鈴木敏夫のジブリ汗まみれを文字起こしするブログ

ポッドキャスト版「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」の文字起こしをやっています。https://twitter.com/hatake4633

春を告げる花咲くスタジオジブリに新社長誕生!! ゲスト:星野康二さん

2008年2月4日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol18.mp3

 

西岡:皆さんおはようございます。本日は星野康二・スタジオジブリ社長就任記者会見へお集まりいただき、誠にありがとうございます。私、本日の司会を務めさせていただきます、スタジオジブリ広報部の西岡と申します。どうぞよろしくお願い致します。

 

(会場、拍手)

 

ーナレーションー

2月1日金曜日の朝、暖かい日差しが差し込むスタジオジブリのカフェに、たくさんのプレス関係者が集まっていました。

 

この日、世間を、そして世界を驚かせる発表が行われようとしていたんです。

 

西岡:さて、先日1月29日にスタジオジブリの臨時株主総会が招集されまして、2005年4月より約2年間社長を務めて参りました鈴木敏夫に代わりまして、本日2月1日をもって、星野康二を新しくスタジオジブリ代表取締役社長に就任されることが承認されました。

 

今日はその事実を皆様へのご報告とご挨拶の場として、報道関係の皆様にお集まりいただいた次第です。

 

ーナレーションー

鈴木敏夫から星野康二新社長へ。

 

スタジオジブリの社長交代。

 

社長を辞めた鈴木さんは、一体どうなるんでしょう。

 

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

この番組は、ウォルトディズニースタジオホームエンターテインメント、読売新聞、ドリームスカイワード、JALの提供でお送りします。

 

ーナレーションー

会見の前、集まった報道陣に一枚のプリントが配られました。鈴木さんに代わって新しくジブリの社長に就任する星野康二さんの華麗なる経歴です。

 

1956年札幌生まれの51歳。81年ニューヨーク州立大学MBAを取得。アメリカ・アームストロング社などを経て、90年にウォルト・ディズニー・ジャパンに入社。93年ホームビデオ部門の代表、2000年44歳でウォルト・ディズニー・ジャパン代表取締役社長およびエグゼクティブバイスプレジデントに就任。

 

うーん、なんか素敵。

 

でも、なぜこんな素敵な方が汗まみれなジブリにやってくることになったんでしょう。

 

新しい社長誕生の裏には、どんなドラマがあったんでしょう。

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ジブリの鈴木さん、押井守監督を語る!! ゲスト:石井朋彦さん

2007年11月19日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol07.mp3

 

石井:10時間とか平気で喋るんですよね。最長記録17時間っていうのがあって。

 

鈴木:喋りだしたら止まらない。

 

石井:ええ。この間作ったラジオドラマもね、これは傑作ですよ。

 

鈴木:本当に!?

 

石井:うん。超大作。でもラジオドラマの話を持っていったら、たぶん押井守は監督しますよ。それぐらいラジオをやりたがってるんで。

 

鈴木:つまんない番組やってるんですよ。押井守の?

 

石井:シネマシネマでしたっけ。

 

鈴木:僕、それ変えろって言ったんですよ。タイトル。『押井守の喋りだしたらとまらない』。

 

石井:今回聞いた時も「どこでやってるの?」って言ったんですよね。「なんか全国ネットらしいですよ」って言ったら、「どこ?」って言うから、「TOKYO FMです」って言ったら「え、TOKYO FMで全国ネットなんてないよ!」って。

 

鈴木:(笑)

 

石井:「それは敏ちゃん、勘違いしてるんだよ!」って。

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

(映画のナレーションの声)

 

ーナレーションー

全国で映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」が華々しく封切られた次の週末。渋谷の単館シネクイントでひっそりと始まった一本の映画があります。押井守監督の実写映画「真・女立喰師列伝」です。

 

前作「立喰師列伝」に続き、今回も役者として参加。渾身の演技を見せる鈴木さんですが、この「真・女立喰師列伝」では、なんとナレーションも担当しているんです。

 

石井:「出たがるから出してやったんだ」って言ってましたね。

 

鈴木:頭下げて頼んできてさ(笑)

 

石井:(笑)複雑な仲なんですよね。

 

鈴木:なんで複雑なの?

 

石井:一番お互い喋りたいんだけど、中々素直に喋らない。お互いがお互いのラジオだったり映画だったりを使って、会話をしようとしているんじゃないんですか?

 

(全員、笑い)

 

石井:いや本当に。

 

ーナレーションー

なんて貴重な情報を伝えてくれているのは、押井監督の次回作『スカイ・クロラ』のプロデューサーを務める石井朋彦さんです。

 

今夜は、押井・鈴木二人の汗まみれな伝説が色々聞けそうです。

 

(映画のナレーション)

 

石井:この間、前作で殺されたんですよね?

 

鈴木:押井作品三本目だよね?俺。

 

石井:『KILLERS』が一本目ですよね?

