2007年11月26日配信の「鈴木敏夫のジブリ汗まみれ」です。
http://podcasts.tfm.co.jp/podcasts/tokyo/rg/suzuki_vol08.mp3
鈴木:葵ちゃんは答えたくない質問には答えたくないんだよね(笑)
手嶌:テレビ見たんですか。。
鈴木:あれ良かったですよね。
よしさん:あれは良かったです。
鈴木:ね。観たんですよ。珍しく(笑)あれ良かったよね、キリッとして。あれ自分で観てどうだったの?
手嶌:ちょっと怒ってたんですよ、あの時(笑)
鈴木:明らかにそうだよね。付き纏われて?
手嶌:もう嫌でしたね(笑)
鈴木:インタビューされるのは好きなの?
手嶌:好きじゃないです。
鈴木:好きじゃないの?
手嶌:ほっといて下さいって思っちゃうから(笑)基本的に喋るのは苦手です。
鈴木:喋るの苦手?でもさ、『ゲド戦記』の時に、あれ確か初めてジブリへ来てもらった後かな。帰りをどうするってことになって、ジブリは小金井というところにあって、なんと僕が車でお送りしたことがあって(笑)
手嶌:ありがとうございます。
鈴木:いやいや(笑)時間が一時間近くあったのかな。葵ちゃん、ずっと喋り続けたんだよね(笑)
手嶌:あの時は喋ってましたね。
鈴木:ほとんど一人で喋ってたの。僕は相槌だけで。本当はよく喋る方だなっていうのが印象深かったんですよ。よしさん。
よしさん:なるほど。
鈴木:葵ちゃんの。
手嶌:私のマネージャーです。
よしさん:田中です。
鈴木:よしさんって言うんですね?田中はどっちでもいいんです。
鈴木:もう大人になった?
手嶌:ん?
鈴木:もう大人になった?自分で自覚として。
手嶌:あんまり(笑)あまり。
鈴木:僕は葵ちゃんの声を聴いて、それが17歳の時に吹き込んだ声。葵ちゃんは自分で「あ、私の声はもしかしたら、すごくいい」と気がついたのはいつなの?
手嶌:気がついてないです。自分の声は確かに自分の声ですけど、初めて録音して聴いた時に「これが自分の声なんだ」って、、
鈴木:録音っていつ?
手嶌:初めて17歳の時に録音した時に、自分の声を初めて聴いて「あ、こういう声なんだ」っていう、、
鈴木:それまで聴いたことない?
手嶌:ほとんどないですね。そういう機会って、、
鈴木:子供の時とか。
手嶌:ないんじゃないですかね。
鈴木:最初聴いた時、どうだったの?それって歌ってなんなの?
手嶌:一番最初は『ローズ』ですね。
鈴木:やっぱ『ローズ』なんだ。ある人が僕にデモを聴いて下さいって言われたんだけど、その最初に入ってたのが『ローズ』でしょ。しかも僕の聴く状況っていうのが、たぶん車の中で聴いたから真っ暗な中で聴くんですよね。したら『ローズ』って相応しいんですよね(笑)そのくらい好きだったんですよね。
ーナレーションー
街にクリスマスツリーが輝き始めた寒い夜、れんが屋にやってきたのは、手嶌葵さん。『ゲド戦記』でデビューして一年半、ハタチになった葵さんは今大人になるための変化の時を迎えているようです。
でも大人になるって、どういうことなんでしょう。鈴木さんを見てると、ちょっとわからなくなるんですよね。
鈴木:もちろん、色んな意味でその作品が求めてるものっていうのがあるんですけど、二つ目は縁ですよね。僕は色んなところで喋っちゃったんですけど、『ローズ』という歌は本当に好きな歌で。映画も大好きだったんですよね。ベッド・ミドラーっていう人の。
当時、僕の記憶だと日本では映画がヒットしてないんですよね。歌もどのくらいあれしたかというとわからなくて。これは当然、お父さんかお母さんが好きだったの?『ローズ』は。
手嶌:そうですね。母がベッド・ミドラーさんのミュージカル映画みたいなものが好きで、母の影響でベッド・ミドラーを小さい頃から観ていて。その中に『ローズ』っていうのがあって。
鈴木:あ、そうなんだ。映画もその時に観たの?
