阿川:もう始まってるんですか?これ。
鈴木:そうなんですよ。
阿川:ええ!ちょっと信じられない。
鈴木:なんで?(笑)
阿川:なんかみんな静かだなと思った。
鈴木:考えたら、お久しぶりなんですよね。
阿川:ものすごくお久しぶりというか。宮崎さんにインタビューに行った時に伺った時にお会いしたんでしたっけ?
鈴木:いつですか?
阿川:相当前です。「僕はこの作品で辞める」っておっしゃって、嘘ばっかりって思ったらやっぱり嘘だったっていう。あれは何だっけね?
鈴木:僕、弁護します。その時はそういうつもりなんですよ。
阿川:「君のことを本当に愛してる!」って言って、「その時はそうなんだよ!」っていう詐欺な男と同じような発言しないで下さい。
鈴木:そういう男ですね。宮崎駿は。
阿川:「その時はそうだったんだよ。君だったんだよ」っていう。
鈴木:いつもその時には真面目。誠実。
阿川:目の前のことには誠実なのね?
鈴木:そう。
阿川:でも前後関係が出来てない。
鈴木:だから日本人じゃないですかね。
阿川:アメリカは男だけど、日本は女ってよく思ってたんです。外交政策なんか見たりすると、長期的な展望が出来ない。その場での空気で判断したり。
鈴木:はいはい。わかります。
阿川:物事の進め方がそうだなって思って。女だなって思うのは、女って場当たり的ですから。目の前の細かいことについては気が利く。
鈴木:でもしぶとさがありますよ。
阿川:そうなんですよ。私その場しのぎで生きてるもんですから(笑)
鈴木:どっちなんですか!(笑)
阿川:いまゴルフが好きなんです。すみません。ジブリが忌み嫌うゴルフを。
鈴木:なんで知ってるんですか?
阿川:顔見りゃあわかるもん。ゴルフを嫌っている人。
鈴木:ああ、そういう意味ね。
男性:阿川さんにとって、ジブリの人のイメージは?
阿川:ジブリの人?やっぱり弱者のことを思いやり、自然を大事にして、環境に優しくて。
鈴木:ぶーっ!(吹き出す感じで)
男性:タバコばっか吸ってますけど。
阿川:鈴木さんも相当面白いですよ。
鈴木:僕は普通の人ですよ?だって。
阿川:どこが普通なんですか。
鈴木:何言ってるんですか!僕は普通なんです。
阿川:普通じゃない。
鈴木:なんで!?
阿川:普通だったら、そんなクッション抱いたりしない(笑)
鈴木:(爆笑)
阿川:聞いてる?
鈴木:はい、聞いてます(笑)
阿川:聞いてるかな?
鈴木:聞いてますよ(笑)聞いてます。
阿川:桜餅頬張って。
鈴木:はい。美味しい。
ーナレーションー
雛祭りも近づいた早春の夜、桜餅を手土産にれんが屋に現れたのは、小さいけれど貫禄のあるお雛様。テレビキャスターで作家でもある阿川佐和子さんです。
阿川さんといえば、たけしさんやハマコーさんをはじめ、強面のおじ様たちを手のひらで遊ばせてしまうほどの聞き上手。いつものらりくらりと相手の追求をはぐらかす鈴木さんから、どんな話を聞き出すのか。
もしかすると、今日はちょっとビックリするようなジブリの真実も語られるかも。ちょっと楽しみです。
鈴木:いまちょっと紹介すると、田居因さん。友達なんですよね?
阿川:はい。そうなんです。
鈴木:ジブリにいるんですよ。
阿川:ええ、そうですね。お世話になっております。
田居:こちらこそお世話になっています。
阿川:この度もまた本を出してくださる話になっております。
鈴木:色々連載ありがとうございます。でも僕ね、よく覚えてることがあるんです。『ぽんぽこ』。
阿川:『ぽんぽこ』ね。はい。もうあれはね、ショックを受けました。
鈴木:ええ、なんで?