 

鈴木:それから『立喰師列伝』もあるじゃん。

 

石井:あ、そうだそうだ。それで三本目だ。

 

鈴木:大変だったんですよ。『立喰師列伝』でしょ。頭どうかしてる(笑)

 

あの時はね、僕感心したんですよ。というのは、普段髭伸ばしてるじゃないですか。紙は白いでしょ?条件が「髭を剃れ」って。それでもう一つが撮影のために「髪を黒くしろ」って言われて。

 

僕、髪を黒くするとかそういうことしたことなかったんで、「そんなの嫌だ」って言ったら、「昔の鈴木敏夫に会いたい」って。それで協力したんですよね。大変でした。でも自分でもびっくりしました。あれは感心した。

 

石井:そうですよね。昔の鈴木さんを蘇らせてて、で素っ裸ですよね?

 

鈴木:そう。それで揉めるんですよ。僕が死んだ後、解剖のシーンがあって。パンツを脱ぐ脱がないで色々揉めましてね。僕は脱いでもいいよって言ったんだけど、なんか向こうのプロデューサーがそれ止めてね。大事件だったね。

 

石井:鈴木さんはね、亡くなった方が寝る台で寝ちゃったんですよ。

 

鈴木:そうそう。撮影中に寝ちゃったんですよ。よくあるんですけどね(笑)

 

石井:終わった後に「このまま敏ちゃんが死んじゃったらと思うとね、ちょっと寂しかったよ」って。

 

鈴木:起こすんですよ。「敏ちゃん。寝てないで」って言われてね。あれ、よくわかるんですね。僕が寝てるのわかるの、押井さんと白木さんだね。

 

男性:今回ナレーションも、、

 

鈴木:なんで言い出したの?あれ。

 

石井:他にいなかった。お金がなかった(笑)毎回テーマがあるんですよね。一作目は、スタジオジブリと思しき巨大アニメスタジオの悪徳プロデューサーが、製作費を横領して上に隠れてるんですよね。それをスナイパーが撃ち殺すのがストーリーなんですよ。ともかくジブリは巨大になって、その頂点に君臨して、いま彼は死にたいはずだと。俺が映画の中で殺してやる

 

鈴木:その願望を満たしてやるって。ここにピストルの弾を当てられて、頭吹っ飛ぶんですよ。

 

石井:CGでね。

 

鈴木:そう。二作目は、立喰師の一人でね。たぬきうどんかなにか好きだったんでしょ?

 

石井:そうそう。

 

鈴木:僕はきつねうどんにしてくれって言ったんですけどね(笑)それでこれも取り調べ室で壁に頭ぶつけられて死んじゃうんですけどね。

 

石井:今回は殺さなかったですよね。

 

鈴木:確かにそうなんだよね。彼ね、自己顕示欲とその逆があるとしたら滅却力。その二つがあるんですよ。やっぱりアニメーションの方では観客層が限られるとはいえ、多くのお客さんを相手にしたものを作りたいんですよ。本来ね。ところが実写になると、人が本当に限られた人しか観ない。そういうのを作ってみたい。その二つのバランスで生きていこうとしてるんですよね。というのか、そうやってやってきたんですよ。

 

それをここへ来て突然、アニメーションの方もさることながら、実写の方でも一般受けのするものを久々に同時進行で作ったんですね。

 

石井:ここに来て、その両方で多くの人に観てもらいたい、という欲求が出てきたのは間違いないですね。

 

鈴木:『スカイ・クロラ』まだ観てないけど、それと今回の映画の一番共通してるのは、「情緒」っていうことだと思うんです。この間一貫して、情緒は切り捨ててきましたからね。そんなものに頼って映画は作るべきじゃないって。それが何故かあるんですよ。

 

男性:いつ以来?

 

鈴木:僕の知ってるのでいうと、僕が出会った頃、彼が作ってた『うる星やつら』のテレビシリーズ、これは所々で情緒のあるもの作ってるんですよ。そういうものをお客さんが好きだっていうことを知ってて、あえてそれに背を向けるという作り方をしてきたんですよね。どうしたんですかね。

 

この間、対談でもそういう話したんだけど、僕は押井さんに言ったのはね、「あなたは監督に向いてない」って言ったんですよ。何に向いてるかっていったら、プロデューサーだって。そうしたら認めたんだよね。そうしたら逆襲してきたんですよ。僕に対して、「お前はプロデューサーに向いてない」って言ったんですよ(笑)

 

石井:鈴木さんがプロデューサーの最左翼で、押井さんが監督の最左翼だから近いって言ってましたね。鈴木さんはもう60ですか?

 

鈴木:僕は59。

 

石井:59。押井さんは56。

 

鈴木:押井さん、仕事してるの?

 

石井:仕事してます。

 

鈴木:よく喋るよね。

 

石井:そうですよね。

 

鈴木:俺の前だと少なくなるんだよね。

 

石井:なんていったらいいのかなー。毎回終わった後にため息つくんですよね。昔はもっと話が出来たんだけど、中々そうならないんですよね。鈴木さんはたぶん否定すると思うんだろうけど、噛み合わなくなってることにイライラしてる感じはありますよね。

 

鈴木:そんなこと言ってる?

 

石井:言ってる言ってる。

 

鈴木:なんて?

