)

 

鈴木

(笑)

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

この番組は、ウォルト・ディズニー・ホームエンターテインメント、読売新聞、"Dream Skyward"JAL、"街のホットステーション"ローソン、アサヒ飲料の提供でお送りします。

 

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

鈴木

おなじみ日本テレビの奥田さんで。

 

奥田

こんにちは。同窓なんで。

 

谷山

中学の時に同じクラスで。

 

奥田

お茶の水女子大学教育学部附属中学校、校歌はまだ歌えますね。

 

(校歌を歌う)

 

ーナレーションー

かつて『未来少年コナン』や『ゲド戦記』に曲を提供した谷山浩子さんが、そのジブリナンバーも含め、セルフカバーしたアルバムをリリース。

 

今夜はその『タマで弾き語り』というアルバムを鈴木さんに届けにきたんですけど、たまたまれんが屋に立ち寄った奥田さんと再会。

 

鈴木

全く同級生なんですよね?

 

奥田

そうなんですよ。

 

鈴木

同じクラスになったことは?

 

奥田

なったんですよ。

 

鈴木

最初から同じクラスなんですか?

 

奥田

最後じゃないかな?全然定かじゃないです。

 

谷山

3クラスしかなくて100人ちょっとしかいないから。

 

奥田

少ないんですよ。

 

鈴木

みんな名前覚えちゃうんだ。

 

奥田

売店があったでしょ?

 

谷山

あった。はい。

 

奥田

僕はあそこで記念切手買ってたんですよ。

 

谷山

切手売ってた?

 

奥田

そう、売っててね。そんなこと知らないでしょ?

 

谷山

知らない。

 

奥田

あそこはいち早く切手が買えるんですよ。

 

谷山

切手マニア!

 

奥田

いま喋ってて、急に色んなこと思い出した(笑)

 

ーナレーションー

二人がつむじ風みたいに40年前の秋へ舞い降りてしまいました。

 

そこは名古屋から上京したばかりの長髪の鈴木青年が、アパートでギターを弾いていた東京です。

 

谷山

背が高くてヒョロっとしていたんですよ。

 

鈴木

え、誰かですか?

 

谷山

奥田さんが。ヒョロっとした感じでしたよね?

 

奥田

うん。ヒョロっとしてて、夏休みとか春休みはSLの写真を撮りに東北とか、色んなところまわってたの。

 

谷山

それはわかりますよ。だって女の子ばっかりだもんね。

 

奥田

キングレコードに売り込みに行ったっていうのを後で聞いて。

 

谷山

売り込みっていうか、今考えるとあれは持ち込みなんだろうなって思うんだけど。

 

鈴木

いくつの時ですか?

 

谷山

中学生の時に、大学の裏門からすぐ近くだったんですよ。キングレコードが。

 

鈴木

講談社グループですもんね。

 

谷山

そうですね。私、中村晃子さんのファンだったので。

 

奥田

♪あの人に〜会いたくて〜虹色の、、、

 

谷山

すっごい歌詞間違えてる。

 

鈴木・奥田

(笑)

 

鈴木

本当の歌詞はなんていうんですか?(笑)

 

谷口

♪あの人に〜、ではないですね。

♪幸せが〜住むという〜、ですよ。

 

それで、そのディレクターの人に作った歌を聴いてもらってたんです。

 

鈴木

作ったっていうのは、12才の時に?

 

谷山

うん。子供の時から歌は作っていたので、作詞作曲家になりたくて。筒美京平さんとか橋本淳さんとか、ああいう人になりたくて。

 

奥田

キングレコードって、僕の家の途中だから。

 

谷口

え、あっちの方だったの?

 

奥田

うん。交差点の山田性病科の看板の下だから。

 

鈴木

(笑)

 

谷口

凄い近くだったんだ!

 

奥田

たぶん同じ頃にキングレコードが組合闘争で「ボーナス50万なんとか獲得!」とか書いてあって、子供心に「50万も貰えるんだ」って(笑)

 

昔、万博に難波くんっていうのと、難波くんの大阪の叔母さんの家に泊まりながら、万博に行くってことになって。万博行きました?