阿川:だって原稿を書けって言われてたんですよ。田居さんにね。で「えーー」ってグダグダしてて、その打ち合わせのためにジブリに伺ったら、制作をしてらっしゃるところを見て、「わー面白い」なんて言って、私はアニメの声優をやりたいって、中学の頃からの夢だったって言って、それで「やりたいやりたいやりたい」って言ったら、「しょうがないわね」って言って、それでちょっと監督に訊いて、「声優の仕事をやったら、原稿を書く?」って言われたから、「はい!やります!」って、小学生みたいなことを言ったの。そうしたら頂いたの。
で、渋谷のスタジオで『ぽんぽこ』の、、
田居:テレビのアナウンサーだよね?
阿川:そう。これがガッカリだったの。どんなタヌキが出来るのって、ババアタヌキとか酔いどれタヌキとか子供のタヌキとか赤ちゃんタヌキとか色んなこと出来るのになーと思ったの。
鈴木:それは図々しいですよ(笑)
阿川:やらしてくれるかなーと思ったら、ニュースキャスターかなんか人間のアナウンサーで。
鈴木:そんなことどうでもいいんですけどね、いたんですよ。慶應にこういうタイプが。
阿川:嫌いでしょ?
鈴木:中学・高校、ぼく男子校なんですよ。
阿川:え、鈴木さんって慶應なんですか?
鈴木:中学・高校が男子校で、大学は慶應なんですよ。僕。
阿川:中高は慶應じゃないの?
鈴木:違う違う。名古屋ですから、僕は。
阿川:そっか。それで大学は慶應に。
鈴木:東京に来て慶應に入って、僕は文学部なんですけど、女の子いっぱいいたわけですよ。そうしたらこういう人がいたんですよ。
阿川:どういうひと?
鈴木:こういう感じ。
阿川:どんな?可愛くて?(笑)
鈴木:憎たらしいタイプが多いんですよ。
阿川:まぁそうね。
鈴木:僕は慶應のことなんか、卒業して以来ずっと忘れてたんですけど、阿川さんに会った瞬間思い出したんですよ。こういうのいたなって(笑)
阿川:イヤーな思い出が蘇ってきた?
鈴木:いや良い思い出ですよ。僕は。
阿川:私も慶應の文学部ですよ。大学だけですけれど。それこそ学生運動の最後の残り火っていうんですか?授業ボイコットとか学生集会だとか殺伐とした空気が流れ始めたんですよ。
なんだか嫌だなーって思ってて、そうしたらある友達が「いま学生運動の女闘士ですっごい美人がいるんだよ」って。「これは中々の美人なんだけど、すごく強くて」っていって、「誰誰?」って言ったら、「通ったら教えてやるよ」って言うの。それで通ったの。前をバーっと。「あれあれ!」って言うから、「え!?」って見たら、私知ってるの。その子。
鈴木:知ってる子だったの?
阿川:本当の美人だったから覚えてたんですけど、私と幼稚園が同級生なんですよ。
鈴木:幼稚園が同級生?(笑)
阿川:幼稚園が同級生なの。で「名前は?」って言ったら、まさしくその子なの。
田居:へぇーそうなの。
阿川:で、その子が誰かといえば、日テレの氏家さんのお嬢さんなんですね。
鈴木:ええーー!
阿川:そうなの。
鈴木:氏家さん、高畑さんのこと大好きなんです。
阿川:へぇー。
鈴木:本当に好きなんですよ。高畑さんに会いたくてしょうがないんですよ。あの氏家さんがね、高畑さんの前に出ると、口調が変わるんですよ。宮さんにはね「宮さん、あれだろう」って言って、「高畑さんはどうなんですか?」って全然変わっちゃうんだもん(笑)
阿川:作品の評価が違う?
鈴木:大好きなんです。
阿川:そんなに?