 

石井:「自分の周りで手に入れた情報で敏ちゃんは喋ってる。俺は本なり人と会い勉強してるんだ。それの差だ」って言ってますね。

 

鈴木:何言ってるんだろ(笑)

 

石井:鈴木さんがラジオ番組を持ったっていう話をしたら、押井さんは警鐘を発してるわけですよ。

 

鈴木:警鐘を発してる?!(笑)

 

石井:元々編集者だったじゃないですか。で、映画の世界に入って、映画というスピーカーを通して自分の好きなことを叫んでいたと。『熱風』っていうオピニオン紙があるんですけど、あれも一つのオピニオンを手に入れたと。今回は直接語りかけるメディアを手に入れたと。これはファシズムとか(笑)

 

鈴木:(笑)何を言ってるんだろう。もう。

 

石井:非常に危険だっていうんです。

 

鈴木:じゃあ自分は何のためにラジオやってるの。

 

石井:押井さん、昔ラジオのディレクターだったんですよ。

 

鈴木:それが出発なんですよ。

 

石井:実はこの間ラジオドラマを、20何話壮大な作品を作り上げて。

 

鈴木:大学出て、すぐ入ったのがラジオを作るそういうプロダクションだったんですよ。そこで鬱々とラジオ番組を作って、それである時アニメーションやってみようかなって。それでタツノコっていう門を叩いて、アニメーションの世界に行くんですよ。かれこれ26、7年?

 

石井:そうですね。

 

鈴木:若い時に毎晩喋ってたんですよ。毎晩夜の10時だか11時に会ってね、朝まで。毎晩ですよね。

 

男性:押井さんは何をやってたんですか?

 

鈴木:何やってたのかな。テレビシリーズが終わって、一緒に映画やろうか、みたいなこと言ってた時なんですかね。

 

男性:『攻殻機動隊』の前ですか?

 

石井:前ですね。ずっと前ですね。

 

鈴木:彼が代々木かなんかに住んでてね、僕ジブリの帰りに寄って、早いと10時11時。遅いと午前1時くらいに行って、毎日元気だったから朝まで喋ってたんですよ。毎晩でしたね。それぐらい仲が良かったんですね。今じゃこんなに仲悪くなりましたけれど(笑)

 

石井:毎晩、みかんの皮の山を作って帰っていくんですよ。

 

鈴木:みかん大好きだったんですよ。大体一回買うとね、みかん30個くらい食べるんですよ。止まらないんですよ。

 

男性:一晩で?

 

鈴木:そう。子供の頃からみかん大好きでね。学生時代お金ないでしょ?みかん一箱ツケで買うんですよ(笑)でも3、4日で食べちゃうんですよね。その八百屋の親父が「またミカンか」とか言ってね。いつも手が真っ黄色でしたね。最近30個って食べられなくなった。

 

男性:押井さんとはどんな話をしていたんですか?

 

鈴木:ありとあらゆる話だけど、やっぱり映画の話多かったですよね。一緒に映画に行ったり。過ごした時代が同じだから、気が合うというのか。宮崎駿高畑勲とは仕事の上では共同事業者だけれど、厳密にいうと、友達なのは押井守かなと。色んな意味で。僕が一番気楽に話せる相手ですよね。

 

石井:そうですよね。押井さんもそうですよね。

 

鈴木:そういうのが一人いるっていうのは、良いですよね。僕は友達が色々いるんですけど、押井守は友達がいないんですよ(笑)

 

男性:ワンちゃん。

 

鈴木:そう。ワンちゃん以外は僕だけが友達で。

 

石井:押井さん逆のこと言ってますよね。「俺がいなくなったら、一人も友達がいなくなるはずだ」って。

 

鈴木:アニメーションが面白かったんですよね。色んなことが出来る。『ビューティフルドリーマー』なんて、それを作った頃、宮崎駿は『ナウシカ』を作る。そうしたらその息子の宮崎吾朗っていうのがいるんですけど、『ナウシカ』よりも『ビューティフルドリーマー』が好きなんですよ。親父としては複雑な気持ちになって。で、ついね親父も『ビューティフルドリーマー』観たりして。

 

石井:(笑)

 

鈴木:「何がいいんだ、これが!」とか言っちゃってね。大変だったんですよ。

 

石井:『ゲド戦記』を観てね、おそらく一番最初に高く評価したのは、押井さんですよね。これは面白いですよね。

 

男性:押井さんはなんておっしゃったんですか?

 

石井:おそらく色んなことを言われるだろうと。それは宮崎駿の息子だからって思うんだけれども。じゃあ初監督でこれだけのものを、果たして普通の人に作れるだろうかと。そこは明らかに合格点を与えていいだろうと。そういう評価をしてましたよね。

 

その上で冒頭で父親を刺さずに、助手でゲドって出てきたじゃないですか。あのゲドっていうのはおそらく鈴木さんだろうと。そうすると、本来親殺しをするだった話が、結局、鈴木敏夫に丸め込まれて、っていう話になってると。

 

そういう意味では、映画の趣旨が冒頭、後半において大きく変わってる。それも含めて面白いなと言ってましたね。だから次は本当の父殺しの映画を作るべきだっていう風に言ってますよね。

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

鈴木:でも、キーになるのはね、「押井守が変わった」ですよね。

 

石井:そうですね。

 

鈴木:明らかにそうですから。何しろ押井さんの名前で売る作品でしょ。そうすると、今までの押井守とは一味どころか二味三味違うぞ。「押井守が変わった」ですよね。

 

ーナレーションー

押井守総監督作品『真・女立喰師列伝』、渋谷シネクイントで公開中。

 

石井:なるほどー。こうやって喋りながら話してると面白いですね。

 

鈴木:人生は楽しいですよ。なんつって(笑)

 

石井:楽しそうですねー。

 

鈴木:なんで(笑)石井が僕のことよく知ってるんですよ。もう嫌になるぐらい付き合ったから。ね?