手嶌:観ましたね。でもまだ小さかったから、、
鈴木:そうだよね。あまり子供が観る映画じゃないよね。
手嶌:そうですね。だから全編観たのは大きくなってからですね。
鈴木:部分的に観てたんだ。
手嶌:歌の部分だけ観ていて。
鈴木:最後に歌うところかな。彼女はね、こういう役を演じたのはこれで最初にして最後なんだよね。やっぱり葵ちゃんは相当聴き込んでるよね?
手嶌:相当聴いてます。
鈴木:ね。でなきゃ、あの歌い方はならないよね?(笑)
手嶌:そうですね。
鈴木:ジャニス・ジョプリンという人がモデルでね。
手嶌:でもジャニスより私はベッド・ミドラーさんなんです。
鈴木:あ、そうなんだ(笑)家にLPはあったの?
手嶌:ないです。
鈴木:あ、ないんだ。残念だね。
手嶌:ちっちゃいのはあるんですけど。
鈴木:ちっちゃいのって、レコード?
手嶌:レコード。
鈴木:そこに置いてあるんですよね。よしさん、ちょっと悪いですけどその袋持ってもらえます?
よしさん:あ、これですか?
鈴木:これはちょっと見たらね、僕は持ってきてある、、よしさん、ちゃんと立ってやりなさいよ(笑)
よしさん:マイクが!
鈴木:え?(笑)すいませんね。葵ちゃんにそれを見せましょう。はい、これが『ローズ』かな、なんて。
手嶌:あ、違う!
鈴木:(笑)これは『テルーの歌』を後でアナログにしてやつですね。
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鈴木:歌を歌っていこうと思ってた?
手嶌:思ってないです。
鈴木:思ってなかったの?
手嶌:全く歌手という夢がなくて、小さい頃から。
鈴木:そうなんだ。夢はなんだったの?
手嶌:夢はスポーツが元々好きだったので。
鈴木:野球好きだよね。
手嶌:好きですね(笑)だから水泳選手だとか陸上の短距離走の選手だとかになれるかなーって自分で。
鈴木:憧れてたの?
手嶌:憧れっていうか、なれるんじゃないかなって。
鈴木:それいつぐらい?
手嶌:中学生の時もスポーツ選手かな?っていうのがあって。
鈴木:葵ちゃん、100メートル何秒なの?
手嶌:何秒かは覚えてないんですけど、それなりに速いです。それなりに自信があるんで。
鈴木:俺も自慢するね。俺ね、12秒8だったんですよ。
手嶌:おお、それは速い(笑)
鈴木:俺は根性がなかったから諦めるんですけどね(笑)葵ちゃんは陸上はやったの?
手嶌:陸上部とかではなかったんですけど、走るのがすごく好きで。短距離はすごく好きでしたね。
鈴木:スポーツで挫折するのはいつなの?(笑)
手嶌:挫折というか部活に中学生の時に入ってバレーボール部に入ったんですけど、そこでも背が高いからセンターの位置につくるんですけど、一年生なんですけど、三年生と同じように最初からコートに入って練習をするんですね。
鈴木:今日初めて自慢しましたね(笑)
手嶌:練習できることはすごく嬉しかったんですけど、一年半なのにそういう風になるから、やっかみではないですけど、やっぱり言われるんですね。色んなことを。
鈴木:なるほど。体育会系だったんだね?