 

谷山

行かなかった。

 

奥田

あ、行かなかったんだ。それはなんで?

 

谷山

なんでっていうか、遠いし。

 

鈴木

大阪だもんね。

 

奥田

あれはみんな行ったでしょ?あの時。

 

谷山

みんな行った?東京の人も?あんまり興味なかった。

 

鈴木

僕も興味なかったんです。

 

谷山

え、なんでなんですか?

 

鈴木

全然興味なかった。僕はもう東京にいたけど、何の興味もなかった。

 

谷山

何でっていうか、何で興味があったの?

 

鈴木

20世紀少年』みたいですね。公開中の(笑)

 

奥田

20世紀少年』って、僕の中では万博ってものすごく大きかったから、行った人と行けなかった人で違いがあるのかなって。

 

谷山

世の中には2種類の人間がいるって。

 

奥田

でもあの中学の頃のヒットした曲とか、あの頃何が流行ったかって色々見てみるとね、フォーク・クルセダーズもそうだし、谷山浩子もそうだし。

 

谷山

え!中学の頃に?!

 

奥田

中学の頃はまだなんだけど。

 

鈴木

(笑)

 

奥田

僕の中では一番そこが、色んな音楽の全て。

 

鈴木

日本の音楽がちょうど変わる頃。いわゆる歌謡曲だったのがポップスみたいになる。

 

谷山

自分で作る人も出てきて。

 

鈴木

そうそう。

 

奥田

吉田拓郎がそう。深夜放送で「オールナイトニッポン」とか「セイヤング」とか聴いてたでしょ?

 

谷山

聴いてた聴いてた!

 

奥田

死ぬほど聴いてたでしょ?

 

谷山

夜中に布団被って。こっそり。

 

奥田

あ、そう。やっぱり同じだ。

 

谷山

ハガキ書いたりしてね。

 

奥田

ハガキ読まれたことある?

 

谷山

ない。一度も。

 

奥田

僕、「金曜パック」で読まれたことあるの。

 

谷山

本当?誰に?

 

奥田

野沢那智さんに。

 

谷山

え、凄い。

 

奥田

「今日、なんだかわけわかんないアフレコやって」とか言って。当時、アラン・ドロンのアフレコとかやって。

 

鈴木

イリヤ・クリヤキンとか。

 

奥田

イリヤ・クリヤキン。やっぱりああいうの読まれると死ぬほど嬉しかったですね。

 

谷山

それは嬉しいよ。なんか異次元が自分に近づいてきたみたいな。小学校の2年生か3年生のとき私、週刊マーガレットの漫画の横の細いところの「似顔絵ありがとう」っていうところに名前が書いてあったのを見て、眠れないくらい嬉しかったもん。

 

奥田

わかる。その気持ちは。

 

谷山

小学校の時は、水野英子さんとか西谷祥子さんとか割と外国の大河ものが好きでした。『白いトロイカ』とか。

 

奥田 

僕は『半魚人』とかね。

 

鈴木

(爆笑)

 

谷山

楳図かずおさん。

 

奥田

楳図かずお。小学校の裏でマガジンを見て、すんごい怖くて。友達三人くらいで隠れて読んでたんですよ。

 

谷山

怖いから隠れて読んでた?

 

奥田

怖いから。怖いのと見ちゃいけないんじゃないかって(笑)いま急に思い出した!

 

谷山

少女漫画も書いてたけど、凄く怖かったですね。私は漫画描くグループで集まってて。私、中学一年生まで漫画家になりたいかもっていう気持ちがちょっとあって、ちょっと描いてて。絵が上手だったら漫画家になってたかも。すっごい好きだったから。当時の漫画喫茶って今のと違って、漫画家さんとかマニアの人が集まったりとかして。  

 

奥田

そんなのあったんだ?

 

谷山

新宿にあったの。

 

奥田

そこへ行ってたの?