 

石井:そうですね。

 

男性:いつ以来ですか?

 

鈴木:石井はいま?

 

石井:30ですね。

 

鈴木:で、俺と出会ったのが?

 

石井:20くらいか。

 

鈴木:まぁある事情があってね。僕が預かったんですよ。

 

石井:(笑)

 

鈴木:ある事情言っていいのかな。制作だったんですよ。もう30にしてプロデューサーやってるから、当時から生意気なわけですよ。協調性がなくてね。みんなと全然上手くいかなくて。

 

ある日、高橋っていうのが僕のところへ来て、「石井辞めさせようと思うんですけど」って言いに来たんですよね。「なんで?」って言ったら「誰とも上手くいかない」と。「鈴木さん、預かります?」って言うんですよ。「鈴木さんが預かってくれるんならいいですけれど、預かってくれないならクビにします」って。

 

そうしたら、生意気だったけれど、見込みがあったんですよね。それで四六時中色んなことで付き合うようになって。21だよね?

 

石井:そうですね。9年か。

 

鈴木:それで色々やってて、『ゲド』まで一緒にやって、それで押井さんに差し出したんですよ(笑)

 

石井:差し出された(笑)

 

鈴木:まだどっかで一緒に仕事することもあるけれど、ちょうど押井さんがそういう人がいなくて困ってたから。押井さんの発言の中で「今まで映画を作ってきて、事前に色んな人と相談をするはじめての作品だ」って。

 

石井:よく知ってますね。鈴木さん。

 

鈴木:今度の『スカイ・クロラ』は、石井がいたことによって本当に相談するわけだから。

 

石井:そうですね。一からやろうと思ったんでしょうね。押井さん。

 

鈴木:これは大きいですよ。だから今までの押井作品とは一味違う。のはずなんですよ。だからちょっと楽しみなんですよ。石井と合うと思ってたんですよ。だって押井さんの前にそういう人誰もいなかったから。だから『ポニョ』をやるか、押井さんをやるかで。僕はそういう時ひどいから、押井守の所に行っちゃえって。

 

石井:今となっては本当に感謝です。

 

鈴木:(笑)

 

男性:今も時々鈴木さんが電話したりして、会おうかみたいな感じはあるんですか?

 

鈴木:今そういうことはなくなったですよね。

 

男性:そうですか。

 

鈴木:この作品、ナレーション録ったでしょ?その後、久しぶりに二人っきりで喫茶店に入って喋ったんですよ。人がいないと、昔に戻るんですよ(爆笑)

 

石井:そうでしょうね。 

 

鈴木:「ダメじゃん。風邪なんか引いて」とかなんか言って(笑)

 

(全員、笑い)

 

鈴木:突然、そういう感じになるんですよ。

 

石井:(小声)ヤバいですよね。

 

鈴木:(小声)宮さん怒ってるんだよ。

 

石井:(小声)怒ってますよね。宮崎さん聞いてるんじゃないんですか?きっと。宮崎さんは怒るでしょう。

映画「ドライブ・マイ・カー」について語る(前編)

2021年9月19日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

https://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol702.mp3

 

ーナレーションー

今週は、オンラインサロン『鈴木Pファミリー』のメンバーをゲストにお招きして、鈴木さん、鈴木さんの娘の麻美子さん、そして小松季弘さんと、映画『ドライブ・マイ・カー』について語る映画談義(前編)です。

 

村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』は、第74回カンヌ国際映画祭で日本映画としては史上初の脚本賞を受賞。加えて、ほか4冠獲得の偉業を果たしました。

 

出演者は、飯野洋平さん、小崎真寛さん、谷口真彦さん、野口智代さん、沖田知也さん、石川智優さん、町田有也さん、新井美穂さんです。まずはこんなお話から。

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藤巻な人生★藤岡藤巻

2007年10月14日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol02.mp3

 

鈴木:僕の作ってきたタイトル。いい加減に作ったやつだからいいんですけど、一応作ったんで。ぜひ勿体ないんで。ラジオ聴いてる人にはもう、、

 

女性:ああーー。

 

男性::はぁーー。

 

鈴木:僕ね、「汗まみれ」って言葉好きなんです。言葉言葉で言ってしまえば、「ジブリ汗まみれ」。

 

男性:ラジオなのに「汗まみれ」っていうところが面白いですね。

 

鈴木:あ、そうですか?好きな言葉なんです。

 

男性:こんなタイトルはないですね。

 

鈴木:新しいことやってみたいじゃないですか。「汗まみれ」っていう言葉はなかなかなくて、耳に残るかなって思って。

 

ーナレーションー

そんなわけでタイトル決定。よかった。

 

鈴木:決定ですか!「汗まみれ」に決定ですか?ありがとうございます。

 

ーナレーションー

それじゃあ、タイトルコールいきまーす。

 

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

鈴木:こんばんは。今度、主題歌を歌っていただきありがとうございます。

 

藤巻:あ、はい。ありがとござーす。

 

藤岡:本当大丈夫なんですか?