鈴木:そう。僕は月に一回氏家さんに会いに行くとね、最初から最後まで高畑さんの話ばっか。大好きなんです。
阿川:『火垂る』って凄いね。
鈴木:僕大好きだったんですよ。『火垂るの墓』ってオール讀み物で18の時に読んでるんですよ。
阿川:へぇーー。
鈴木:大学一年生だったんですけれど、凄い好きになっちゃって。ずーっと印象に残ってて。それで高畑勲で何かやろうってなった時に、僕も若いから無茶だったんですよ。『トトロ』と『火垂る』ってね、、
阿川:あ、そうか。『トトロ』と『火垂る』は二本立てだったんだ。
鈴木:そうなんですよ。高畑・宮崎二人が同時に作ったら面白いって考えたんです。それで二本同時にやろうっていったら、ジブリの当時責任者だった原さんっていう方がいてね、大反対なんですよ。
なんでかっていったら、アニメーションって時間とお金がかかる。しかもスタッフが必要。同時に二本なんて世界のアニメーションの歴史にあり得ないと。東映動画だってやってない。お前がそんなこと言うのは、お前が素人だからって言われて、素人の何が悪いっていうんで、やろうということになるわけですよ。後にこの方と喧嘩になっちゃうんですけどね。
阿川:意外に喧嘩歴が多いんですか?
鈴木:若い時はそうでしたね。今は温厚ですけど。
阿川:いえいえ。
鈴木:いや、若い時はそうでしたけど、今は温厚ですよ?僕。
阿川:本当?
鈴木:そう。温厚だってそういう顔してるでしょ?
阿川:いや、時々思い出してギッとなる時に、「まだ喧嘩する気だな、この人は」ってさっきから思っておりますです(笑)
鈴木:いや温厚だよね?因ちゃん。
田居:どの辺?(笑)
阿川:「戦う用意は出来てる」っていう感じ。
鈴木:やっぱり僕マスコミ出身だから、高畑勲と宮崎駿というのは、友人であると同時にライバル。この二人が同時に作ったら面白いと思ったんですよ。宮崎駿は凄かったしね。
何が凄かったかっていったら、ジブリっていったって、いちスタッフしかいない。『トトロ』と『火垂る』、その企画を成立させるまでも大変だったんですけどね、これでやることになりましたってその日にね、宮崎駿はそこにいたスタッフ全部手に入れましたからね。
阿川:どういうことですか?
鈴木:全員に声かけて、『トトロ』手伝えって。その瞬間『火垂る』はスタッフゼロなんですよ。
阿川:怖いなー!
鈴木:いや、宮崎駿ってそういう人ですから。
阿川:なにその椅子取りゲームみたいなこと。
鈴木:いや本当にそうなんですよ。それで同時に作んなきゃいけないでしょ?
阿川:根回しが上手なの?
鈴木:全員に声かけてスタッフを手に入れるのに宮崎駿が本当は欲しかったスタッフだけは、近ちゃんって言うんですけどね。コイツだけは首を縦に振らなかったんですよ。本当は宮崎駿は他の全員よりこの一人の男が欲しかった。
なんでかっていったら、自分より上手いんですよ。絵を描かせたら。近藤喜文っていうんですけどね。もしこの人が『トトロ』をやってたら、全然違う映画になってた可能性があるんですよ。
阿川:最終的には『トトロ』は、、
鈴木:その人は入ってないんです。
阿川:近ちゃんはやらなかったんですか?
鈴木:やらなかった。なんだかっていったら、高畑勲もその近ちゃんが欲しいわけですよ。二人の取り合いなんです。
阿川:それで近ちゃんは高ちゃんが好きだったの?
鈴木:いや、そうじゃないんですよ。宮さんの方は押してくる。高畑さんは何も言わないわけですよ。でも無言の圧力を感じてる。じゃあどうするってことになるわけですよ。
で、宮さんは毎日のように説得に行く。高畑さんは何にも来ない。宮崎駿って面白い人ですからね、高畑さんのところに行ってニコニコ笑いながらね、高畑さんのことパクさんって言うんですけどね、Aさんっていう他のアニメーター引っ張ってきて「パクさん、Aさんとやると良いよ」とかって言って(笑)
阿川:ひどい人だね!