 

谷山

うん。

 

奥田

なんか大人びてたんだね。

 

鈴木

(爆笑)

 

谷山

そんなことないけど、、、、生まれて初めてアイスコーヒーを飲んだ。

 

奥田

すっごいなーー。

 

谷山

『ガロ』とか読んでた。

 

鈴木

カムイ伝』とかね。

 

谷山

そう、『カムイ伝』。『カムイ伝』の終わりかけから読み始めて、つげ義春さんとか好きで。

 

鈴木

それって、60年代?

 

谷山

70年代に入った頃。中学に入った時が69年なんで。

 

鈴木

そういう年代なんだ。

 

奥田

中学1年の時に70年安保で、男子学生がデモをやってたりとかね。

 

谷山

近所の大学生がみんな殺気立ってた感じで。

 

鈴木

僕、大学生だったんですよ。

 

谷山

あ、ちょうど。

 

鈴木

そうなんです。東京に来たのが67年。

 

谷山

何かやりました?

 

鈴木

みんなやってましたからね。みんなが政治に関心を示した時代ですよね。政治の季節ですよね、僕らが大学の頃は。

 

谷山

私たちの世代からすると、怖かったです。甘っちょろいことを言うのを許してくれないみたいな雰囲気があって。すっごい攻撃的だった。

 

鈴木

そうそう。やっぱり破壊の世代ですよね。いま考えるとね。

 

奥田

中二の時かな。土田って爆破事件があって、家まで爆発音が家までしましたよね。それから中一の時かな。上野最後のSLの音がね、中学校まで聞こえてきたな。

 

谷山

SLの音?

 

奥田

うん。汽笛が。

 

谷山

聞こえるものなんだ。

 

奥田

聞こえるもんだなと思って。空耳だったのかな。

 

ーナレーションー

奥田誠治ジブリ汗まみれ。

 

谷山

でもあの頃フォークブームたったから、ギターも弾きたくなって、親に買ってもらって。

 

奥田

何のギターを買ったの?

 

谷山

アコースティックギター

 

奥田

先生に習ってとかじゃなくて?

 

谷山

自分で。でも近所の蕎麦屋のお兄さんが教えてくれた。学校にも持っていってたし、文化祭の時とか後夜祭の時に弾いてたよ。

 

奥田

いいな。学園祭の後ギター弾いて。楽しそうだな。俺何やってただろうその時。後夜祭って何してたんだろう。学園祭自体記憶になくて、みんなで真面目に鉄道の出し物の準備をずっとやってたような。

 

谷山

思い出全部鉄道じゃない!?もしかして。

 

奥田

そうかもしれない。

 

鈴木

あとSL。

 

奥田

もう真逆ですね、これ。

 

谷山

いや逆なことはないんじゃないかな。

 

男性

奥田さん、いつ鉄道と別れたんですか?

 

奥田

いや、別れてないんですよ。結局、なんで『三丁目の夕日』やったかっていったら、鉄道が全部見れるからだし、いま住んでるところは都電がいつでも見れるからだし。心地良い距離みたいなのをずっと保ってるような感じがね。

 

ーナレーションー

二十九年前の歌をいま歌うのって、不思議ですよね。だってこれは一体いつの曲になるんでしょう。いつだったか鈴木さんはこんなことを言っていました。

 

「未来って本当に前にしかないのかな。後ろだって未来かもしれないって思うんすよね」って。

 

奥田

いやでもビックリした。みんな好きなことをずっとやってこれたでしょ?凄い羨ましいよね。

 

鈴木

谷山さんの長持ちの秘訣って、何なんですか?

 

谷山

特に大ヒットもしない代わりに、そこそこ生活は出来るくらいのところをずっと来たので持ってるっていうのはあるのかなと。あとは他のことが何も出来ないので、やるしかなかったのかなと。でもね、辞めようとと思ったことがないんですよ。

 

鈴木

それが一番大きいかもしれない。

 

奥田

ブレない。だから凄い。

 

谷山

ああ、ありがとう。

 

奥田

だって変わんないでしょ?

 

谷山

変わらない。

 

奥田

何で変わらないの?

 

谷山

わかんない。なんだろう。

 

(了)