 

藤巻:これってどこで録音してるのってわかってるんですか?聴いてる人。

 

藤岡:いや素晴らしい場所ですよ。この空間。

 

鈴木:ありがとうございます。

 

藤岡:少年の頃の夢に描いた、大人の隠れ家っていうのにピッタリですよね。

 

鈴木:映画のときってスタッフが多いんでね、みんなで色々相談しなきゃいけないことが多いんですけど、そういう時に会議机でいくら相談したって中々良いアイディアなんて出ないんで。ここは部屋の周りをレンガにするっていうね。そこでここはレンガ屋って呼んでるような次第なんですけど。皆さん結構喜んでくれますね。おかげさまで。

 

藤巻:会社の帰りに関わってる人間、家に帰りたがらない人たちが、夜な夜な。ここにある食料ほとんど食い尽くして帰っていきますからね。 

 

藤岡:自分で持ってきてるんじゃないの?

 

鈴木:なかなか持ってこないんですよ、これが(笑)そんなこんなで藤巻さんっていうのは、声の調子でわかりますかね?毎日を楽しく生きてるっていうのか。

 

男性:偉い方なんですよね?

 

鈴木:藤巻さんですか?この間まで偉かったんですよね。

 

藤巻:(笑)

 

鈴木:この間までは局長代理なんて立派な名前ついてたんですけどね。最近、降格されたんじゃない?(笑)でも博報堂で藤巻さんって、勤めて30何年?

 

藤巻:30年ですね。

 

鈴木:で、藤巻さんってやっぱり凄い人だったですね。付き合ってきて本当に思うんだけど、若い時からサラリーマンの鑑だと思うんだけど、目立った活躍をしない。

 

藤巻:(笑)

 

藤岡:僕も付き合い長いんですけど、奇跡ですよね。こんだけ仕事しないでこの位置にいられるっていうのは。

 

鈴木:だからね、こういうことだと思うんですよ。大概の人は若き日に上司から与えられた課題、それをクリアすべく頑張るでしょ?万に一つは上手くいったりする。ところが、それは長続きしない。どこかで挫けるでしょ?挫折するものなんですよ。ところが藤巻さんの場合は、そういう野心がなかった。

 

藤岡:ああ、ないですね。

 

鈴木:なくて、自分たちの同僚、後輩たちが一生懸命仕事をやって上手くいく。ところが、次の仕事で上手くいかなくて、そういう人たちがどんどん外れていったんですね。外れていくと残ったのは誰かというと、藤巻さんだったっていうことなんですよ。それで偉くなったんですよね?

 

藤巻:いやいや。一応自分なりに一生懸命頑張っているんですけど。

 

鈴木:僕はそういうところが藤巻さんの特徴だと思うし、それを本能で宮崎駿も知ってるんですよ。だから藤巻さんというのはね、本当偉い人だと。

 

ある時こんなことがあったんですよ。スタジオジブリの社長なんてことやってるんで、色んな人と会うときにスケジュール管理なんて自分でやってると、グチャグチャになっちゃうんで。スケジュールを見てくれてる白木さんっていうのがいるんですけど、この人がすごい真面目な女性なんですよ。

 

ある日その人が僕のところへ来たことがあるんですよ。何かなと思ったら、「鈴木さん。本当に失礼なんですけど、申し上げたいことがあるんです。」「何なの?改まって」って言ったら、「本当におこがましいと思いますけど、私の意見を言わせていただいてよろしいでしょうか?」って言うからね、「遠慮せずに言ってみなよ。何なの?」って言ったら言い淀みながら、「な、なぜ藤巻さんとお付き合いになるんですか?」。

 

(全員、笑い)

 

鈴木:ちょっとびっくりしたんですよね。僕。そんなこと思ってるんだと思ってね。「なんで?」って言ったら、彼女は非常に古風な良い女性なんですよ。それで彼女はこう言いました。「いや決して、鈴木さんのためになるような方ではない」。

 

(全員、笑い)

 

藤岡:全くその通りだと思います。

 

鈴木:「だから私は差し出がましいんですけど、ああいう方とのお付き合いはおやめになった方がいいんじゃないですか」と、こういうことを言ってきた日があるんですよ。

 

藤岡:素晴らしい。

 

鈴木:これをある日宮崎に話しましたら、なんと宮崎駿がね、その白木さんを呼んで、なぜ鈴木さんが藤巻さんと付き合うかを説得したなんて事件があったんですよ(笑)どうですか?藤巻さん。

 

藤巻:なんか誤解されやすいタイプだと思うんですけど。

 

鈴木:藤岡さんは小学校の頃から知ってるんですよね?

 

藤岡:ものすごい付き合い長いですね。

 

鈴木:どういう少年だったんですか?