鈴木:高畑さんが近ちゃんを欲しがってるの知ってて、そういうことを言うわけですよ。高畑さんはその時はニコニコしてるんですよ。
で、僕が高畑さんに「高畑さん、近ちゃん必要ですよね?」って言うと、「はい」って言うんですよ。言い方が温厚なんですよ。それで僕が「近藤さんやらないってなったら、どうなります?」って言うとね、「この作品は出来ませんね」って言うんですよ。
阿川:悲しそうに。
鈴木:これが高畑さんなんですよ。いや、サラっと言うんですよね。僕としては、近藤さんを高畑さんにつけなきゃいけない。ところが、宮崎駿はまた近ちゃんを毎日のように攻めてる。二人から引っ張りだこなんですよ。ずっと。この近藤喜文っていうのは。もしかしたら、日本が生んだ最大のアニメーターだったんですよ。だから両方とも欲しいんですよ。
例えば、宮崎駿だってね、『トトロ』っていうのは一回本当に真面目に作りたかった。何をかっていったら、自分の作るアニメーションは漫画だと。でもリアルをやってみたい。例えば、4歳の女の子っていうのは歩く時、前のめりか後ろのめり。それをやれるとしたら自分にはその力はない。宮崎駿は自分で決めるんですよ。近ちゃんさえ手伝ってくれるなら、それが出来るかもしれない。で、やりたくなったわけですよ。
だから幻の『となりのトトロ』っていうのはね、自分が監督で絵は近藤喜文にやってもらうって言う構想を考えたんですよ。ところが、高畑さんも『火垂るの墓』やる時、その近藤喜文を欲しがってるっていうのは宮さんもわかってますから、毎日のように説得するわけですよ。
しかも涙ぐましいことを言えばね、宮崎駿は所沢、その近ちゃんっていうのは清瀬に住んでたんですよ。アニメーションって絵コンテっていうのを描いてるわけですよ。毎日絵コンテ描くでしょ?出来上がった分を毎晩、郵便ポストへ持っていったんですよ。宮崎駿は。で、延々続けるんですよ。
でも近藤喜文はね、その中で高畑さんから何も言ってこない。で、自分はどうしようって。「鈴木さんが選んでくれ」って言うんですよ。
阿川:なんだろ。そのお嫁に行く時の娘みたいな(笑)で、鈴木さんが選んだんですか?
鈴木:「じゃあ『火垂るの墓』やって下さい』」って。
阿川:それはなんで?
鈴木:だって、高畑さん彼がいなかったら作らないんだもん。「近ちゃん、高畑さんのやってくれ」と。それで「わかりました。やります」って。
で、その日の夜、当時阿佐ヶ谷に宮崎駿の事務所あったんですけど、宮崎駿って凄い勘が良いんですよ。僕が言いに行かなきゃいけなかった。で、夜、訪ねたんです。コンコンって。一人で行きましてね。『ナウシカ』の漫画なんか描いてたんですけどね、「宮さん、います?」って言ったら、「いますよ」。僕の顔を見た瞬間、「何の話かわかりますよ」って。口出せないでしょ?「どうせ近ちゃんが『火垂る』やるんでしょ?」って。「わかりましたよ。僕は明日から入院しますから」って。
阿川:なにそれ?(笑)
鈴木:「近ちゃん取られた腹いせに、辞めるって言い出したらみっともないから、俺が腱鞘炎で入院すれば『火垂る』だって作れないだろう」って。
それで次の日の朝に僕は忘れもしないですけどね、8時前に電話がかかってきたんですよ。宮さんから。夜中に帰ってほとんど寝てないですよ。パッと電話出たらね、「宮崎です」っていうから、わかってるのにいつも「宮崎です』って言うんですけど、それは置いといて。いきなり「近ちゃんを殴りました」って言うんですよ。それで僕「えー!」って突然目が覚めてね(笑)そうしたら「夢の中で」って言ってね。「それで気持ちがスッキリしたから、もうやりますから」って。そういう男なんですよ。しょうがないんですよ。
阿川:なんか結構子供っぽいのね。ジブリも(笑)
鈴木:いいじゃないですか!