手嶌:そうなんですよ。それで精神的に負けてしまって(笑)
鈴木:大変なんですよ。体育会系は。
手嶌:そうですね。中学生の時にそうやって挫けてしまって、家にいることがすごく多くなってしまって、そこでさっきの『ローズ』だったりっていうのを一人で大声で歌ってることが多くて。その時に一番ラジオを聴いたりとか、映画を観たりして、そういう音楽を体中に入れて、一人で歌うっていうことが一番好きでしたね。一人じゃないような気がするし、寂しくないのでいつも歌ってましたね。
鈴木:僕はね、自分が中学の時にヘイリー・ミルズっていう女優さんがいて、女優さんといっても中学生くらいなんだけど、大好きだったんですよ。当時の大アイドル、ヘイリー・ミルズの映画をディズニーと契約して三本映画に出るんですよ。僕は中学の時に彼女に映画でファンレターを出すんですよ。もちろん返事はなかったんですけどね。
歳をとってから、ディズニーと付き合うわけでしょ?それでアメリカ行った時に、僕はいかにヘイリー・ミルズが好きだったか、みんなの前で話す機会があったんですよ。ヘイリー・ミルズの『罠にかかったパパとママ』、その映画が一番好きなんだと。っていっても『罠にかかったパパとママ』って日本語タイトルだから、英語タイトル知らなかったんでね、しょうがないから僕はそこでその主題歌を歌ってみせたんですよ。「Let's Let's Together Year Year Year〜♪」って。言った瞬間、周りにいたディズニーの人たちが一斉に合唱!で、さっきのファンレターの話に戻りますけど、そういうのを見ていたある人がヘイリー・ミルズに連絡をとってくれたんですよ。僕がそれを書いたのが12歳か13歳くらいでしょ?そして50歳くらいだから、約40年経って、彼女から手紙が来たんですよ。ヘイリー・ミルズの『罠にかかったパパとママ』。
手嶌:観たいです。
鈴木:そういう少女ものって好きだったんですよね。ウチのお袋がすごい映画ファンで、ジンジャー・ロジャースっていう、、あれ?間違ってないよね?
手嶌:大丈夫です。
鈴木:大好きだったのよ、ウチのお袋は!それで彼女がそこら辺をよく知ってるんですよ。
手嶌:もうフレッド・アステアとジンジャー、、
鈴木:馬鹿じゃないかなと思って(笑)
手嶌:そうなんです(笑)そこら辺は自分で探し出してますね。
鈴木:あ、そうなんだ。
手嶌:フレッド・アステアは自分で。
鈴木:だってあれ、年代でいうと?
手嶌:年代でいうと、50年とか40年とか(笑)
鈴木:そうなんですよ。つまり日本でいうと戦争中だから、戦後入ってきて初めて観るでしょ?したらウチのお袋はその頃青春の時だから、それでそういうもの観まくったんですね。それをウチのお袋は84でしょ?で、葵ちゃんはハタチだから引くと64も違うんですけどね(笑)趣味が合うっていうのは、、
ルイ・アームストロングも好きなんだもんね?(笑)
手嶌:大好きです。
鈴木:彼のどの歌が一番好きですか?
手嶌:『Wonderful World』と『Moon River』。
鈴木:ちょっとやってみて?
手嶌:えー?「Moon River,Wider than a mile.I’m crossin’ you in style
Some day~♪」
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鈴木:高校は音楽の学校だよね?
手嶌:そうですね。
鈴木:ということは中学の時に?
手嶌:そうですね。小さい時から映画音楽っていうものが大好きで。ミュージカルの歌を真似して家で歌っていることが多くて。中学の時は全く音楽とはかけ離れていて、でも家ではものすごくお風呂の中でうたったりとか。
鈴木:ミュージカルで一番好きなのは?映画で。
手嶌:一番好き、、たくさんあり過ぎて、決められないかも。
鈴木:(鈴木さんが指を鳴らしながら、ある歌のリズムを歌う)
手嶌:(手嶌さんもそれにならって歌う)
よしさん:なんで知ってるんですかね?
鈴木:全然違うんだよね!自分の歌を歌うときと(笑)だってお客さん、わかっちゃうもん。そういうのって。
手嶌:そういう曲からライブで少しずつ歌っていたら、たぶん若い子とかも聴いてくれるかもしれない。
鈴木:若い子だって!(笑)
手嶌:自分は若い子じゃないんですか?
鈴木:なんでそんなのばっか好きなのかね?(笑)つまり、こういう話をしながら小金井から目黒へ帰ってきたんですよ。だから話は途切れなかったんですよ。
手嶌:(笑)
鈴木:今は誰かに詩を書いてもらったり、曲を作ってもらったりするじゃない?自分で作詞とか曲を作るとか、そういうことに挑戦してみたいんですか?
手嶌:そうですね。詩は元々読むのも書くのも好きなので、詩は小さい頃から文章を書くことが好きなので、書き残してるものもあるんですけど、それを表に出す勇気はまだないですね(笑)
鈴木:誰かに見せたことあるの?
手嶌:ないです。
鈴木:友達にも?
手嶌:母にさえもないですね。まるっきり秘密です(笑)
鈴木:見てみたいですね。何が書いてあるんだろう。