 

藤岡:いるんだかいないんだかっていう。いつの間にかいる、みたいな感じですね。でも全く一緒です。僕らの共通の友達もよく「なんで藤岡は藤巻と付き合ってるんだ」と言われますよね。考えてみると、こういう無駄な付き合いも必要なのかなっていう良い関係なのかもしれないですね。

 

鈴木:僕は藤巻さんに対して色んな思い出があるんですけど、これだけは真面目にやったことが一個あるんです。

 

藤巻さんってある期間ずっとそうだったんですけど、会社からよく電話がかかってくるんですよ。何かなと思ったら、「藤巻行ってませんか?」って。「毎日”ジブリ直行”と書いてある」と。ところが全然ジブリへ来てやしないんですよ。どうも昼過ぎから会社は行く。そういうことをやってたみたいなんですけどね。

 

ある日、こういうことがあったんです。藤巻さんが珍しく本当に来たんです。来た時に僕の部屋狭いんで、後ろを通ったら、藤巻さんの頭って見た目はフサフサある人なんですけど、頭の頂上ここが、よく10円ハゲってあるんですけど、それが直径5センチくらいの大きな脱毛をされてたんですよ。

 

それで僕はその時「藤巻さん、これどうしたの?」って訊いたんですよ。「髪の毛ないよ!」って。そうしたら藤巻さんが僕の方をやあら見てね、よく言ってくれた。実をいうと、気になって仕方がなかった。ここが薄くなってきたんで、アメリカから良い薬を手に入れて少し増やそうと思ってる。それを塗ってたんだ、と。したら、その効果はバツグン。どんどん伸びてきたと。それで喜んでいたら、一週間目に全部なくなっちゃったっていうんですよ(笑)

 

なんでそういうことを言い出したかというと、自分がそういう状態になったのに、会社の誰もそれを指摘してくれなかったと。鈴木さんだけが指摘してくれたと。覚えてます?

 

藤巻:そんなことありましたかね?

 

鈴木:涙を流して喜んでましたよ。

 

(全員、笑い)

 

鈴木:それでね、自分が気になってるのに周りの誰もそれを言ってくれない。これほど辛かったことはなかったって。あったんですよね。覚えてます?

 

藤巻:あんまりよく覚えてないですね。

 

鈴木:そうでしたか。まぁ色々ありますけど、藤巻さんっていうのは、語り出したらキリがないくらいエピソードがあるんですけど、本当だったら喋りたいこといっぱいあるんですけれど、ラジオの規程にも触れたりとか、会社の規程に触れたりとか色々あると思うんで、それ以上はあれですけど(笑)

 

藤岡:でもイライラしません?付き合って鈴木さん。

 

鈴木:藤巻さんですか?イライラ?

 

藤巻:なんか歯痒いというか。それこそもっと頑張ればいいのにっていう。

 

鈴木:諦めてますよね。

 

藤巻:(笑)

 

藤岡:付き合い長いんですけど、5回目くらいの絶交中なんですよ。いま。

 

鈴木:絶交してるんですか?

 

藤岡:本当にやれって言ったことやらないんですよ。曲でも覚えてこいって言っても全然覚えてこないし。

 

鈴木:代理店さんって僕らの仕事でいうと、タイアップ先を見つけるっていう仕事があるんですよ。ジブリの作品って、電通さんと博報堂さん、これを交代でやってきたんですよ。電通さんの方はいつもすぐ決まるんですよ。ところが博報堂は決まらないんですよね。

 

藤巻:(笑)

 

鈴木:誤解のないように言うと、電通だから決まるかっていうと実はそうじゃないんです。やっぱり担当者がいるんですね。福山っていう体重100キロの巨漢がいて、この人が体がデカいにも関わらず決めるのが速い。で、博報堂さんはなぜ決まらないのか。これは藤巻さんですよね。

 

もう忘れられないぐらい色んなことありますね。先ほども言いました。ある作品で頑張ってやってた時に、色んな体制が整っていくのに藤巻さんの時だけ決まらないんですよ。藤巻さんを前に言いましたよね。「一生に一回くらい汗水垂らして、真面目に人生と向き合ったらどうだ?」と。

 

藤岡:それは僕も言いたいですね。見たことないですよ。

 

鈴木:普通そう言われたなんて言います?

 

藤岡:まぁショックでしょうね。普通。

 

鈴木:違いましたね。「いや、そうかなー?」って。

 

(全員、笑い)

 

鈴木:で、全然決まりやしないでしょ?僕ある日、藤巻さんを呼んだんです。2人でこっそり会ったんです。「藤巻さん、申し訳ないけどタイアップ決まんないから、俺最後の手段考えた」って。「何ですか?」って言うから「出資は博報堂だけど、タイアップは電通に頼みたい。これで良いかな?」って。普通なんて言います?

 

藤岡:そりゃまずいでしょ。会社的に(笑)

 

鈴木:「よろしくお願いします」って。

 

(全員、爆笑)

 

藤岡:プライドがないのか。本当に。

 

鈴木:それで福ちゃん呼んでね、今度3人で話したんですよ。そうしたら藤巻さんが「福ちゃん、頼むね」って。でもここからなんですね。藤巻さんって。

 

ちょっといま思い出した話があるんですよ。じゃあなんで藤巻さんにこの主題歌を歌ってもらおうと思ったのか。これね、いま突然思い出してあれなんですけど、キッカケがありましてね。そのキッカケっていうのは、ジブリっていうのは大体半径3メートル以内を題材にして映画を作ってきたっていうのをこの間言ってきたんですけど。何もそんないい加減なことで決めたわけではないということを強調しておきたいんだけどね(笑)長くなってるんですけど。去年の春でしたっけ?