阿川:可愛いっていうの。大好きな人を取るとか取らないとかさ(笑)なんか可愛いっていうか。
鈴木:まぁ愛すべき人ですね。
阿川:そうですね。
鈴木:近ちゃんね、その後死んじゃうんですけどね。
阿川:わぁーそうなんですね。
鈴木:だって50ならないうちに死んじゃったんですからね。僕は近藤喜文と二人で仙台の寿司屋で、近藤喜文が延々泣いたの覚えてますけどね。なんでこんな話してるんだろ(笑)
阿川:なんとお答えしたらいいやら(笑)
鈴木:それだけ真剣なんですよ。
阿川:情熱的なんだ。
鈴木:いまだに続いてますよ、もう。
阿川:ほんとね。学生運動そのまま続けてるみたいな感じ。氏家社長のお嬢さん入れたらどうかな?(笑)
ーナレーションー
2月29日に新しい小説『婚約のあとで』を新潮社から出版した阿川佐和子さん。わざわざいらしていただいたのに、ご自身の本のお話はほとんどされませんでした。
そんな阿川さんがなんだかカッコいいって思った方は、ぜひ本屋さんで手にとってみて下さい。
『婚約のあとで』
いくつもの花のような7人の女性たちの恋愛の姿を描いた作品です。
鈴木:すいませんでした。色々。
阿川:いえいえ。
鈴木:面白いですよ。でも。ジジイたち面白い。だって氏家さんが言ったこと。いま81でしょ?
阿川:氏家さん?
鈴木:うん。「死ぬ前に高畑の作品をもう一本観たい」って。
阿川:おぉ
鈴木:みんな真剣なんですよ。一年間説得されたんです。氏家さんに。
阿川:まだ大丈夫ですよ。長生きしますよ。
鈴木:でね、半年後。氏家さんに「高畑の作品が作れないのは、お前のせいだろ、スーちゃん」って言い出して。でも氏家さんに言わせると、高畑さんにはね、「マルキストに匂いがまだする」。
阿川:高畑さんに?
鈴木:そう。その香りがあるんだって。だから俺はあいつの作品を観ると、普通じゃ観られないんだって。
阿川:じゃあ氏家さんにとっては青春の、、
鈴木:そうですよ。この間なんか高畑さん相手に大変でしたよ。『カラマーゾフ』の話で。全部覚えてるんですよ。その一節を。
阿川:そんなに?
鈴木:「アリョーシャが神の存在を言うあのシーンは、俺は生涯忘れない」って。そのくだりを喋るわけですよ。目の前にあったのは単なる死体。それが腐っていく。人が見て、こんなものは単なる肉。それが腐った。その時にアリョーシャが叫ぶ。「これは神だ!」って。「これだよな。テーマは」って。「高畑さんはどう思いますか?」なんて言ってね。「ああ、もう本当に楽しい!」とか言っちゃってね(笑)だって目的は高畑さんなんだもん!
阿川:ああ、そうか。二人きりにさせないといけないわね、ってどういう関係なんだ(笑)わかんなーい。
---
阿川:何をやるんですか?
鈴木:いまは準備中です。
阿川:どういうお話なるかもわからない?
鈴木:子守唄を題材に。
阿川:子守唄!
鈴木:日本の子守唄。
阿川:へぇーー。
鈴木:日本の子守唄ってね、世界の中で独特。何がっていったら、本来子守唄って子供を寝かしつける。ところが、日本の子守唄はよく読んでいくと、どうも寝かしつけるにしては変な言葉がいっぱいあるんですよね。
阿川:ああ、そうか。
鈴木:どうしたかっていったら、守子(もりこ)っていう職業が。守子って売り売られでしょ?そこに恨みつらみを文章にしちゃって、それを歌ってたわけだから。そうするとね、知ってるんですよ。氏家さん。僕は「子守唄のこういうのをやります」って言ったらね、あの氏家さんがですよ。突然歌い出しちゃったんですよ。
阿川:いまちょっと忘れちゃった。
鈴木:僕の目の前で子守唄、一番から最後まで全部歌いまくったんです。
阿川:♪おどま盆ぎり盆ぎり〜♪ってなんだ?
♪盆から先きゃおらんと〜♪
鈴木:歌上手いですね。
阿川:使って。声優に。声優やりたいなーって思ってるんだ。今でも。
鈴木:今でも思ってる?
阿川:今でも思ってる。なんかやらして下さいよ、元社長。もう権限ないの?(笑)
鈴木:元社長(笑)