 

藤巻:夏です。

 

鈴木:夏休みの宿題で藤巻さんの娘さん、当時中学2年生。仕事をしている人のところへ行って話を訊いてこいっていうのがあったんですね。それで藤巻さんが宮崎駿に娘に宿題をやらせたいんだけど、、

 

藤巻:憧れの仕事ですね。

 

鈴木:あ、憧れの仕事か。それで来た時があるんですよ。その時に普段の藤巻さんとちょっと違ってたんですよ。何かっていうと、「普段の藤巻さんからそんなセリフが聞こうとは思わなかった」っていうのが、宮崎駿の後の感想なんですけど。何しろ帰り際、自分の娘に向かって「人間、努力が大事だよ」って。

 

藤岡:(笑)

 

藤巻:なに笑いすぎだって(笑)

 

鈴木:笑ってますけど、お父さんって大概そういうことを言うもんですよね。でも宮崎駿にしたって僕にしたって、あの藤巻さんがまさかそういうことを言うとは思わなかった。それを言ってのけたんですよね。その時の言い方が脳裏に残ったんですよ。宮さんは。これが歌を歌う時に「藤巻さんどうか?」っていうのに繋がってるんですよね。

 

藤岡:自分はどうなんだよ?って。

 

藤巻:いやいやいや。宮崎さんがすごいいい話をしてくれたんですよね。本当にいい話を。30分の予定で2時間くらい話していただいて。色んなこと努力しなきゃならないっていう話をしてくれたんで、俺もそれに尻馬に乗って「人間努力は必要だよ」っていう話を(笑)

 

鈴木:参考までに言うと、宮崎駿はこれも若い人だとわかりにくいかもしれないけれど、藤巻さんのことを「植木等最後の弟子」っていう言い方をしてるんですよ。植木等の最大の特徴は何かっていったら、プライドも何もあったものじゃない。彼が本当に大事にしていたものは何なのかっていうことなんですけどね。藤巻さん、最後にどうですか?

 

藤巻:いやいやいや、そんな哲学も何もないんですけど(笑)俺の話聞いてもつまんないと思いますけど、生きていく上での基準って大体二者択一で生きていくじゃないですか。その価値判断が楽しいか、楽しくないかっていうことで選んできたような気はしますね。

 

鈴木:ペラペラ喋るのは本当得意なんですよね。

 

藤巻:(笑)

 

鈴木:最後に真面目に言うとね、藤巻さんの大好きな言葉っていうのを何度も聞かされたことがあるんですよ。「一期は夢よ ただ狂え」。

 

藤巻:例えば、会社での出世っていうのは楽しいのか楽しくないかって分かれるじゃないですか。管理職っていうのはすごくやる事が多いし、割りに合わない立場だったりするじゃないですか。それより自由な時間が多くて、楽しいことをやれた方が楽しいかなって。

 

そうすると、管理職を目指すより違う方がいいかな、とか。みんなが目指す方向に自分も同じように目指さないといけないといけないってことはないと思うんですよね。

 

鈴木:「一期は夢よ ただ狂え」って。これね、ちょっと難しいこと言いますとね、その昔「閑吟集」っていうのがあったんですよ。この中の一説なんですよ。それをある所から引っ張ってきて、藤巻さんはそれを言い続けてます。「一期は夢よ ただ狂え」。

 

藤巻:「一期」って、人生っていうことらしいんですよね。「一期一会」の一期。人生なんて夢みたいなものなんだから、ただ狂って生きていたらいいんじゃないかって僕は解釈したんですけど、本当の解釈はよくわかんないんですけど(笑)

 

藤岡:まぁ周りはたまったもんじゃないよね。

 

(全員、笑い)

 

鈴木:藤岡さんについても一言。8月の中旬みんなで顔を合わせたわけですけど、実は宮崎駿は藤岡さんに大変な親近感を抱いたんですよ。

 

宮崎駿っていう人は、人を見て決める基準が一つあるんですよ。色々あるんですけど、その内の大事なものの一つ。夜寝る時、すぐに寝られるか、それとも寝られないか。すぐ寝るやつは信用出来ないっていうんですよ。これは当然、宮崎駿が寝付きが悪いってことなんですけど、藤岡さんを見て、「この人は寝付きが悪い」って。それを見てとったんですね。それで大変な親近感を持って、会った日以来、「あの人はどうなるんだろう」ってずっと心配してるんです。

 

藤巻:(笑)

 

藤岡:色々アドバイスいただいたらしいですけど。散歩すると寝れるとか。

 

藤巻久石譲さんも不眠症で。藤岡も不眠症でっていう。

 

藤岡:僕は寝るんですよ。本当に腹立つくらい。

 

藤巻:(笑)

 

鈴木:僕の住んでる家とスタジオまでは、普段車で往復するんですけど、僕必ず1週間に2回は電車に乗ることにしてるんです。電車に乗ってると、色んなことわかるんですね。最近だとすごい気になってること。突然、携帯をあける人が減っちゃったんですよね。なんでだろうって考えるのが好きなんですよ。ほとんど趣味と言っていいですね。

 

男性:本も読んでる人もいますよね。

 

鈴木:本も増えた。でも一番増えたのは、寝てる人ですよ。口開けて。判で押したようにみんな携帯をあけなくなってるんですよ。どうしてだろうって。その答えを未だに見つかってないんですよ。でもそれを探りたいんですよね。

 

男性:藤巻さんの時代が来るってことですかね。

 

鈴木:藤巻さんの時代は来るんですかね。

小説家・中村文則さんとの座談会 その3

2016年1月13日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol403.mp3

 

中村:作家になろうと最初は全然思わずに、ただ好きでずっと本を読んでたのが最初ですね。バンドとかもやってたんで、当時は。髪とか赤くしてたんですよ。タンクトップで鎖を首から巻いたりしてハードロックやってたんですよ。タトゥーを彫る勇気なくて。

 

鈴木:(笑)

 

中村:でもタトゥー憧れて、タトゥーのシールを貼って。

 

鈴木:シール貼ったんだ!

 

中村:ハードロックやって段々終わりに近づくと、汗でとれてくるんですよ。段々十字架がとれてくるみたいなことをやってたので、小説家になろうとは全然思ってはなかったですね。

 

米倉:もしかしたら、なってたらここにタトゥーが。

 

中村:なってたらあったかもしれないですね。十字架とかドクロとかね。とれちゃったんで。シールだったんで。

 

米倉:読む人から書く人って、アプローチも熱量も全部が違うわけじゃないですか。私小説家の方って、一歩って勇気なんだろうなって思うんですよね。

 

中村:書くってことですか?

 

米倉:そうです。私自身がすごい好きで好きで。でも書こうとは全く思えないので、ものを書く人って凄いなって純粋に思うんですよね。

 

中村:色々じゃないですかね。映画は凄い大好きですけど、映画撮ろうとは全然思わないですから。ただ観るのは大好きですけど。インターネットもやりますけど、インターネットの発信側っていうと変だけど、なろうとは思わないですからね。見たりはするけれど。そういうことなのかもしれないですけどね。色んなことをやる人もいますけどね。

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

今週も小説家の中村文則さんをお迎えしての座談会。中村さんの著書「教団X」のお話から、映画、音楽、そして会社経営についてなど、興味深い話題でお送りします。

 

出席者は、ドワンゴ会長の川上量生さん、「教団X」を細部まで読み込んだという米倉智美さん、そして鈴木さんです。

 

なお、前回の座談会を聴き逃した方は、ぜひ番組ホームページにアクセスして、ポッドキャストをお聴き下さい。過去の番組がアーカイブされています。では、今週はこんなお話から。

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小説家・中村文則さんとの座談会 その2

2016年1月13日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol402.mp3

 

中村:日本人だから世界に言いたいことを言ってやる、とか思ってというのもあって。でも世界を見渡すと、ひどいんですよ。色々。色んな構図が。だから言いたいことを言ってやるって思って。これがチャンスだと。自分の言いたいことを、何の制約もなく好きなように書いたっていうのが、この本ですね(笑)

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

今週も先週から引き続き、小説家の中村文則さんをお迎えしての座談会。中村さんの著書「教団X」に焦点を当ててお送りします。

 

出席者は、ドワンゴ会長の川上量生さん、「教団X」を細部まで読み込んだという米倉智美さん、そして鈴木さんです。今週はこんなお話から。

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小説家・中村文則さんとの座談会 その1

2015年12月8日配信の「鈴木敏夫ジブリ汗まみれ」です。

http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol401.mp3

 

鈴木:どうも。初めまして。わざわざ今日はありがとうございます。

 

中村:とんでもないです。とても驚きました。ありがとうございます。

 

鈴木:とにかく3人が「教団X」のファンなんで(笑)

 

中村:本当ですか?

 

鈴木:それで今日3人なんですよ。「教団X」を見つけたのが、米倉さんで。僕に薦めてくれて。僕も読んで凄い面白くて、一気に読んだんですよ。

 

中村:ありがとうございます。

 

鈴木:ただ、読んでから随分時間が経ったでしょ?色んなことを忘れてるから、やっぱり応援メンバーとして。

 

中村:去年の12月に書いたやつだから、僕も結構怪しい(笑)

 

鈴木:自分で書いたら覚えてるよ!(笑)それで川上さんはね、僕が薦めたんですよ。これ川上さん絶対喜ぶに違いないって。川上さんはね、この本を読むために入院までしてね。

 

川上:読んでたんですけど、鈴木さんが芥川賞作家の凄く面白い本があるっていうんで、たまたま入院してたんで。

 

中村:時間はあったんですね?

 

川上:時間はあったんですよね。

 

鈴木:だって、ベットから僕に面白いって途中経過報告が来たしね。で、彼女はね、僕なんか書いてある文章そのまま記憶するっていうのが非常にダメな人で。しかし彼女、よく覚えてるんですよ!そのままを。そういうこともあって、今日この3人で一斉に襲いかかろうという(笑)

 

中村:ありがたい話です。

 

ーナレーションー

鈴木敏夫ジブリ汗まみれ。

 

今週から、3週にわたって小説家の中村文則さんをお迎えしての座談会、中村さんの著者「教団X」に焦点を当ててお送りします。

 

出席者は、ドワンゴ会長の川上量生さん、「教団X」を細部まで読み込んだという米倉智美さん、そして鈴木さんです。

 

中村さんは1977年9月2日愛知県東海市に生まれ、2002年「銃」で第34回新潮新人賞を受賞してデビュー。2005年「土の中の子供」で第133回芥川賞を受賞。今年5月の「あなたが消えた夜に」まで数々の小説を執筆してきました。まずはこんなお話から。

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